くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「お料理帖 息子に遺す記憶のレシピ」「ハワーズ・エンド」(4Kデジタルリマスター版)「アンナ」(デジタルリマスター版)

「お料理帖 息子に遺す記憶のレシピ」

よくある認知症の映画かと思ってみたのですが、なかなかしっかりと作られていて、ヒューマンドラマとして素直に感動してしまいました。監督はキム・ソンホ。

 

総菜屋を営むエランは、長年自分の経験から作り上げたおかずやおにぎりなどで、地元の人にも孫たちにも愛される日々だったが、仕事が見つからない息子のギョヒョンは母に嫌われていると思って、疎遠になっていた。

 

そんな時、エランはたわいのないことを忘れたり、奇妙な行動をすることが多くなってくる。病院へ行ったところかなり進んだ認知症であるという診断が出る。

 

ギョヒョンは、店と家を売って母を施設に入れることを考え、また、自分が教授になるための裏金を作ることを考える。

 

しかし、閉店した後も次々とやってくる客や孫たちの望みに、ギョヒョンは、もう一度店をすることを決意。施設に入れた母を連れ戻し、記憶が消える前に、知るべきことを知ろうとし始める。

 

やがてギョヒョンはエランのレシピを本にしてプレゼントして映画は終わる。素直な作品で、いい映画だったと思います。

 

ハワーズ・エンド

美しいイギリスの景色と丁寧で芸術的な映像演出が素晴らしい作品ですが、波乱の展開なのにストーリーの組み立てが平坦で、後半非常に長く感じてしまいました。監督はジェームズ・アイボリー

 

ウィルコックス家に招かれたシュレーゲル家のヘレンが、ウィルコックス家の次男ポールと恋仲になるところから映画は始まる。しかし、ヘレンがおば宛にポールが婚約するという連絡をヘレンとポールの婚約だと勘違いしたおばがやってきて、物語が動き始める。ポールは別の女性との婚約が決まっていたのだ。

 

4ヶ月後、ウィルコックス家がシュレーゲル家の向かいに引っ越してくる。一方ヘレンの姉マーガレットはその性格からウィルコックス家の老夫人ルースと仲良くなる。やがてルースが病になり、死の間際、ハワーズ・エンドの屋敷をマーガレットに譲ると書き残す。しかし、夫のヘンリーは子供達の目の前でその書置きを燃やしてしまう。

 

間も無くして、ヘンリーはマーガレットと結婚することになる。また、ヘンリーの失策で失業したバストの世話をしていたヘレンは彼と恋に落ちてしまう。バストの妻は10年前、ヘンリーの愛人であった。

 

その後ヘレンは行方をくらますが、マーガレットは、ヘンリーと相談してハワーズ・エンドにヘレンを呼び出すことに成功する。しかし、ヘレンはバストの子供を身ごもっていた。バストもヘレンを探していて、この日ハワーズ・エンドに来ることを知り向かう。一方ヘンリーは息子のポールにヘレンのことにけりをつけるようにハワーズ・エンドに向かわせる。

 

ハワーズ・エンドで鉢合わせしたポールは誤ってバストを殺してしまう。間も無くしてポールは逮捕され、ヘンリーは絶望する。やがて、ヘレンも子供を産み、ヘンリーは自分の死後はハワーズ・エンドの屋敷は妻マーガレットに譲ると遺言する。

 

映画はここで終わりますが、ワンシーンの中でフェードアウトインを繰り返す独特の演出や、大きく捉えるイギリスの田園風景、自然の色彩の美しさなど非常に上品で知的な画面が展開します。とってもクオリティの高い一本で、文芸大作を見たという満足感に浸れました。

 

「アンナ」

アンナ・カリーナ主演で描くスタイリッシュミュージカルという感じの映画で、全編即興演出のようなカメラワークで、アンナとセルジュの出会いから別れまでを描いていきます。監督はピエール・コラルニック。

 

シュールなダンスパフォーマンスのシーンから映画が始まります。駅構内を撮影していた写真に写っていたアンナの姿を見つけた広告代理店の社長セルジュは、彼女に一目惚れ、必死で探し始める。

 

映画はその探す姿を歌とダンスを交えながら、延々とカメラが捉えていきます。やがて、アンナは列車に乗って去って行って映画は終わりますが、ポップな感じの絵作りと、ファンタジックな展開がとってもおしゃれな作品で、アンナ・カリーナのキュートな魅力もあって、不思議な魅力を生み出していました。