くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「宮本武蔵」「宮本武蔵 般若坂の決斗」「宮本武蔵 二刀流開眼」(内田吐夢監督版)

宮本武蔵

大胆なカメラワークと構図、光を縦横に使った演出が豪快な作品で、何度か映画化されている中での白眉の一本という傑作です。監督は内田吐夢

 

関ヶ原の戦いに敗れた又八と武蔵の場面から始まり、お甲との出会いから又八が何処かへ逃げ、武蔵が宮本村に戻って沢庵に捕まり、木に吊るされる場面、そしてお通との逃避行から、姫路城に幽閉されるまでを描く。

 

木に吊るされる武蔵を木の上から見下ろすように捉える大胆なカメラの構図、幽閉された姫路城の天守の部屋に血が滲み出てくる場面から光が足元から照らして武蔵を浮かび上がらせるクライマックス、駆け抜ける躍動感あふれる武蔵の動きの演出など、とにかく豪快な場面が続く素晴らしい映画です。

 

娯楽時代劇とはこう作るにだと言わんばかりの大胆そのものの仕上がりに引き込まれる一本でした。

 

宮本武蔵 般若坂の決斗」

ダイナミックな中に仏法の想念が挿入されてくる展開が丁寧に描かれているのはやはり五部作にした余裕を感じる一本、見事でした。監督は内田吐夢

 

物語は姫路城の幽閉から出た武蔵は宮本武蔵となり、お通と再開するも武者修行に出ていく。奈良宝蔵院での槍の対決シーンをメインに日観和尚との出会いで、自らの強さを戒められ、剣の道の真髄を諭されるが、まだまだ受け入れられない若き日の武蔵の叫びで映画は終わる。

 

クライマックスは盤若野での浪人たちとの大立ち回り。クレーンカメラを大胆に使ったダイナミックなカメラワークは変わりないものの、次第に原作の真髄に迫っていく展開が見応え十分。

 

宮本武蔵 二刀流開眼」

丁寧に原作を追っていく展開で、五部作のゆとりでじっくり見せる物語は見応え十分。監督は内田吐夢

 

般若坂の立ち回りの後柳生の里に向かった武蔵が、柳生四高弟との戦いで二刀流を初めて見せる。しかし、念願の石舟斎と出会うことなく、京都へ向かう。そこで吉岡清十郎との一騎討ちで清十郎をかたわにしてシリーズは後半へ移って行きます。佐々木小次郎とも対面し、クライマックスへ怒涛の展開。

 

中村錦之助の迫力ある立ち回りと、夕陽や山河を巧みに取り入れた映像づくりも娯楽時代劇の真骨頂で迫力があります。五本一気に見ても苦にならない面白さで、これぞ映画全盛期の名作という感じでした。