くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「キャッツ」

「キャッツ」

海外では非常に酷評されているので、怖いもの見たさに見に行きましたが、何のことはない、ちゃんとミュージカル映画として楽しめました。確かに一級品の出来栄えではないかもしれませんが、酷評しているのは舞台版のファンの偏見ではないかなと思わなくもないです。ただ、映画でしか表現できないオリジナリティには少し足りなかったと思います。クライマックスの舞踏会シーンは、CGをうまく使った大きなシーンになっていますが、ともすると舞台をライブで撮っているような映像になるところが気にならない事もない。監督はトム・フーパー

 

ロンドンの町、一匹の猫ヴィクトリアが棄てられるところから映画は始まる。袋から飛び出してきた白い猫は、いわゆるキャッツ猫である。特殊メイクとCGをこれ見よがしに見せるクローズアップの多用はかなり違和感があるが、それを我慢してみていると、物語が見えてくる。

 

彼女の周りに集まってくるのは人間に飼いならされることを拒む誇りのあるジェリクルキャッツといわれる猫たち。要するに野良猫である。ごみをあさり、捨てたものを食べて生きる姿をフルミュージカルで描いていくが、こういうところは映画になるとやや汚らしく見えてしまう。

 

この夜は年に一度のジェリクル舞踏会の日であった。一匹の猫だけがその舞踏会で選ばれ、新しい人生を与えられる。そのために自慢ののどや芸を見せるために集まるのである。

 

ビクトリアもその舞踏会に参加することになる。舞踏会を仕切るのは老猫オールドデュトロノミー。この老猫の判断で、新たな人生を与えられる猫が選ばれる。

 

ここに、不正に優勝しようとするマキャヴィティという黒猫がいて、こいつが、競争相手を拉致してしまう。

 

ヴィクトリアは町で寂し気にふるまう一匹の猫グリザベラを見つける。彼女は不幸な境遇で、とても舞踏会など望むべくもなく過ごしていたが、その歌声は美しかった。ヴィクトリアは彼女を誘い、舞踏会で歌を披露させる。

 

その歌声は心を打ち、老猫は彼女を天上に送る猫として選ぶ。巨大なゴンドラにのり、空のかなたに飛び去るグリザベラの姿で物語はクライマックスを迎える。

 

ダンスシーン、歌唱シーンは舞台版そのままのごとく見事ですが、映画にするにあたりテクニカルに走りすぎたためにそれを見せるべく技巧的なシーンが一寸目につきすぎました。大画面を意識した、それでいてスクリーンでの構図などをもっと工夫していけば、映像作品としての「キャッツ」が仕上がった気がします。でも、そんなにひどいものではないし、十分観賞できるいい映画だったと思います。