くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「アップグレード」「最高の人生の見つけ方」「英雄は嘘がお好き」

「アップグレード」

今ひとつ工夫の足りない映画でしたが、B級感満載のSF映画という感じで楽しめました。監督はリー・ワネル

 

主人公グレイが車の修理をしている場面から映画が始まる。時は近未来で、妻のアシャはIT企業に勤め、全自動の車で帰宅する。グレイは修理した車を届けるため、妻を伴って出かける。その顧客とは巨大IT企業のオーナー、エロンだった。エロンは2人に、全ての機能を制御できるチップ、ステイを自慢げに見せる。

 

その帰りアシャの自動運転がエラーになり事故を起こし、駆けつけた謎の男たちによってアシャは殺され、グレイも全身麻痺になる。そんなグレイにエロンは実験的にステイを埋め込むことを提案。グレイはアシャの犯人探しがままならない警察をあてにせず、自分で探すためエロンの提案を受ける。

 

元の体を取り戻したグレイは、自宅に戻るが、突然ステイの声が頭に響く。そして、グレイが指示すると、驚異的な動きをステイが代わってやってくれるようになる。ところが、容疑者と思われる人物を殺してしまう。

 

そんなグレイは、次の容疑者に近づくが、エロンは強制的にステイを止めるプログラムを実行しようとしてくる。ステイは、ハッカーのところにグレイを誘導し、間一髪で、プログラムを書き換えるのだが、そのプログラムには、ステイが自主的に起動できるプログラムも含まれていた。

 

こうしてステイはグレイを操れるようになる。そして、グレイはエロンの元にやってくる。実はエロンはすでにステイに支配されていて、ステイのアップグレードのため肉体を要求され、グレイをターゲットにしていたのだ。

 

ステイに支配されたグレイは、追ってきた刑事も殺し、エロンも倒し、それに逆らったグレイはとうとう精神も破綻し、バーチャルの世界で、何事もなかったかのようにアシャとの日々を暮らすことを選択してしまう。

 

完全に肉体を持ったステイが、満足げに歩いてきて映画は終わる。穴だらけの脚本で、?が一般あるのですが、グイグイと物語を押し切っていくので、あれよあれよと終わってしまう。容疑者たちが殺されていくのだが、彼らもナノポッドで、そのあたりの経緯も放ったまま、グレイの母親の存在もなんで出てくる?という感じでした。まあ、楽しかったからいいとしましょう。

 

最高の人生の見つけ方

犬童一心監督作品だったので見に行ったが、適当に作った感満載の映画でした。言うまでもなく、ジャック・ニコルソンモーガン・フリーマン主演のアメリカ映画のリメイクだが、もうちょっと工夫するとか、作り込むとかのチャレンジ精神はないのかと思う。

 

今更なので、物語はあえて書かないけれど、脇役が満島ひかりを除いてスケールが小さすぎて、主演の二人を引き立てることができず、さらに物語にも脚本にも平凡そのままで、見るべきところはなく、まあ、主演の集客力だけに頼った映画でした。

 

「英雄は嘘がお好き」

これは面白かった。なかなかの秀作でした。テンポが抜群にいいし、出てくる悪人がどこか憎めないし、そんな悪人に翻弄される周りの普通の人もどこか可愛い。しゃれたコメディといえばそれまでですが、掘り出し物でした。監督はローラン・ティラール。

 

裕福なボーランド家の次女ポーリーヌのところにヌヴィル大尉が求婚にくる場面から映画は始まる。ところが、ポーリーヌが承諾した直後、ヌヴィル大尉は戦地へ赴任する命令が届く。毎日手紙を書くからとヌヴィル大尉は旅立つが、一向に手紙が来ず、間も無くポーリーヌは病に倒れてしまう。

 

もともと、女たらしでいけ好かない男と見抜いていた姉のエリザベットだが、妹の悲しみを癒すために、彼からの手紙を書き始める。そして数々の武勇伝を仕立てたものの、話が膨らみすぎて限界を感じ、とうとうヌヴィル大尉は名誉の戦死をしたことにする。

 

それから三年、ポーリーヌはニコラという青年と結婚、子供を設けていた。たまたまエリザベットが街に行くと、みすぼらしい姿になったヌヴィルと再会する。なんと彼は脱走していた。エリザベットは、言いくるめて街を去らせるのだが、しばらくして身綺麗にしたヌヴィル大尉が屋敷にやってくる。そして在ろう事か嘘ざんまいを繰り返して、屋敷に逗留することになる。

 

何もかも知っているエリザベットは何とかヌヴィルを追い出そうとするが、彼の武勇伝を信じている周りの人たちは、ますます彼を信用し始め、彼が言い出したダイヤモンド鉱山に投資すると金を預け始める。

 

エリザベットはヌヴィルとニコラを決闘させようとしたり色々するも叶わず。たまたま近くに騎兵隊が来ているのを知ったエリザベットは、そこの将軍を食事に招待し、ヌヴィルの化けの皮を剥がしてやろうとするが、ヌヴィルは、自分は脱走兵だから大変なことになるとエリザベットに告げる。

 

食事の席で必死でことの始末をはぐらかそうとするエリザベットだが、将軍はヌヴィルの正直な言葉を謙虚さと笑い飛ばす。そんな時、近くにコサックの軍隊が来ていると将軍は呼び戻される。

 

エリザベットはヌヴィルをなんとか助けた上に、求婚を受け、ヌヴィルのダイヤモンド鉱山の投資話の詐欺に自分を加えろと迫る。こうして二人は丸く収まったかに見えたが、突然、コサックの一群が屋敷に迫ってくる。

 

屋敷の人々は迎え撃つべく立てこもるが、ヌヴィルはエリザベットを誘って逃げる準備を始める。その姿を見たエリザベットは、ヌヴィルに別れをいう。ところが、その言葉に改心したヌヴィルは、一人コサックに立ち向かって銃を構える。まさに、これまで語った嘘話のワンシーンの再現だった。

 

迫るコサックの軍、一人銃を撃つヌヴィル。間一髪の時、将軍の騎兵隊が間に合ってコサックを追い払う。こうして、ハッピーエンドとなり、ヌヴィルとエリザベットの結婚式が行われる。ところが、そこに、ヌヴィルに戦地に赴任せよと言う命令が届く。

 

ヌヴィルは、迎えの兵隊たちと旅立つ。見送るエリザベットたち。ところが、ヌヴィルは兵士たちと反対方向へ馬で去っていく。大笑いするエリザベットのシーンで映画は終わる。このラストも憎めない。こう言う楽しいコメディ久しぶりに見た気がします。傑作ですね。