くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「チャンシルさんには福が多いね」「ハッピー・バースデー 家族のいる時間」

「チャンシルさんには福が多いね」

監督のキム・チョヒはホン・サンスのプロデューサーをしていたということで、非常に作風が似ているがやはりホン・サンスではないので、緩やかなテンポだけが似ていて映画としてのリズムは整っていないので、僅かに眠くなりました。

 

映画スタッフの飲み会の席、交代で罰ゲーム的に酒を飲んでいたが、突然監督が心臓麻痺で死んでしまう。映画一筋で人生の全てを賭けてきたチャンシルはいきなり行き場を失ってしまう。恋人もなく子供もなく映画会社の社長からも不要と言われた彼女は一軒の家に移り生活をはじめる。いまひとつパッとしない女優のソフィーの家で家政婦を始めたチャンシルはそこでフランス語の教師のヨンと知り合う。

 

一方、自分の隣の部屋には、大家の今は亡き娘の部屋があった。チャンシルは昔からレスリー・チャンが好きだったが、なんとレスリー似の幽霊が彼女の前に現れる。そしていつのまにかチャンシルの話し相手になる。チャンシルは密かにヨンのことが気になりだし、レスリーの言葉に、ヨンに告白するが、ヨンはチャンシルを姉のように思うと答えられ、チャンシルは落ち込む。しかし、自分の本当にやりたいことは映画作りだと改めて気づいたチャンシルは脚本を書き始める。そんな彼女のところにソフィーやかつての映画仲間が集まってくる。試写室、延々と線路を映す映像をレスリーが見ている。そして拍手して映画は終わる。

 

幽霊が出てきたり、大家がなんとなくのんびりしていたり、いろんな部分がホン・サンスの映画そのままだが、プロデューサーとしてのキム・チョヒがチャンシルに投影されていて、どこかしこにリアルが見えるあたりは面白い。特に秀でた出来栄えに思えなかったが楽しめる一本でした。

 

「ハッピー・バースデー 家族のいる時間」

とにかく喚き散らすばかりのいけすかない男女たちの騒がしいだけの映画、という感じで終盤まで走る。カトリーヌ・ドヌーブはどうでも良い存在になってるし、ラストで綺麗に締め括るかと思ったが力不足。あんまり好みの映画ではなかった。監督はセドリック・カーン

 

のんびり暮らすアンドレアの誕生日がこの日開かれることになり、長男ヴァンサン、次男ロマンらがやってくる。孫たちも集い、和やかに始まるはずが、3年前に男と出て行った長女クレールが突然帰ってくる。彼女は精神不安定で、やってきた途端訳のわからないことで混乱させる。娘のエマも戸惑うばかり。

 

物語はクレールが喚き散らす展開が騒動になりロマンの出来損ないぶりがさらにストレスとなり、誕生日どころではない流れになるが、もうダメと思われたところで孫たちがサプライズのケーキを持ち込んでハッピーバースデーの合唱でとりあえず収まる。病院に入ったクレールがロマンと過ごしていたここ数ヶ月のほのぼの映像がエンドクレジットに流れて映画は終わる。

 

なんかうまくまとまっていない、ただめんどくさい輩の話にしか見えない。フランス映画どうしたのだというレベルの一本でした。