くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「田舎司祭の日記」

田舎司祭の日記

映画としては、非常にクオリティの高い作品だと思いますが、終始主人公の日記の一人セリフで展開するので、地味で、しんどいというのも確かです。しかし、スタンダード画面にしっかりはめ込まれた構図や、階段での光と影の演出なども含め見事な仕上がりです。監督はロベール・ブレッソン

 

一人の若い司祭がある田舎の村に赴任してくる。彼は体調が良くなく、常に腹部に違和感を持っている。生真面目な性格の彼は、人々に常に神の存在を正しく解こうとする。

 

そんな彼の姿勢に村人たちは反感を持ち、何かにつけ彼は孤立していく。土地の有力者の妻は息子を亡くし、そこから立ち直れないままだった。そんな彼女に、司祭は神の存在をまっすぐに伝えるが、かえって周りの誤解を生んで、さらに孤独になる。

 

そんな彼に、その家の娘が優しく接し、それもまた周りの人々の誤解を生んでいく。司祭の体は日に日に弱り、街の医師のところへ向かうことにする。途中バイクを乗る若者に乗せてもらい、若さを実感する姿が物語の転換点になる。

 

そして病院で、彼は胃がんだと宣告され絶望し、神学校時代の友人の元へ。やがて彼はみるみる体が弱り、とうとう、死んでしまう。彼は友人に手紙を託し、それを読む師の姿で映画は終わる。

 

一人の若い司祭の、揺れ動く悩む姿が、聖職者ゆえの禁欲と、若さゆえの俗な存在との微妙な物語が美しい画面で綴られる様はさすがに見事です。初期の代表作という解説に納得する一本でした。