くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「あの頃。」

「あの頃。」

今泉力哉監督作品なので相当期待したのですが、なかなかこちらに響いてこないままラストまで流れていって、ちょっと物足りなさを感じてしまいました。そもそもこういう話は今泉力哉監督はどう撮るんだろうと不安でしたが、その通り、ちょっとリズムが乗り切れなかったように感じたのは私だけでしょうか。

 

2004年、大阪。スタジオでバンドの練習をしている主人公劔は、仲間からもっと練習してこいと罵倒されるところから映画は始まる。バイトに明け暮れ、これというものもなく毎日を暮らす劔、そんな彼のところに友人の佐伯がパチンコに行こうと誘いにくる。劔はベースの練習に没頭しているので佐伯は一人でいき、そこで手に入れた松浦亜弥のCDを土産に届ける。

 

なんの興味もなかった劔だが、一眼で松浦亜弥に魅了され、CDショップへすっ飛んでいく。そこの店長ナカウチはハロプロイベントを仲間内で開催しているスタジオに劔を誘う。そして劔はそこで仲間に入れてもらい、そのままナカウチらと行動を共にするようになる。この辺りの展開の抑揚がどうも中途半端で盛り上がらない。

 

グループで知り合ったネット弁慶のコズミンらのエピソードを絡めながら、ロビやアール、イトウら仲間と騒ぐ日々を描いていくがここもいまひとつインパクトに欠ける。やがて2008年となるが、メンバーの時間は変わることがない。やがてナカウチは東京へ行く。劔は音楽への思いを忘れられず、ナカウチに誘われるままに東京へ行く。

 

そんな頃、コズミンが肺がんに犯されたと連絡が入る。もともと前向きで楽観的な彼は、癌になったことに悲観することもなくメンバーたちとの行動に何かの時は参加する。ストーリー展開に変化が出てきているにも関わらずリズムが全く変わらず、メンバーたちのノスタルジーに浸るセリフが挿入されるが、スクリーン上では全く時間が進んでいない。この違和感のまま、やがてコズミンは死んでしまう。

 

劔はナカウチの紹介で再びバンドを始めるようになり、今が最高にしあわせだと呟く。映画はこうしてフェードアウトしていくのですが、いかんせん、富永昌敬脚本なのにリズムが乗ってこないし、いつもの今泉力哉監督らしい洒落たセンスも見えてこないのがどうも消化不良な映画でした。