くらのすけの映画日記

大阪の社会人サークル「映画マニアの映画倶楽部シネマラムール」管理人の映画鑑賞日記です。 あくまで忘備録としての個人BLOGであり、見た直後の感想を書き込んでいるので、ラストシーンまで書いています。ご了承ください

映画感想「ドヴラートフ レニングラードの作家たち」

「ドヴラートフ レニングラードの作家たち」

凡作ではないのですが、サロンと出版社内での長回しの会話劇を中心にした作劇は正直しんどかった。しかも、様々な人が作家に扮する映画の撮影シーンなど混乱してしまうようなシーンも他のシーンと同様のテンポとカメラで描くので、全体に緩急が見えず、さらに、どことなく政府の圧力がかかる様を見せる終盤にきてやっとうねりが感じられた。苦手なタイプの作品でした。ロシア伝説の作家ドヴラートフの6日間を切り取った作品という独自性は評価できるかと思います。監督はアレクセイ・ゲルマン・jr.。

 

書いても書いても出版されることのない作家セルゲイ・ドヴラートフ。この日も出版社で編集担当と押し問答をしている。編集部からの指示を全く聞かず自らの方針を貫こうとするドヴラートフは、ジャーナリストをしながら生計を保っている。

 

妻とは別居で、娘と時々会うだけになる。サロンへ行けば時の芸術家や作家と今の世相を論争したりする。しかし、そんなドヴラートフもやや諦めと疲れが出てきている。

 

映画は、セピア調の色彩を中心にした地味な画面と延々と追いかける長回しを多用したカメラワークで、ドヴラートフの苦悩を描いて行く。のちにノーベル賞を取る詩人ヨシフ・ブロツキーとの交流などもあるものの、終盤、ヨシフは亡命せざるを得なくなったというテロップが流れる。

 

映画は、車の屋根に登ってはしゃぐドヴラートフのカットでエンディングとなるが、終盤、友人が政府によって逮捕されたり、出版されないことを悔いて自殺未遂をする作家などのエピソードも入り、平穏ではない世相を映し出して行く。地味な映画ではあるのですが、これがロシア映画ですね。