くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「暴力行為」「邪魔者は殺せ(けせ)」

「暴力行為」

さすがに見事な映画でした。画面の構図といいストーリーの展開といいラストの畳み掛けのカット編集といい、リズムに乗せてしまうサスペンスの傑作。素晴らしかった。監督はフレッド・ジンネマン

 

明け方の街、一人のびっこを引いた男ジョーがある建物に入っていく。この冒頭の都会のショットにまず圧倒される。ホテルの部屋で彼は電話帳でフランクという名前を囲む。そして部屋を出てカットが変わる。

 

彼が囲んだ名前の男フランクは建設業者で有名になった男で、みんなから賞賛されている姿が映る。妻と子供がいる幸せな家族で、向かいの男と釣りに出かける。その直後、びっこの男ジョーが家を訪ね、行き先を聞き、フランクを追っていく。

 

釣りをしているフランクを見つけたジョーはボートを借り、フランクのそばに止めて銃を構えるが、フランクの船はモーターボートで、そのまま帰る。さらに、フランクはジョーがきたことを知り慌てて帰ることにする。フランクは戦争中、ジョーたちを裏切った過去があった。

 

帰ったフランクは妻に話し、翌日、逃げるように建設業界のパーティへ出かけるが、ジョーが再びやってきて、フランクの居場所を突き止め後を追う。さらに、ジョーの恋人という女性も訪ねてくる。

 

フランクは会場に来たジョーをなんとかいなして逃げ、とあるバーに立ち寄る。そこで一人の女から、面倒を始末する弁護士を紹介され、その弁護士は私設警察として殺し屋のジョニーを紹介する。しかしフランクは殺し屋に頼む気などなく、翌日一旦家に帰る。

 

一方ジョニーはジョーを殺すべくジョーを呼び出し待ち構える。フランクも慌てて、ジョーの元へいく。クライマックス、汽車の停車場、歩いてくるジョー、見つけるフランク、ジョニーの車、恋人のワンカット、この畳み掛けが素晴らしい。

 

ジョニーの銃弾をフランクが受け、そのままジョニーの車にしがみつき、事故を起こさせジョニーを倒すが自らも死んでしまう。そこへ駆けつけたジョーとその恋人は、全てを終わったと、フランクの妻に知らせるべくその場を去ってエンディング。

本当に見事な作品です。一級品というべきサスペンス映画でした。

 

「邪魔者は殺せ」

シンプルな話ですが、光と影、斜めの構図、幻覚描写など、映像に魅せられる傑作でした。監督はキャロル・リード

 

脱獄して恋人の家にいる主人公ジョニーはこの地区の結社の支部長で、これから組織の資金を確保するために工場へ強盗に入る計画に向かおうとしている。

 

工場に推し入り、金を奪ったのはいいが、逃げる途中、立ちくらみしたジョニーに会計係が掴みかかりもみあったときに会計係は撃たれて死に、ジョニーも肩に重傷を負う。なんとか仲間の車に飛び込んだものの、降り落ちてしまい、車は先に逃走。一人残されたジョニーは近くの防空壕にとりあえず避難する。そこで、収監されていた時の幻覚を見たりする。

 

ジョニーを探しに出た仲間のデニスは囮になる途中で警察に捕まるし、別の三人は一人の女のところに逃げ込むが警察に通報され、死んでしまう。意識が朦朧としながら、バーや傷鉄の置き場などでなんとか体を休めながら逃げる。馬車に乗ったり様々なところを巧みに逃げていく様が中盤となる。

 

やがて、シエルという鳥好きの男が彼を見つけ、神父のところへ通報、一方キャスリンは彼を逃すべく港で船を手配する。そして、なんとか教会へ向かおうとするジョニーをキャスリンが見つけ、港の方へ逃げていくが、警察が迫ってくる。そしてキャスリンは銃を撃つが警察の銃撃で二人は死んでしまって映画は終わる。

 

狭い路地を逃げ回るショットの光と影の演出や、クライマックス、雨から雪に変わる美しい絵作りも見事な作品で、逃げるだけの単純な物語なのに、映像作りとはこうなのだと言わんばかりの演出に頭が下がってしまいます。さすがにキャロル・リード、素晴らしかった。。