くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ザ・ロック」「MISS ミス・フランスになりたい!」

ザ・ロック

ロードショーで見た時はそれほど印象に残らなかったが、なぜ午前十時の映画祭に選ばれたか確認も含めて見に行った。いやあ、これは面白かった。ストーリーは大体覚えていたが、少々荒いまでも練り込まれた脚本とクローズアップをアクションの合間に随所に挿入した緊迫感あふれる演出、目にも止まらない展開、ラストまで気を抜かない構成が見事な映画でした。見直してよかった。監督はマイケル・ベイ

 

数々の勲章に輝く名将ハメル准将は、かつて政府の作戦で部下を死なせてしまった上に政府がなんの補償もしなかったことに腹を立て、新開発された化学兵器VXガスを強奪するところから映画は幕を開ける。細かいカットとクローズアップ、そして大掛かりなアクションを投入したオープニングから一気に引き込まれる。そして彼らはかつての孤島の刑務所アルカトラズ島に陣を構え、そこにやってきた観光客らを拉致する。

 

一方、ここに化学兵器に専門部署で働くグッドスピードというFBI職員がいた。彼はプレッシャーになることに快感を覚えるほどに仕事熱心で、この日も送られてきた宅配便に仕込まれた爆弾を処理し終えていた。

 

ハメル准将らは、莫大な身代金をFBI長官宛に通告し、もし応じなければサンフランシスコに向けたVXガスを搭載したミサイルを打ち込むと言ってくる。政府はアルカトラズ島の内部に詳しい一人の犯罪者メイスンを獄舎から呼び寄せ、彼を案内人としてseal部隊を送り込んで人質奪還の計画を立てる。一方で化学兵器の専門家としてグッドスピードも招集する。しかしメイスンは作戦に参加を要請する中で巧みに逃亡、グッドスピードが必死で追いかける。このカーアクションシーンも相当な見応えがあります。メイスンには一人娘がいてサンフランシスコに住んでいて会いに行っただけだった。

 

やがて二人ともseal部隊と共にアルカトラズ島に向かうことになる。グッドスピードには恋人がいて、妊娠を告白され、サンフランシスコに来ることになっていた。メイスンの案内で部隊はアルカトラズ島潜入に成功するが、ハメル准将らの罠にかかり、メイスンとグッドスピード以外全員殺されてしまう。メイスンはグッドスピードを補佐してミサイルに仕込まれたマイクロチップを一つずつ外していく。ミサイルは全部で十五機準備されていて、十三機まで無事作業を終えるが残る二機の行方が分からなかった。十三機の作業を終えるのがやたら早く、この後の二機の処理とやや矛盾を覚えるが、まあ良いとしよう。

 

やがて期限の時間が迫ってくるが、ハメル准将は、ミサイル発射に躊躇いを見せ始める。あくまで軍人であることに誇りのある彼は大量殺戮をするつもりはなかった。そして発射した一機もコースを変えて海に落下させる。そんな彼に部下は不信をだき、とうとう撃ち合いになりハメル准将も怪我を負う。そして死の間際メイスンらが駆けつけ最後のミサイルのありかを聞く。最後の一機は灯台にあった。

 

そんな頃、政府はメイスンらからの連絡が途絶えたことで、最後の手段としてアルカトラズ島を人質もろとも破壊してしまう作戦を進める。そして、爆撃機が飛び立つ。一方、グッドスピードはようやくの思いで、最後のミサイルを処理したが、最後の敵にVXガスの一つを喰らわせて殺したため、自分は緊急処置で心臓に解毒剤をうつ。意識が朦朧とする中、爆撃機が近づいてきたのを認めた彼は、作戦成功の合図の発煙筒を焚く。すんでのところで作戦は中止されたが、爆撃機の一機が爆弾を投下してしまった。幸い岩肌で爆発し、人質は助かり、メイスンとグッドスピードも助かる。しかし本部からの連絡にグッドスピードはメイスンは死んだと報告する。メイスンは当初から作戦終了後は特赦ではなく獄舎に戻されることを知っていたのだ。メイスンはかつて政府の要人が探し求めていた過去の様々な事件の真相を残したマイクロフィルムのありかをグッドスピードに教えて姿を消す。グッドスピードはハネムーンでメイスンに教えられた教会の椅子の足に隠されたマイクロフィルムを見つけて走り去って映画は終わる。

 

二時間を超える映画なのにあれだけ派手な見せ場を連続させながらも全然だれてこない上に、散りばめられた小さな伏線がちゃんとストーリー展開に寄与していくし、なんといってもショーン・コネリーエド・ハリスの存在感が半端ではないし、全盛期のニコラス・ケイジも良い。マイケル・ベイ監督が職人芸の真骨頂を見せた一本でした。

 

「MISS ミス・フランスになりたい!」

大嫌いなLGBT映画ということで一歩引いて見ていたのですが、見ているうちに、こういうメッセージの考え方もあるのかと思い始め、ラストシーンにはなぜか拍手していました。ありえない設定とありきたりな展開の普通の映画なのですが、LGBTを題材にした価値観の考え方の概念を崩す面白いメッセージが見えて、なかなか感動してしまいました。監督はルーベン・アウベス。

 

少年の頃、自分の夢をミスフランスになりたいとクラスで言って大顰蹙を買った主人公のアレックス。今は、社会の底辺で生きる人たちが集まって暮らすアパートで先の見えない何かに悩みながら生活している。親友のゲイの娼婦ローラに可愛がられ、家主のヨランダには子供のように扱われそのほかの同居人とも楽しく過ごす毎日。

 

ある時、ボクサーとなって夢を叶えた友人エリアスにあって、アレックスは幼い頃からの夢ミスフランスを目指そうと決意する。同居人の誰もが一旦は一笑に伏すが、ローラがアレックスの決意を認めてやり、同居人も応援することにする。歩き方や化粧の仕方を教えてもらいながらアレックスはみるみる美しい女性の姿になっていく。エリアスに頂点に立つためのメンタルの考え方まで教えてもらう。

 

そして出た大会で、ミスフランスの選考会の前哨戦のイルドフランスに選ばれてしまう。彼女を応援していたのは、時代の流れを読みながら、人々の意識に変化を汲み取っていたアマンダというプロデューサーだった。しかしアレックスは、なかなか選考された女性たちに溶け込めない。そんなある時、同室のパカに、アレックスが男性だとバレてしまう。しかし彼女はアレックスを応援し、真相をバラさない。

 

やがてミスフランスを決定する最終選考会、アレックスは決勝戦出場の六人に選ばれる。しかしそこで、自らドレスを脱ぎ、男であることを明らかにする。一時はブーイングになる会場だがいつの間にかそれは拍手に変わる。アパートに戻ってきたアレックスを、友人や同居人、そして仕事に嫌気がさしているアマンダたちも出迎えて映画は終わる。

 

もちろんLGBTの映画だと思う。でも、男の子が将来の夢をミスフランスと言って何が悪いのかとも考えるのです。もちろん現実には男性はミスフランスにはなれないし、出場条件にはあるはず。この映画はそこを完全にコミカルに処理してしまいグングン前に進めてしまう。その結果、人の価値観は所詮人が作ったものではないかと訴えてくる。その強引さがどこか潔い。だからラストで感動してしまったのかもしれません。