くらのすけの映画日記

大阪の社会人サークル「映画マニアの映画倶楽部シネマラムール」管理人の映画鑑賞日記です。 あくまで忘備録としての個人BLOGであり、見た直後の感想を書き込んでいるので、ラストシーンまで書いています。ご了承ください

映画感想「アダムス・ファミリー」(アニメ版)「マロナの幻想的な物語り」

アダムス・ファミリー」(アニメ版)

半分時間潰しで見たのですが、これが意外に面白かった。アニメの造型も楽しいし、ストーリー展開も毒ありブラックユーモアあり、現代風刺ありともりたくさんに楽しめる。ラストは今時らしくちょっと考えさせられるのもいい。監督はコンラッド・バーノン、グレッグ・ティアナン。

 

人里離れた山奥、モンスターのゴメズとモーティシアの結婚式が行われようとしていた。ところが村人たちが押し寄せ、ゴメズたちファミリーを追い出してしまう。何とか逃げおおせたゴメズたちは放浪の末、巨大な呪われた城を発見、そこに住むことになる。そして13年が経つ。

 

娘ウェンズデー、息子バグズリーも生まれ、モンスターながら家族として暮らすアダムス家。麓には、普通タウンと呼ばれるモデル都市が生まれていた。この街を作ったテレビキャスターの女は、彼方に不気味に見えるアダムス家の城を目に仇に思う。

 

城の外の世界に興味を持ち始めたウェンズデーは、普通タウンの中学に通うことを決めて、街へ出かける。一方、長男バグズリーには

マズルカと呼ばれる剣の儀式が迫っていた。各地から集まってくるアダムス家のモンスターたち。一方人間世界に行ったウェンズデーは、キャスターの娘と親しくなりお互い感化していく。

 

そしてマズルカの儀式の日、キャスターの女は街の人を扇動してアダムス家の城に襲いかかる。しかし、ゴメズらは、今度は逃げないと心に決め、爆弾好きなバグズリーを先頭に反撃を開始し、しかし、爆弾が品切れになりピンチになった時ウェンズデーがおばけ大木を操って家族を助け、アダムス家を救う。街の人たちはキャスターの女にプライバシーまで覗かれていたことを知り、アダムス家と仲直りし一緒に暮らす様になって映画は終わる。

 

例によってブラックユーモア満載だが、一方で学校のいじめっ子をウェンズデーが懲らしめたり、SNSを使って人々を扇動したりという今時の設定も随所に盛り込み、それでいて、家族の絆の本当の意味を見せていくアダムス・ファミリーの物語の骨子も崩さない。お話のテンポもよく、素直に楽しめる一本になっていました。来年続編が出るとのことですが納得できる出来栄えでした。

 

「マロナの幻想的な物語り」

美しい色彩と独創的なアニメ映像で綴る傑作アニメーションという感じの一本で、物語はシンプルですがめくるめく様に繰り返される水彩画調の画面に引き込まれていく映画でした。監督はアンカ・ダミアン。

 

一匹の犬が車に轢かれ傍に一人の少女がいるショットから映画は始まる。犬の独り言からこの犬の過去へ遡っていく。フリーハンドで描かれた絵と美しい色彩がまず素晴らしい。

 

一匹の血統書付きの立派な犬が柵の向こうにスッと立っている。柵のこちらに次々と犬を散歩する人たちの姿、やがて一匹の雌犬に惚れた血統書付きの犬は、やがて九匹の子供を産む。しかし末っ子の雌犬ナインはすぐに捨てられてしまう。

 

ゴミ箱で眠るナインを拾ったのは曲芸師のマノール。彼はナインにアナという名前をつけて可愛がるが、マノールの新しい仕事が犬が禁止と知り、彼の元をさる。そんなアナを見つけたのが建築現場で働く技師のイストヴァン。彼はサラという名前をつけて可愛がり、家に連れて帰るが、イストヴァンの妻は犬を嫌い、サラは捨てられてしまう。

 

公園で寝ていたサラを見つけたのは一人の少女ソランジュ。彼女は家に連れて帰り、家族に強引に飼うことを承諾させる。そして名前はマロナとつける。しかし、ソランジュが成長するにつれマロナは疎んじられるようになる。しかし、持ち前の人懐っこさでマロナはソランジュの家族に受け入れられていく。

 

娘に育ったソランジュは、ある時マロナを連れて出かけるが、約束があったので、マロナを公園に繋いでバスに乗ってしまう。マロナは必死で綱を切り、ソランジュの乗ったバスを追いかける。そして、車に轢かれかけたソランジュをマロナが助けた直後自分が車に轢かれてしまう。そして冒頭のシーンになり映画は終わる。

 

とにかく色彩が美しい。それにめくるめく様に次々と変化していくアニメ映像も見事で、さすがに東京アニメーションアワードフェスティバルグランプリ受賞作品だと納得してしまう映画でした。