くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ロマンスドール」

「ロマンスドール」

とってもピュアに理想の女性を求め続けた一人の男のラブストーリーに見えた。たしかに高橋一生扮する哲雄と蒼井優扮する園子の恋物語なのだが、ラブドールに想いを込めていく哲雄や、その先輩金次の思いを描写する場面が圧倒的に多い。終盤少し眠くなってしまったのは、そこまでの哲雄夫婦の展開がちょっと弱いせいかもしれません。監督はタナダユキ

 

園子と哲雄がベッドで抱き合い、やがて力尽きたように園子が哲雄の上に覆いかぶさる。こうして園子は死んだという哲雄のセリフから物語は十年前へ。このオープニングからして、物語の本編に園子が中心ではないことがわかる気がします。

 

先輩に紹介され、小さな町工場にやってきた美大出身の哲雄。そこはアダルトグッズラブドールを作る工場だったが、金次というベテラン職人は、より完璧なものを作りたいという職人肌の男だった。そこに哲雄は就職するが、リアルを求める金次は、実際の女性の乳房の型をとってみたいと言い出す。哲雄は美術モデルを募集する。程なくして園子が現れる。

 

型を取って帰った後、イヤリングの忘れ物を見つけた哲雄は園子を追い、その場で交際を申し込んでしまう。そして、結婚。園子の胸を型にしたラブドールは大ヒットするが、哲雄は園子に、自分の仕事はラブドールを作っているとはいえなかった。医療器具の型を取ると偽って募集したからである。

 

そんな時、新たな素材を使う話が持ち上がり、一方金次は自宅で孤独死、新しいスタッフが就職する。しかし新素材が完成間近、新入りのスタッフにデータを盗まれてしまう。そんなドタバタに重なって、園子の態度がおかしくなり、ある時、実家に帰ると嘘を言って外泊する。

 

戻ってきた園子は一週間の後真実を話すという答える。そして一週間後、園子は浮気をしたと白状、哲雄も一夜の過ちを犯していた。そして園子は離婚するという。一人になりたいという園子に哲雄が詰め寄ると、実はガンなのだと答える。

 

哲雄は離婚したくないと答え、園子は入院。やがて退院するがまもなくして再発。最後に自分の人形を作って欲しいと哲雄に頼む。緩和治療を受けながら、哲雄と園子はSEXを繰り返し、園子の姿のラブドールが完成に近づいた頃、園子は哲雄の体の上で死んでいく。

 

完成した人形は園子と命名され売り出されるや大ヒット。ただ、継ぎ目のない人形は違法ということで社長は逮捕される。会社の慰安旅行で、園子二号を作ることで盛り上がり、翌朝浜辺で、哲雄は捨てられていたダッチワイフを見つける。そこで映画は終わるが、ただ、理想の女性を求める男たちのドラマに、哲雄の切ない恋物語が絡む展開だが、やや蒼井優が弱い気がしなくもない。まあ、タナダユキ作品としては普通という感じでした。