「リオ・ブラボー」
40年ぶりくらいにスクリーンで再見。映画が映画らしかった時代、映画が粋だった頃の名作に触れた気がしました。単純な物語なのにとっても温かみのある深さを感じさせてくれます。キャラクタ作りも空間演出もさすがという一本でした。監督はハワード・ホークス。
酒場にアル中のデュードがやってきるところから映画は始まる。ジョーという男が1ドル銀貨を痰壷に投げ入れ、とれと言わんばかりの態度をする。デュードがしゃがむと、横からチャンスがその痰壷を蹴飛ばす。ジョーはその場の男を撃ち殺したために、チャンスに逮捕される。いきなり物語の本編へ放り込む脚本が実に上手い。
ジョーはこの街リオ・ブラボーの地域のならず者バーデットの弟で、当然バーデットが奪い返しにくるという展開が見えて来る。そんな時一台の駅馬車が到着、ボスはチャンスの友人で、さらに用心棒として若いコロラドというガンマンを連れている。さらに一人の女が乗って来た。こうして登場人物が揃う。
間も無くしてバーデットたちもこの街にやってくる。チャンスの友人が殺され、コロラドもこの街に残る。やって来た女は実はカード詐欺をする男の元情婦だったためにチャンスは近づくが、今はまっとうに暮らしていることを知り、やがて二人はそれとなく惹かれ始める。
バーデットは巧みに仲間を呼び集め、デュードを人質にとりジョーとの交換を持ちかけてくる。そしてクライマックスの銃撃戦へ。チャンスの部下でびっこを引いている口の悪い爺さんや、ホテルマンのメキシコ人やら、脇役も面白い。そして勧善懲悪の展開でハッピーエンド。チャンスと女の恋の成就をエピローグに映画は終わる。まさに映画、これが映画。名作ですね。
「ひまわり」
言わずもがなヴィットリオ・デ・デシーカの名作。完成度の高い名作というのは本当に隙間もなく魅了されてしまいます。しかも映画的な絵作りも素晴らしい。
ジョバンナとその夫アントニオの母が、役人に噛み付いている場面から映画始まる。夫アントニオがロシア戦線に出て行方がわからないことに詰め寄っている。そして、ジョバンナはアントニオとの懐かしい日々を回想する。浜辺で抱き合い、アントニオがジョバンナのイヤリングを飲み込んでしまう場面、さらに結婚式の場面、さらに兵役を逃れるために狂人のふりをするアントニオ。しかし、バレてしまいアントニオはロシア戦線に送られてしまう。
やがて戦争が終わるが、アントニオは帰ってこない。ジョバンナは、アントニオを探しにロシアへ向かう。広大に広がるひまわり畑。必死で探した甲斐があって、とうとう居場所を見つけるが、妻と娘がいた。ジョバンナはアントニオの新しい妻と駅までアントニオを迎えに行く。汽車が来る。降りて来たアントニオがジョバンナを認めるが耐えられなくなったジョバンナはアントニオが乗ってきた汽車に飛び乗ってしまう。
自宅に戻ったジョバンナは自暴自棄になるが間も無くして新しい恋人が見つかる。一方のアントニアの家族はウィーンへ引っ越す。そんな時、アントニオの母が病気だという知らせに単身イタリアに向かうアントニオ。
アントニオはジョバンナに電話をする。ジョバンナの新しい夫は今夜は夜勤だという。会いたいと詰め寄るアントニオ。一度は拒否するジョバンナだが、列車がストで止まったため、アントニオは再度電話をして、その電話でジョバンナは自宅を教える。やって来たアントニオはもう一度やり直そうと言うが、ジョバンナの子供の泣き声が聞こえる。この辺りの演出が見事である。翌日、アントニオは汽車に乗る。それを見送るジョバンナのカットで映画は終わる。ひまわり畑が一面に広がる。これぞ名作の醍醐味ですね。もう非の打ちどころがありません。