くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「スペシャルアクターズ」「楽園」「マレフィセント2」

スペシャルアクターズ」

上田慎一郎監督長編の二作目ということです、この人の才能がどの程度かと上から目線で見てしまった。茶番劇のような映画だが、こんなものを作る人が一人くらいいてもいいのではと思います。面白い話なのですが、映像のテンポが平坦なので、終盤眠くなってしまった。前作は、中盤で入れ替えたので助かった感じですが、今回はラストでどんでん返しなので、そこまで引っ張れなかった感じですね。

 

緊張すると失神してしまう売れない役者の和人は、この日もオーディションで失神、警備のバイトでも失敗、クビ宣告を受けてしまう。そんな彼が、歩道橋の上でいると一人の酔っ払いが男に絡んで、結局殴られる現場を見る。なんとその男は和人の弟宏紀だった。

 

今の出来事が全て芝居だと言われ、宏紀の勧めで、妙な何でも屋の役者集団スペシャルアクターズへ連れていかれた和人は、無理やりその会社に参加させられる。

 

そんな時、その会社に、ある依頼が舞い込む。姉が妙な新興宗教にはまってしまい、姉が女将をしている旅館が取られそうだからと大金を持って妹がやってくる。金に目がくらみ、役者を揃えて、旅館を守るシナリオを作成、いざ作戦スタートが本編。

最初は悩んでいた和人も、行きつけの心療内科の医師に背中を押され、本気モードになっていく。

 

宗教の集会に潜入した和人と宏紀。和人は偶然、この教団が全国支部に配る裏経典と呼ばれる隠しファイルの存在を見つけてしまう。メンバーはこのファイルを手に入れ、一方で、旅館を守る作戦へ。

 

最初に作った旅館を守る脚本が次々と偶然の出来事で書き変わっているのが、映画全体がどうもその場限りの脚本のようで気になるが、結局、教団は旅館から手を引くことに。そして最後の集会で裏経典も暴露し、教団幹部を警察に引き渡すことになる。

 

最後の最後にヒーローになった和人は、これを機会に、緊張で失神することはなくなるのだが、ある時、街で宏紀がかつての教団の教祖らを車に乗せているシーンを見つけてしまう。早速グーグルで調べると、宏紀はネット起業で成功していた。

 

和人がスペシャルアクターズの会社に忍び込んでファイルを漁ると、なんと、依頼人が宏紀で、ターゲットが和人である企画書を発見。しかも心療内科の医師も役者だった。全てが持病の失神を治すために宏紀が依頼したものだと判明、驚きで失神する和人で映画は終わる。

 

全くよくある茶番劇なのだが、前半の見せ方にもうちょっとキレがあればラストももっと決まったろうにとは思う。でも、こんな映画を大スクリーンでかけられるのだから、これはこれでいいんじゃないかと思います。

 

「楽園」

いい映画ですね。映像で物語というか人の心を描いていく演出こそが映画の醍醐味だと思います。ちょっと、登場人物それぞれの緩急と全体の組み立てが平坦になっている気もしますが、どんどん心の中に踏み込んでくるような展開に目を離せなくなってしまいました。監督は瀬々敬久

 

豪士とその母がヤクザ者に痛めつけられている。神社の祭りで、勝手に店を出して絡まれた。口数の少ない豪士は役員に助けを求め、その場は収められる。豪士の母は外国から来た移民だった。おそらく韓国だろうと思われるがはっきり描かれない。

 

この小さな村で、二人の少女が遊んでいる。一人は紡、もう一人は親友の愛香。ところが夕方になっても愛香が戻らない。そして彼女のランドセルは見つかったが、とうとう事件は未解決となる。そして12年が経つ。

 

紡は、あの時Y路で別れ、友達が行方不明になったことで、自分を責めていた。そして12年たった今、再び一人の少女が行方不明となり、村人のちょっとした一言で豪士が犯人とされ、村人は彼を追い詰めていく。逃げ回った挙句、豪士は灯油をかぶって自殺する。しかし、行方不明の少女は間も無く見つかり犯人は別にいたのだ。その場に千葉から戻った田中がいた。

 

彼は、養蜂を営み、村に早く溶け込むために、便利屋的に村の人たちの世話をしていた。ところが、養蜂を使った村おこしの提案を、村人に受け入れられたと思ってとった行動で、村人の反感を買い村八分にされてしまう。

 

物語は、信用した人に裏切られ、さらに妻の死に苦しんできた田中の苦悩、自らを追い詰めていく紡と、彼女に近づいてくる村の青年野上の物語を描きながら、人に対する不信感から苦しむ主人公たちの心を交互に描いていく。

 

やがて、田中が大切にしていた犬も外に出せなくなり、どんどん追い詰められていく田中はとうとう村人を鎌で襲って凶行におよび、自ら鎌を体に突き立て警察に捕まる。

 

野上は実は病気で、病院に入院する。紡は、豪士の母に会い、12年前の母の証言は嘘であることを知り、豪士が犯人だと確信する。

 

紡の心は12年前に遡り、豪士が愛香を追っていく姿、田中が飼い犬レオを引き取る下りが再現される。全てに絶望した紡の電話に、野上から退院できたという知らせが届く。微かな希望を見出す紡。かつて野上が、楽園を作れと行った言葉が思い出されて映画は終わります。

 

おそらく原作はもっと書き込まれているのだと思いますが、映像表現としてもそれなりに成功していると思います。何度も映される田園風景、まっすぐな道、Y路、人間の心に潜む闇の疑念が生み出す温かみのありドラマという表現は、うまくできていたと思います。

 

マレフィセント2」

これは面白かった。とにかくマレフィセントが圧倒的に強いので気持ちがいいし、ミッシェル・ファイファーのイングリス王妃が、アカデミー賞級の悪女ぶりで爽快。しかもディズニーらしいストーリーテリングのうまさで全編ワクワクするからもう楽しくて仕方なかった。監督はヨアヒム・ローニング。

 

フィリップ王子がオーロラ姫にプロポーズするところから映画は始まる。今更なので断ることもなく結婚が決まり、オーロラはマレフィセントとフィリップの城にやってくる。ところがかねてより妖精らに恨みのあったイングリス王妃は、マレフィセントを挑発して怒らせる。

 

実はイングリス王妃は、妖精の花を材料にして妖精を殺す薬を作り、戦争を仕掛けて全滅をたくらんでいた。マレフィセントも城を脱出するときに鉄の玉で撃たれて重傷を負ってしまう。さらにイングリス王妃は王に呪いをかけ、マレフィセントの仕業だと言って戦争の口実を作った。

 

そんなこととは知らないオーロラはフィリップとの婚礼を進め、妖精たちを城に招くが、それはイングリス王妃の策略だった。瀕死のマレフィセントは翼を持った種族に助けられて、最後の決戦へと進んでいく。

 

オーロラは、招かれた妖精が次々と消され、翼の種族にも攻撃されて、事の真相を知り、フィリップと戦争を止めるよう叫ぶが、イングリス王妃はやめない。そこへ、快復したマレフィセントが登場、一網打尽にする。

 

しかし、イングリス王妃の作った矢に射抜かれ、殺されたかに見えるが不死鳥になって蘇り、イングリス王妃の悪事を知った兵士たちも戦争をやめ、全てが終わってやがて結婚式へ。そしてハッピーエンドで映画は終わる。

 

とにかくマレフィセントが強い。ミッシェル・ファイファーの演技がすごい。そんな映画でした。