くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「スマホを落としただけなのに 囚われの殺人鬼」「ジュディ 虹の彼方に」

スマホを落としただけなのに囚われの殺人鬼」

よく練られた面白い構成なのに、雑なところが目に余るくらいにひどい上に全体のエピソードのバランスのリズムが悪く、ワクワクドキドキになりきらずに仕上がってしまった感じです。監督は中田秀夫

 

第一作の被害者、富田と稲葉の結婚式の場面に映画が始まり、彼らを助けたサイバー捜査官加賀と恋人の美乃里が出席している。美乃里は加賀に積極的に結婚を迫るも煮えきらず溝ができている。そんな時新たな殺人事件が起こる。どうやらダークウェブ上にいるハッカーMが犯人であると目星をつけるが、ダークウェブに入るためにはかつて加賀が逮捕した殺人鬼浦野が必要と判断し彼にパソコンを与え別室でMへの接触を依頼する。

 

浦野の作戦にかかってきたMは加賀の弱点である美乃里に接触、彼女のスマホを通じて彼女に迫ってくる。警察上層部は美乃里を囮にMを逮捕する計画を立てる。映画はMの正体を暴いていく加賀と浦野の行動と加賀に隠された母のトラウマのドラマが絡んでくる。

 

やがてMの素顔がわかり、警察はMに迫っていくがまんまと逃げられてしまう。しかも、美乃里についていたボディガードもやられてしまい、美乃里に危険が迫る。美乃里はMのはなった殺し屋に捕まり、加賀屋が追う。一方、浦野は巧みに留置所を脱走行方をくらます。そして、殺し屋がドライブインで美乃里を襲おうと車を停め、加賀屋が追いつき、あわやというところで、背後からMが殺し屋を撃って大団円。

 

で、実は本当のMは加賀屋のかつて一緒に創業した相棒の笹岡で、Mと思われていた男は、内密に捜査していた警察官の兵頭だと判明。二転三転の末におそらくこうだろうと思える結末に落ち着いた。浦野は完全に逃げおおせ、最後に全ては自分の計画の通りだったとかがやに電話をする。

 

こういう展開に持って行きたいのはわかるが、加賀屋の周辺のアホな同僚に描き方が実に雑い。また途中のフェイクと真実のエピソードのバランスが微妙に良くないために、鮮やかさを感じず終わった感じです。

 

「ジュディ虹の彼方に」

47歳で亡くなったミュージカル女優ジュディ・ガーランドの最後の年のロンドン公演を描いた物語ですが、主人公を演じたレニ・ゼルウィガーの圧倒的な演技力で映画を引っ張ったという作品でした。皺だらけのおばあちゃんにしか見えないジュディの荒んだ姿の描写が凄まじいです。ただ、映画としての仕上がりは普通だった気はします。監督はルパート・グールド。

 

映画「オズの魔法使」の主演に抜擢される少女時代のジュディ・ガーランドのシーンから映画は幕を開け、物語は1968年ロンドン公演をするためにやってきた47歳のジュディのシーンに移ります。

 

たび重なる遅刻や無断欠勤で、とうとう映画界から追放され、今は巡業ショーで生計を立てている。かつては顔だけで泊めてくれたホテルも追い出され、別れた夫シドの元に子供と転がり込むが、シドは親権を主張する。

 

映画はかつての少女時代のジュディ、食事も制限され、寝る時間も与えられず撮影に追い回される過去を描きながら、不眠に悩み、酒に溺れる今のジュディを交互に描いて行きます。

 

巡業生活ゆえ、愛する子供をシドにとられて、会いたくても会えない日々。そんな中、彼女はミッキーという実業家と知り合い、やがて結婚する。彼がジュディの名前で映画館のチェーン展開したいという人物を紹介するが、今回のロンドン公演で、酔って悪態をついてしまったジュディの噂で契約破棄となる。

 

自暴自棄になっていくジュディは、ある日の公演の後、ジュディの公演を見逃したことがないというゲイのカップルと知り合う。やがて親しくなるが、公演の舞台からはジュディは下されることになる。

 

去る間際、もう一度ホールを見たいと舞台袖に立ち寄ったジュディは、自分の代わりに演じるエンターテナーに頼んで一曲だけ歌わせてもらう。しかし、その最後の曲は見事に観客を掴み、ゲイのカップルも一緒に熱唱して「虹の彼方へ」を歌って映画は終わっていく。

この半年後彼女は亡くなったというテロップでエンディング。とにかく、レニ・ゼルウィガーの熱演に尽きる一本でした。