くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「アンモナイトの目覚め」

アンモナイトの目覚め」

地味な作品ですが、いい映画でした。レズビアンシーンを上品に描いているのがいいです。この監督の前作がゲイで、今回はレズ、絵作りは美しいので見応えはありますが、主人公の二人のみに偏った演出なので、折角の脇役がサラッと流したために映画全体はあっさりしたものに仕上がっています。監督はフランシス・リー

 

大英博物館に一つの化石が運び込まれる場面から映画は幕を開ける。採掘した名前を外して寄贈者の名前に変える。時代は1840年代、女性が軽んじられていた時代である。世間とのつながりを絶って海辺の街で化石を売りながら細々生活しているメアリーのシーンに画面が変わる。この日も泥だらけになりながら浜辺で化石を掘り出していた。メアリーは母と二人暮らしだが、母は過去に八人の子供を亡くして感情をなくしていた。

 

そんなある時、突然化石蒐集家の夫とその妻シャーロットが訪ねてくる。そしてその夫は、妻が鬱なのでしばらくここにおいてほしいと言って去ってしまう。メアリーは、わずかなお金をもらいシャーロットの面倒を見ながら化石を掘る。シャーロットは裕福な家庭で、メアリーのやることなすことに役に立たなかったが、持ち前の明るい性格が次第に出てきて、メアリーと化石を掘りにいくようになる。そして、シャーロットが見つけた大きな石をメアリーと一緒に掘り出したりする。ある時、シャーロットが高熱を出し、メアリーが献身的に看病をする。これまで殺伐とした生活をしてきたメアリーは、次第にシャーロットに友情以上のものを感じ始め、シャーロットもまた、自分を蔑む夫にはない暖かさを感じて惹かれ始める。

 

間も無くして、シャーロットの夫から手紙が来る。それは戻っておいでということだった。その日、シャーロットとメアリーは全裸になって体を合わせる。そして、シャーロットが去って少しして、メアリーの母は亡くなってしまう。一人ぼっちになったメアリーにシャーロットから手紙が届く。メアリーはシャーロットの申し出にロンドンを訪れる。しかし、シャーロットはメアリーに部屋をあてがい、衣服を用意して一緒に住もうと提案する。不意の提案に、とまどいながらも、メアリーは、シャーロットの元を離れ、大英博物館へ向かう。そこには、かつて自分が発掘した恐竜の化石が展示されていた。

 

複雑な思いで化石を見つめる目の前にシャーロットがいた。こうして映画は終わる。果たしてメアリーはシャーロットの申し出を受けるのか、この余韻のある終わり方が実にいい。とにかく静かで地味な作品ですが、いい映画でした。メアリーに何かと声をかける近所に老婦人や、シャーロットの夫、メアリーの母の描写がほとんどなく、あえてしていないのかもしれないが、もう少し描写しても良かったのではないかと思いました。