くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「女のつり橋」「残された者 北の極地」

「女のつり橋」

こういう人間味のあるあったかい物語は完全になくなりました。傑作ではないのですが、見終わってとっても優しい気持ちになりました。監督は木村恵吾。

 

物語は、三本のオムニバスになります。

第1話は温泉の女マッサージ師たちの物語。売れっ子のマッサージ師は、仲介所の主人の息子に片思いをしている。彼が大学から戻ってくる日、そわそわして仕事にならず、慌てて戻ってきたら、息子は彼女を連れて来る。失恋した主人公は、嫌な客と分かりながらも金がある客の指名を受けて出かけていく。

 

第2話は、一つの部屋を女二人で借り、それぞれが愛人がいるが、一人で部屋を借りてる風に装い、小遣いを貯めている。しかし、ある時ばったり鉢合わせし、すべておじゃんになる。一人が彼氏を呼ぶのだがやってきた男はもう一人の女の彼氏でもあった。

 

第3話は、浅草のストリップ劇場、戦前からここで小間使いをしている老人がいる。ダンサーたちの悲喜劇を描きながら、同室の女が彼氏を連れこんだのでいたたまれなくなった主人公は小間使いの老人の部屋へ。そこで老人のこれまでを何気なく聞く。誰もこの男がいることに気を止めないという孤独な老人に女は、最後に手を振って別れをいう。

 

それぞれが下町に住む人たちの人生というほのぼのした暖かさが漂う作品で、かつて日本もこういう時代があったのかなと胸があったかくなってしまいました。

 

「残された者 北の極地」

こんなシンプルな話を一本の映画にした脚本力と演技、演出力に脱帽してしまいます。全然退屈しない極限の人間ドラマでした。監督はジョー・ペナ。

 

北の大雪原、一人の男オボァガードが淡々と魚を取り、なにやら作業を繰り返している。どうやら乗っていた飛行機が不時着し、彼一人生き残ってそれなりの時間が経っているようである。

 

ある時彼方にヘリコプターが見えたので叫ぶが、おりからの吹雪でヘリコプターは落下してしまう。操縦士は死んでしまい、一人の女性を発見する。

 

オボァガードは、彼女を手当てするも重傷で、意を決したオボァガードは、ヘリの中に詳しい地図があったこともあり、かなり離れた観測所まで行く決意をする。

 

こうして、オボァガードは女性をソリに乗せてひたすら歩き始める。物語はこの行程を様々な自然の脅威をしのぎながら進む姿を捉える。

 

そして、もう限界だと悟った時、彼方にヘリコプターを発見、必死で発煙筒を炊くも気がついてもらえず、オボァガードは、女性とその場に崩れ落ち、目を閉じる。瞬間、近くにヘリが着陸して映画は終わる。

 

主人公の孤独と自分との戦いの姿を延々と描く作品で、自然の脅威をこれでもかと映し出す映像も見事。名優マッツ・ミケルソン居てこその映画だった気がします。