くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「黒い司法0パーセントからの奇跡」「必死の逃避行」

「黒い司法0%からの奇跡」

実話を丁寧に抑えていくストーリー展開は非常に真面目で丁寧な作りで、映画的な小細工をしていないのはよかった。監督はデスティン・ダニエル・クレットン。

 

アラバマ州、一人の黒人が木を伐採している。車に乗って帰宅途中、パトカーに止められそのまま逮捕される。彼の名前はマクミリアン、近くで起こった白人女性殺害事件の容疑者として逮捕された。

 

そして2年が経つ。ハーバード大学を出たブライアン弁護士は北部から南部のアラバマ州へやってくる。彼の目的は不当な逮捕をされている冤罪事件の解明にあった。早速マクミリアンの事件に関わるも、いたるところに無理のある証言が散らばり、どう考えても捏造にしか見えない起訴に唖然とする。

 

物語はブライアンがなんとかしてマクミリアンの無罪を証明するべく奔走する姿を中心に、極端な黒人差別意識がいまだに根強いアラバマ州の姿を描いていく。実話なので何度かの挫折の後、州立裁判所で再審が議決され、最後の最後にマクミリアンは無罪を勝ち取って物語は大団円を迎える。

 

残念ながら、一方的にブライアンの側から描いているのが気になりますが、これはこういうメッセージを見せる作品なのだからこれでいいかとも思います。ただ、検察側の検事の苦悩するドラマをもう少し描けばもっと重厚な作品に仕上がった気もします。

 

「必死の逃避行」

クライマックスの階段シーンが、構図と言い光と影の演出といい素晴らしい作品で、物語はややグダグダとしつこいものの、単純で面白かった。監督はアンソニー・マン

 

新婚四ヶ月目のお祝いに花束を持ってスティーヴが帰ってくるところから映画が始まる。そこに運送の仕事の電話がかかる。行く気はなかったが報酬が高いので出かけてみると幼馴染のウォルトがいて、しかも盗んだ毛皮を運ぶ仕事とわかって、帰ろうとするが銃で脅され、助手席にウォルトの仲間を乗せスティーヴは仕方なくトラックに乗る。

 

たまたま通りかかった警官にスティーヴはヘッドライトで合図を送ったことで銃撃戦となりウォルトの弟のアルが逮捕される。スティーヴはなんとかその場を逃げるが、仲間が目を覚まし、銃で脅され、ウォルトのアジトへ。ところがそこでなんとか逃げ出し、妻に危険が迫っているので妻を逃し自分も妻の後を追って列車に乗る。向かうのは叔母の農場。

 

ティーヴは容疑者として新聞に顔が載り、必死で逃げる。物語は弟アルを助けるためスティーヴを犯人に仕立てようと追ってくるウォルトとスティーヴの逃亡劇、さらに、妻を農場へ届け自首したスティーヴだが警察は彼を捕まえようとしない中、刑事との三つ巴戦になる。

 

そして、農場も危ないと感じたスティーヴが、妻をカリフォルニアへ先に行かせ、そこへ、ウォルトたちが到着、スティーヴがピンチになったところへ刑事が駆けつけ銃撃戦。このクライマックスのアパートの階段シーンが素晴らしく見事。

 

そしてウォルトはスティーヴに射殺され、これを正当防衛として刑事が処理することになりエンディング。まあ、わかりやすいお話ですが、かなり安直に作った感も見えなくもない映画でした。