くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「シェイクスピアの庭」「盗まれたカラヴァッジョ」

シェイクスピアの庭」

とにかく画面が美しい。構図といい、配色といい、光の使い方といいうっとりするほど綺麗だが、お話がとにかくつまらない。淡々としているのはわかるけれど、もう少し、静かなりにもリズムは必要だと思う。監督はケネス・ブラナー

 

ヘンリー8世上演中に大砲のセットから出火して、大劇場が焼失してしまうところから映画は始まり。このことでペンを折ったシェイクスピアは、自身の故郷に戻ってくる。迎えた妻のアン、娘のジュディスはシェイクスピアに冷めた対応をする。

 

シェイクスピアには幼くして亡くした息子ハムネットがいた。疫病で亡くなった彼のためのシェイクスピアは庭を作ることを決意する。そんな中、ジュディスは、何かにつけて息子ハムネットを可愛がったシェイクスピアを非難する。シェイクスピアは自分の才能を受け継ぎ、素晴らしい詩を書き送ってきたハムネットを重宝していたが、実はその詩はジュディスが語り彼に書き留めさせていたものだと告白する。

 

アンもジュディスも文字は書けなかったのだ。やがてジュディスは村の女好きの青年と結婚。、シェイクスピアは、ある時教会へ行き、ハムネットが死んだ年の記録を見て不信感を持つ。そしてアンらに問い詰めたところ、ハムネットは疫病ではなく、自ら沼に飛び込んで溺死したことを知る。ハムネットはジュディスの語る詩を書き留めていたのだが自分にその才能がないことを悔やんだ結果だった。

 

そんな頃、シェイクスピアは、風邪をひいたか咳き込むようになる。間も無くして彼は死んでしまい、テロップが出る。結局、孫はできたものの若くして死んでしまい、シェイクスピアの血筋は絶えた。

 

淡々と上品に展開する映像とストーリーがちょっと地味すぎて退屈だった。でも、こういう色合いに作ったのだろうと思うので、これで良かったのだろう。

 

「盗まれたカラヴァッジョ」

ヒッチコック映画を思わせるB級サスペンスタッチがなかなか面白いのですが、少々、人物整理と物語の組み立てがうまく機能していなくて、前半と後半に混乱が生まれてしまった感じです。監督はロベルト・アンドー

 

一人の男アレッサンドロ・ペスが映画会社のオフィスに駆け上がってくるところから映画が始まる。彼は有名な脚本家であるが、社長室の秘書ヴァレリアと恋仲で、この日ヴァレリアになけなしの金を渡す。実はヴァレリアはアレッサンドロのゴーストライターだった。

 

ところが、ヴァレリアはとある店で一枚の名刺をカバンに入れられ、ラッレという男から、マフィアによるカラヴァッジョの名画盗難事件を映画にするようにと依頼される。ヴァレリアはラッレの話を元に脚本を書き始めるが、あまりに面白い内容だと、映画製作の準備がどんどん進む。

 

そんな時、アレッサンドロが、マフィアらしき男たちに拉致され半殺しにされて昏睡状態になる。実は脚本の内容が事実と同じだというので、その出どころをアレッサンドロに詰め寄ったのだが、自分が書いていないので、うまく答えられず痛めつけられたのだ。

 

ところが、映画制作会社は、すでに監督も大物を起用し今更後に戻れなくなっていた。ヴァレリアはミスターXの名前で続きを書きメールで送るようになるが、その人物をマフィアは必死で追い始める。

 

物語は、自分たちの犯行の詳細を知っていると勘違いしているミスターXを探すマフィアたちの姿と、彼らの裏をかきながらヴァレリアを守るラッレ、さらにヴァレリアの母アマリアと友人の大臣との物語が複雑に絡み始める。

 

一方、映画撮影の中で、カラヴァッジョの絵を小道具として完成させ、撮影に使用するのだが、それを本物と入れ替えるマフィアの行動などのエピソードも登場。現実と劇中映画が混濁してくる。

 

そして、実は政府の上層部でマフィアからカラヴァッジョの名画を購入する取引が動いていて、それを反故にすべくラッレやヴァレリアが動くクライマックスになるのだが、この終盤が、まるでヒッチコック映画である。

 

そして無事取引を反故にし、ラッレはヴァレリアの実の父であることがわかるが、ラッレの指示された隠れ家に行くと、ラッレが事故死したニュースが入る。カットが変わり、目覚めたアレッサンドロは、実はヴァレリアがゴーストライターであったことを告白。それは映画のラストシーンで、それを見ている実際に目覚めたアレッサンドロとヴァレリアのカットとその隣に髪の毛を染めたラッレがいて映画は終わる。

 

テロップで、カラヴァッジョの盗難事件のその後や、映画がアカデミー賞をとったなどのフェイクニュースが流れエンディング。面白いのだが整理し切れていなかったのは本当に残念。