一見面白いのですが、全体に緩急がなくて間延びしているために、盛り上がりに欠ける仕上がりになっていた。高畑充希はいいんですが、それに山崎賢人が追いついていかない隙間が埋まり切らなかった感じです。せっかくのミュージカル仕立てがもったいない。監督は福田雄一。
前の会社でオタク女子であることがばれていづらくなり成海が転職してきたところから映画始まる。ところがそこに、同じオタクでゲーオタの幼馴染宏嵩がいることに気がつく。当然似た者通しで成海と宏嵩は急接近し、それぞれオタクを隠して付き合い始める。
物語はこの二人のオタクトーク爆発の奇妙な会話と恋の展開に、成海の上司や宏嵩の同僚が絡んで、一時は疎遠になるも最後はハッピーエンドで交際が進むラストで締めくくる。
冒頭からミュージカル仕立てでダンス、歌のシーンが連続するし、福田雄一ならではのギャグな散りばめられているのですが、どうもうまくハマってこない。それぞれのエピソードが生きていないし、ラストのハプニングな展開もインパクトが弱く、結局、だらけて終わった感じになってしまった。面白いはずなのに。と言う映画だった。
「ハスラーズ」
実話を基にした作品ですが、非常に雑多な脚本で、前半の畳み掛けが後半一気にテンションが下がり、結局、実話であると言う締めくくりがまともすぎて面白みのない映画でした。監督はローリーン・スカファリア。
ストリップダンサーのデスティニーは、どうもうだつの上がらない毎日を送っている。母親の面倒を見ているが、生活が苦しい。そんなある時、ストリップダンサーで大人気のラモーナと出会う。二人は意気投合するのだが、ラモーナがなぜデスティニーと意気投合したのかがいまいちラストまでわからない。
二人は稼ぎまくっていくがやがてリーマンショックが来て、客足も遠のく。しかし一部の客は相変わらず金遣いが派手であることに目をつけたラモーナは、飲み物に薬を入れて泥酔いさせ、カードを使わせて大金を稼ぐことを思いつく。
やがて二人では間に合わなくなるほど忙しくなり、新たなメンバーを集めて拡大していくが、次第にほころびが見えてきて、トラブルも増えてくる。そして等々警察に逮捕されることになる。
時折、エリザベスという女性がデスティニーをインタビューしているシーンが挿入されるが、このシチュエーションの説明が全くない。結局、こういう事件がありましたと見せるのみで、ラモーナたちのドラマはほとんど描けていないという雑な仕上がりになった作品でした。
夏目漱石の名作文学の映画化作品ですが、淡々と展開する物語は原作の空気感を出しているようなのですが、何か一つ物足りなくて、主人公のどこか甘酸っぱい失恋の物語が胸にしんみりときませんでした。監督は中川信夫。
主人公三四郎が東京大学に入学、そのために九州から汽車に乗っている場面から映画が始まる。汽車で知り合った女性と宿を共にし、部屋も布団も一緒だったのに何もなく朝を迎え、その女性から「度胸がない」と言われる。
やがて大学に入学するが、一人の美しい女性里見美彌子と出会う。物語は三四郎と美彌子がお互い好いているにもかかわらず美彌子は別の男性と結婚することで、三四郎は初恋と失恋を経験するということになる。
漱石らしい、知的な淡々としたセリフの繰り返しは美しいのですが、いまひとつ描き切れていない心の風景が見えないのが残念。でも、明治のレトロ感を楽しむには十分な映画でした。