くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「アンダードッグ 前編」「アンダードッグ 後編」

「アンダードッグ 前後編」

ガチの硬派な映画ですが、かなり良かった。四時間以上あるのに退屈せずに引き込まれていきます。なんといってもクライマックスのボクシング練習から試合のシーンが圧倒されます。森山未來北村匠海の役者根性にも拍手の傑作でした。監督は武正晴

 

かつて日本タイトルマッチに出場した末永のファイトシーンから、一発のパンチに倒れる場面、そして、いまやデリヘルの運転手をしながらいまだにボクシングでの返り咲きを目指し、一方、咬ませ犬として、試合の出るも負けるだけのようなことをして過ごしていた。

 

深夜にジムで末永が練習をしていると一人の若いボクサーが飛び込んできて話しかけてくる。彼は大村と言って児童養護施設出身という過去を持ちその時才能を認められてプロボクシングを目指していた。また、末永はいつも送り迎えしているデリヘル嬢の明美と懇ろになっていく。明美は半身不随の客田淵のお気に入りになる。

 

ここに大物俳優の二世でお笑い芸人をしながらも泣かず飛ばずでもがいている宮木は、プロボクシングに挑戦する番組の企画に参加するとことになり、ジムに通いはじめるが、周りは誰も相手にしていなかった。しかし宮木はここで何かを見つけたいと必死に練習。そんな姿にジムの先輩が宮木を教え始める。

 

やがて、末永に宮木の相手としてのエキシビションマッチの仕事が来る。適当に流せばいいだけの娯楽試合だったが、直前に八百長を依頼される。この試合の前座で大村のプロデビュー戦も行われることになる。八百長依頼に適当に流した末永らだったが、いざ試合が始まると死に物狂いで向かってくる宮木に次第に末永は圧倒され、しまいにはパンチを喰らってダウンしてしまう。

 

さらに、倒しても倒しても向かってくる宮木との試合は泥試合のようになり、最終ラウンドまで戦い、末永には非難が集中、宮木には絶賛の声が会場埋める。こうしてボロボロになった末永、芸能界を引退する宮木の場面で前半が終了する。

 

後半、末永は別居している妻に離婚を申し出られる。一人息子の太郎は、先日の無様な試合で父に落胆していた。一方、たまたま末永が深夜ジムに自分の道具を取りに行き、そこに大村がやってくる。父親の虐待から逃げてきた明美の娘を末永が保護していてそこに田淵の車に乗った明美がやってくる。そこで田淵は、かつて自分を半殺しにして半身不随にした不良グループのリーダー大村を見つける。こうして物語は後編へ進む。

 

大村の妻が出産し赤ん坊を産む。公園で三人遊んでいる時、大村をつけてきた田淵が襲いかかる。その時の怪我で片目を損傷した大村は次にダメージを受けたら失明すると宣告される。大村は最後の試合に末永を指名する。

 

大村はかつて、児童施設にいる時、ボクシングを教えにきていた末永にパンチを貰い、それがきっかけで不良グループを抜けボクシングを始め、末永を目標にしていたのだ。

 

一方、デリヘル店がヤクザ組織に搾取され、潰れかけていた。そこに末永がいるとき、明美から連絡が入る。明美が夫の暴力に耐えかね、娘を突き落としたのだ。末永は瀕死の娘を病院に連れていくが虐待の跡があるため警察が明美を逮捕しに来る。そんな明美に、待っているから結婚しようと末永はいう。そんな頃、デリヘル店の店長で末永の幼馴染の男はヤクザの店に殴り込んで半殺しにされてしまう。

 

末永は大村との試合をうけることにし、二人は練習を始める。そして、知人が見守る中二人の試合は始まる。激戦に次ぐ激戦の中最終の8ラウンドまでボロボロになって殴り合う二人。抱き合う二人に最後のゴングが鳴る。

 

映画はここで終わるが、試合シーンの迫力は半端ではない。男同士のぶつかり合いがそのまま映画のドラマとなって最後を一気に盛り上げていく。すばらしいラストシーンに自然と涙が溢れて胸が熱くなりました。後半、若干フラッシュバックの多用が気になりましたが、いい映画でした。