くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「彼らは生きていた」「星屑の町」「パニック」

「彼らは生きていた」

第一次大戦のドキュメンタリーフィルムをカラライゼーションした上で再構成したドキュメンタリー。監督はピーター・ジャクソン

 

第一次大戦が勃発し、イギリスの市民は半ばバカンス気分で兵士に志願していく場面から映画は始まる。まさに「ジョニーは戦場へ行った」同様のオープニング。モノクロスタンダードの映像と間断なく語られるナレーションはやがて画面が広がってカラーライゼーションされた映像が映し出される。

 

モノクロであればまだ受け入れられるショッキングな死体のシーンなどがカラライゼーションされてリアルに映し出されると流石に戦争の悲惨さが目の当たりに見えてくる。

 

延々と語られるナレーションと時折入る兵士の声が微妙なリアリティを生み出すから見事である。そして、遊び半分で志願した兵士たちが悲惨な前線でどんどん地獄のような世界に放り込まれ、戦争が終わったとの

 

 

「星屑の町」

のんを目当てに見に行ったので、作品の出来不出来はどうでもいい。こういう軽いタッチのお気楽映画もまた楽しいという感じの映画でした。監督は杉山泰一。

 

結成から数十年経った「山田修とハローナイツ」、この日もどこかの座敷の舞台で唯一のオリジナル曲を引き連れて歌っている。もちろん、メジャーではないし、いまだに全然表舞台に立てないままの中年男たちのグループである。

 

あるとき東北の村に巡業した時、飲み屋でののりで地元の娘、愛に声をかけ、彼女はもともと歌手を目指していたこともあり、公演場所にやってくるところから映画は始まる。東京へ出たものの騙されるばかりで田舎に帰ってきた愛はハローナイツのメンバーに加わり自分の夢を叶えたいと思っていた。

 

チームのボーカル天野はソロデビューの話があり、それがメンバーにバレたことをキッカケに愛を率いれることになる。そして天野が去るが、後に入った愛をボーカルにしたチームはみるみる表舞台に出て行く。

 

しかし、愛はさらに未来を目指すために新たなグループに参加、残りのハローナイツのメンバーは、いつも一緒に出てくれるキティをボーカルにして次の巡業先へ向かうが、そこに天野が駆けつけ大団円。

 

まあ、軽い上に雑な脚本の映画ですが、こういうノリもいいんじゃないかと思う。のんがこれをきっかけにまた女優に戻って活躍してほしいと思います。

 

「パニック」

仕立て屋の恋」を原作にしたフィルムノワールです。さすがに監督が一流なので全体の構成と展開は見事にまとまっていますが、どこか今一歩とっつきにくい部分があって、悲劇で突っ走る流れがちょっと後味が悪かった。監督はジュリアン・デュヴィヴィエ

 

髭面の如何にもな主人公がベンチで寝ていて起こされるところから映画は始まる。この街のホテルに三年住んでいる主人公は、地元でも普通に受け入れられる人物。

 

祭りが近づくこの街の広場で一人の女性が殺され、金が奪われる。ここにアルフレッドとアリスという恋人同士がいる。実はアリスはアルフレッドの罪をかぶって刑務所にいて出てきたのだ。

 

アリスの部屋の向かい見下ろすアパートに主人公が住んでいて、主人公は見下ろす部屋にいるアリスに惚れてしまう。しかも、広場で殺された犯人をたまたま自分のカメラに撮っていて、アリスの恋人のアルフレッドだと知っていた。

 

主人公はアリスに近づき、やがて婚約まで進むが、アリスはアルフレッドのために、殺しの証拠のバッグを主人公の部屋に隠す。間も無くして街の人々が主人公が犯人ではないかと疑い始め、彼の部屋の荷物を放り出し、とうとうバッグを見つけてしまう。

 

そんなこととは知らず、証拠写真を現像して戻ってきたと主人公に街の人々が襲いかかり、わけもわからず逃げる主人公は屋根から落ちて死んでしまう。刑事が彼のカメラに隠してあった証拠写真を見つけ、遊園地でアリスと遊具に乗っているアルフレッドを見つけ逮捕しようと待ち構えてエンディング。非常に悲劇的なラストシーンゆえ、後味が良くないと言える作品ですが、ラストに至る展開は鮮やかでした。