くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「アルプススタンドのはしの方」「ぐらんぶる」

「アルプススタンドのはしの方」

兵庫県の高校演劇部の名作戯曲の映画化。と、半信半疑でしたが、めちゃくちゃ良かったです。書き込まれた脚本の見事さ、なぜなぜとどんどん引き込まれていく展開、小さな作品なのに、大作にも引けを取らない人間ドラマ。ラストはもうスクリーンに釘付けなり、登場人物と一緒に応援して感動して熱くなって涙ぐんでいました。よかった!監督は城定秀夫。

 

一人の女子高生安田が何やら肩を叩かれ気を落としている場面からカットが変わる。とある高校の今日は甲子園大会第一戦、相手は甲子園常連高の強豪。学校からの強制で応援にきた安田と田宮は、ろくに野球のルールもわからないまま、暑いアルプススタンドの隅っこで応援している。少し離れたところに元野球部の藤野がやってくる。後ろの方に帰宅部の宮下も応援している。

 

物語は安田と田宮のたわいない会話から始まるが、次第に藤野が加わり、なぜ藤野が野球部を辞めたか、なぜ安田が演劇の公演準備をしていないのかなど語られていく。前回まで学年成績トップだった宮下は、吹奏楽部部長で応援団の楽曲をリードしてトランペットを吹いている久住にトップの座を奪われていた。

 

安田の所属する演劇部は部員にインフルエンザ感染者が出たため、高校大会に出場できなくなった過去があった。最初はそのことを田宮がお茶を買いに行った時に安田は藤野に漏らすが、実はそのインフルエンザになったのが田宮だとわかる。さらに、田宮が買ってきた豆茶が、実は自動販売機で一番安いものだとさりげないセリフに説明されたりする。このあたりの緻密さが素晴らしい。

 

安田らの高校野球部のエースは園田というピッチャーで、藤野の友達でもあるが、実は宮下は園田のことが好きだった。しかし、園田は久住と付き合っていることがわかり涙を流す。藤野には野球部の友達の矢野というのもいて、レギュラーになれない矢野を揶揄したりする。

 

絡み合う人間ドラマがアルプススタンドの隅っこで入れ替わり立ち替わり描かれて、時折スパイスでやたら熱い熱血教師厚木先生が絡んでくる。次第に安田たちのところに藤野が加わり、宮下も加わり、物語は、一方的だった試合が安田たちの高校が一点差まで追いついていく。

 

次第に久住や厚木先生、安田らが一体となって最後の舞台を応援、そこに登場する矢野のアナウンス。結局あと一歩で負けてしまうものに、自然と拍手してしまう安田、そして応援席全員の大歓声に変わる。これが物語の描き方。これが感動。

 

時がたち、矢野のプロデビュー戦の夜、アルプススタンドには社会人になった安田、田宮、宮下、がくる。同じく遅れて藤野も現れる。こうして映画は終わり。もう最高の青春ドラマの秀作でした。とにかく良かったです。

 

ぐらんぶる

勢いだけで突っ走る映画なのですが、緩急が弱く、全体が平坦な仕上がり。でもまあ、勢いで退屈はしなかった。というよりヒロインを演じた乃木坂46与田祐希がとにかく可愛いので終始デレッとしてしまったし、それ以外の女優さん全員がとにかくチャーミングで、それだけで十分な映画だった。これも見せ方かなと思います。ただ、主演の二人が魅せる演技力があればもっと面白かったのだろうが、他の役者に埋もれてしまって、物語を牽引できなかったのは残念です。監督は英勉

 

島の中にキャンパスがある大学に憧れて見事入学した伊織。目が覚めてみると真っ青な空、と思いきや全裸でキャンパスで横たわっている。逃げ回った末に足の爪に書かれたメッセージのところに行くとトランポリンとパンツが釣るされている。なんとか身につけたものの、叔父の営む海のペンションぐらんぶるにやってきて、いとこの美少女千紗に会った途端時間を繰り返すように全裸でキャンパス。今度は同じように全裸の耕平と出会い二人で走り、パンツを見つけて、ぐらんぶるへ行くとまた同じ状態でキャンパスで寝ている。それをなんと十回も繰り返し、校内モニターで自分が何をされたかチェックして、鍵を見つけて部屋に行くとダイビングサークルの面々と出会う。どうやら酒を飲まされ、何度もメンバーにキャンパスに放置されたとわかる。ここまではちょっとしつこいながらも良いとしよう。この後のダンスもいい。

 

あとは、従姉妹の千紗、姉の奈々華、さらにダイビングサークル先輩の梓などと出会う。何とこの三人の美少女がどれもこれも可愛いのだからもうそれだけでいい展開になる。

 

ダイビング用具は自腹で買う必要があり、校内美男子美少女コンテストに出ることになり、一騒動の後、伊織や耕平はライセンスを取ることになり、全員がライセンス合格。伊織と耕平は二人で朝の海へ。実はライセンスを取ってこの島を脱出するのが本当の目的だった。そして潜るが、途中で千紗と会い、巨大なサンゴ礁を見せられて他のメンバーも集まり、元の海岸へ。海で伊織が拾った瓶を開けてみると、ダイビングクラブの合言葉が入っていてエンディング。

 

とにかく、雑な脚本で、伊織は千紗に惚れたはずが、結局島から出る方を目的にしているのだがそのメリハリが全く描けてないし、愛菜のエピソードも適当で、放ったらかし。ダイビングクラブの男臭いノリをもっとコミカルに爆発させれば面白くなるはずが、そこも結局美少女を見せることに力が分散されて中途半端に尻すぼみ。まあ、凡作と言えばそうですが、与田祐希以下の美少女に目の保養をさせてもらった感じで十分な映画でした。