くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「浅田家!」「TENET テネット」

「浅田家!」

うまくまとまった素敵な感動作でした。それとなく構成された泣の場面も嫌味がなく、全体の流れもほのぼの感を最後まで外さない。そしてラストの仕上げも良い。前作ほどではないですが良い映画でした。監督は中野量太。

 

浅田家の父章の葬儀の日から映画は始まる。そして物語は主人公政志の幼い日に遡る。母順子は看護師をしていて、父章は主夫をしている。この日も料理をしていたが包丁を落として怪我をする。そこへ駆けつけた弟の政志もつまずいて怪我をし、兄幸宏を呼ぶが彼も階段から落ち、三人とも病院へ。そこで母順子に嫌味を言われながらのほのぼのした場面から物語は幕を開ける。

 

誕生日にカメラ好きの父からカメラをもらった政志は、その日から写真を撮り、やがて学校を出て大阪の写真学校に行くことになる。しかし、卒業にあたって、これはという作品を提出しなさいと言われ実家に戻ってくる。両手首に刺青を入れた政志を快く迎える家族。そして、父が本来なりたかったのは消防士だったと言われた政志は、兄に頼んで消防服と消防車を借りてもらい家族揃って消防士になった写真を撮る。これをきっかけに、家族がコスプレした写真を撮りまくる。

 

それなりに撮り溜めたころ、政志は写真家として独り立ちするために東京へ行くが、コスプレ写真はどこの出版社も受け入れてもらえない。幼馴染の若菜の部屋に転がり込んだ政志は、若菜の強引な勧めで個展をすることになる。その会場で、小さな出版社の編集長の目に留まり写真集を出版するも全く売れない。ところが、突然、写真界で権威のある賞を受賞することになり、それをチャンスに政志は全国どこへでも家族写真を撮りますというキャッチフレーズで仕事を始める。

 

最初のお客は岩手県野津市の家族。それを皮切りに次々と仕事をこなしていくが、ある時、東日本大震災が起こり、野津の街も津波で全滅した姿をまのあたりにする。そして、避難所で、写真をひたすら洗っている小野という青年と出会い、一緒に写真を洗い始める。ここでいくつかの胸を打つエピソードの後、72歳の章の誕生日に戻ってきて、そこで章は脳梗塞で倒れる。しかし、一名は取り留めたと聞いた政志は東北へ戻る。そこで一人の少女の家族の家族写真を撮る。

 

そして映画は冒頭の葬儀の場面へ。布団で死んでいる章の周りに子供たちが集まり、母順子が大泣きして、これでいいかというと、政志がカメラを構えている。これもコスプレだったというオチで映画は終わる。

 

物語の至る所に登場する脇の人物を一切放り出して、家族の物語で締め括る。映画の出来栄えの良し悪しより、一貫したこの姿勢は映画作りには必要かと思います。これといって大傑作ではないものの、良い仕上がりの一本でした。

 

「TENET テネット」

二回目の鑑賞はエキスポシティのレーザーIMAX。やはり二度目でも面白かった。初見が難解になるのは、多分、事細かな理論説明をふっ飛ばして、ひたすら映像で突っ走っているからだと思う。

 

前半、オペラハウス襲撃シーンから、主人公がテネットの組織に入り、逆行する銃弾の謎を追う辺りまでは完全に整理がついたが、それでも、都度都度出てくる人物の背景の説明はほとんどされていないのがわかる。

 

そして、キャットの怪我から計画の一部に狂いが生じて修正するにあたっての前半の部分との絡みも整理がつきました。そしてクライマックス、ニールが本来の時間軸を逆に変更して主人公を助ける下りですが、映像として写しているのですが、何をしようとしているのかは具体的に説明しないので、ここで混乱すると、ラストシーンの意味や感動が見えない。今回は目を皿のようにして見ていたので、ほとんど理解。

 

ただ、キャットがセイターを殺そうとするときの心理状態の激変は、やや演技力不足なのか、ちょっと弱いので、人類の命運をかけた殺人に及ぶ緊迫感は戦場シーンのみとなっているのが少し残念。でも、もう一回見たくなるほど映像は楽しいですね。