「美しい庵主さん」
ほのぼのしたたわいのない映画。なんの変哲も無いが、芦川いづみの尼さん姿がなんとの色っぽくて可愛い。監督は西河克己。
山間の尼寺に東京から男女の大学生がやってくる。女性はかつてここにきたことがあり、懐かしさでやってくるが、この尼寺には、若くて美しい尼さんがいて、俗世間の女であることを捨てた彼女の心の揺れを物語の中心に据えて、大学生たちの生き方を考える様を描く。
本当に癒されるほどのほのぼのした作品で、その毒のないおおらかさが見ていて清々しくなってしまう。こういう映画を作れた余裕が懐かしい一本でした。
「春の夜の出来事」
楽しいスラップスティックコメディ。たわいもないといえばそれまでですが、この軽妙なタッチが、脚本担当の中平康の色です。監督は西河克己。
巨大財閥の当主大内会長が自社の関連会社の懸賞に応募、見事二等賞に入選、賞金のスキー旅行へ出かける。身なりを隠しての参加に、執事や娘たちが大騒ぎするというまさにコメディ。
ホテルでは、事前に聞いていた人と間違えて、大内会長をただの貧乏おやじであつかい、一方で一等賞の青年を大金持ちと間違えて優遇する。
どうしようもなくなって、娘たちも後から駆けつけ、娘と一等賞の青年と恋仲になり、東京へ戻っで全てが明らかになってハッピーエンド。
ただただ楽しい映画だった。
「男なら夢を見ろ」
典型的な日活ヤクザ青春映画ですが、とにかく楽しいです。映画を見たという感動が残ります。監督は牛原陽一。
戦後の焼け跡から映画が始まり、戦災孤児の少年二人のシーンから、現代へ。今や大人になった二人が一人の女性を介して出会う。
一人はヤクザの幹部に一人は検察官となり、間に純粋無垢な女性が存在。三角関係のようで、プラトニックラブなようで、ヤクザの縄張り争いがあって、それぞれがハッピーエンドになって映画が終わる。
当時ワンパターンのようなストーリー展開ですが、石原裕次郎が葉山二郎が、芦原いづみが正義の側に出てきて、悪役は毎度お馴染みのキャストが占める。わかっていても楽しい。これが映画の本当だと思うのですがね。