くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「私をくいとめて」「無頼」

「私をくいとめて」

面白い映画なのですが、ちょっと間延びしてしまっている感じです。もう少しコンパクトに引き締めたら素敵な映画になりそうでしたが、のんが可愛いので最後まで見れたという感想になってしまいました。監督は大九明子

 

一人暮らしで、彼氏もいない期間も長くなり、それが返ってベストになっている主人公みつ子は、いつもの職場で、気のいい先輩ノゾミさんと冗談を言いながら楽しく過ごしている。彼女にはAという心の声の住人がいて、いつもAと会話しながら暮らしていた。

 

そんなみつ子は営業で来る多田という青年が気になっていた。たまたま家が近所ということがわかり、多田はみつ子が作る料理をもらいにくるようになる。どこかぎこちないお互いの気持ちは、何気なくフラフラと近づき始める。

 

クリスマスにローマに嫁いだ学生時代からの友人皐月から遊びに来いと連絡があり、飛行機恐怖症を克服しながら現地に着くと、皐月は妊娠していた。そして日本に帰ってきたみつ子は多田とデートを再会。そんな時、先輩のノゾミさんが片想いのカーターに告白するのに東京タワーに登るというダブルデートを提案され、みつ子らも参加、そこで多田にも告白される。

 

二人の交際は続き、沖縄に一緒に行こうと多田に誘われる。うろたえるみつ子にAは頑張れとはげまし、何気なくみつ子から距離を取り始める。そして飛行機で沖縄に向かうみつ子のカットで映画は終わっていく。

 

とにかく、もう少し思い切って切るところは切るべきだったと思う。皐月とのエピソードは必要だったのか疑問だし、会社でのコミカルなやりとりももうちょっとテンポ良く処理したほうが楽しかった気がします。意図したリズムかもしれませんが、それであるとしても、全体の尺はもうちょっと減らすべきだったと思います。でも、のんはやっぱり可愛いですね。

 

「無頼」

極道一筋に生きた主人公を追いながら時代の流れを描写していく大河ドラマのような一本。決してヤクザを肯定しているわけではなく、また批判しているわけでもなく、ただ戦後の日本が歩んできた時代をヤクザの世界を手段として描いた感じで、少々長いのですが、胸に染み込んでいく感じがしました。監督は井筒和幸

 

世に言う不良少年の典型のような井藤正治の子供時代から映画は始まる。時は1956年、母は亡く、父は事業の失敗で飲んだくれるばかりの井藤は、カツアゲしながら生きるしかなかった。大人連中にバカにされながらもがむしゃらに生き、まもなくして父も死んでしまい、次第に極道の道に踏み込んでいく。

 

映画は、兄と共に極道としていきながら次第に頭角を表し、組を持つようになり、時代の変遷の中で、還暦を機に引退して東南アジアの難民たちの力になることを決意するまでを描く。

 

人間ドラマというより、昭和という物をヤクザの盛衰を手段にして映し出した感じの作品で、当然どんぱちもある物の、どこかノスタルジックな感動に包まれてしまいました。