くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「夏、至るころ」「天国にちがいない」

「夏、至るころ」

全編ゆるゆるな映画で、これというテンポもなく、どこへ向かうという核もなく、淡々と青春の物語、池田エライザの半自伝だと言いますが、その物語が綴られていく。冒頭部分はカット割が妙なのは個性なのかなんなのか、そのうちそれも見慣れてしまって、普通にラストを迎える。そんな映画だった。監督は池田エライザ

 

ワイヤーで作られたツリーのようなジャングルジムに高校生の翔と泰我が登っている。進学するか就職するかの話で、泰我は進学して公務員になりといい、翔は地元で太鼓を続けたいという。二人は地元の祭りの太鼓の奏者だった。

 

平凡な家庭を作るという泰我に、翔は平凡、幸せとは何なのかと自問自答し始める。祖父の鳥の爪を切るためペットショップを訪れ、そこで都という女の子と知り合う。都の話を泰我としていた翔はそこに都がいて、都は自分のギターを処分したいという。しかし店は閉店していたので、三人は翔らの高校へ忍び込みプールに飛び込んで戯れる。

 

翔と泰我は、この町で見える二本煙突が一本に見えるところを見つけたら幸せになるというのを聞く。翔は探し回るが見つからず、やっと見つけたところに泰我がいた。泰我はやはり太鼓を続けたいと言い、二人は祭りで太鼓を鳴らす。

 

やがて、翔は海外へ行くことを決め旅立っていく。しあわせの青い鳥と絡めた幸せメッセージが全く機能しておらず、チグハグで何を言いたいのかがまとまっていないのは、なんとも残念。結局、作っている自分しかわからない仕上がりになった作品という感じでした。

 

「天国にちがいない」

小ネタを散りばめたシュールコメディという空気感の映画で、いくらか面白いのですが、次第にその繰り返しに飽きてくる。シンメトリーな画面を徹底し、スレイマン監督のみがキャストという展開で描かれる独創的な映像は、物語も掴めないし、映像芸術的な雰囲気もあり、100分程度の作品でもしんどかった。監督はエリア・スレイマン

 

キリスト教の儀式が行われている場面から映画は始まる。そして、建物に入ろうとするが、中に誰かいて扉を開けないので、神父が怒って脇の入り口からドアを蹴破る。こうして物語?が始まる。

 

レイマン監督の庭の果実を隣人が勝手に取っている場面から、物語はスレイマン監督が新作映画の企画を売り込むためにイスラエルのナザレからニューヨークへ向かう旅を描いているらしいが、解説を読まないと全くわからない。

 

途中のパリでは洗練されたファッションや美しい街並みを見て、ニューヨークでは映画学校などに招かれるがチグハグで全く通じない。結局、企画は断られ、再び故郷に戻ってくる。

 

というお話らしいが、繰り返される小ネタの数々の間に空間移動の場面が少なく、終始ストップした演技のアップがほとんどで、どういう風にスレイマン監督が移動しているのか混乱してしまう。面白い映画なのですが、せいぜい60分くらいでまとめる感じの作品ではないかと思います。