くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ある殺人、落ち葉のころに」「ラ・ヴァレ」

「ある殺人、落ち葉のころに」

やろうとしていることはわかるのですが、幼すぎる脚本ゆえか、映像作りに感性がないのか、独りよがりの作品にしか見えず、見ている方に伝わって欲しい何かが見えてこない。物語の錯綜感、シュールに繰り返すインサートカット、一見殺伐とした青春ドラマのような空気感に見えるドラマ、そのどれもがうまく噛み合っていない感じがします。監督は三澤拓哉。

 

和也達4人の学生時代の映像から映画は幕を開ける。そして、彼らは和也の父の土建屋に勤めることになる。何かにつけて恩義を売る和也、彼に頭が上がらない英太、どこかしら奇妙な四人の絆だが、なぜ和也の土建屋の力が彼らに大きくのしかかっているのかわからない。和也らは、会社の資金繰りが苦しいために、不法投棄の仕事を受けざるを得ない状況も描かれるがそこもよく見えない。

 

そんな頃、彼らの恩師で、和也の叔父が事故で死んでしまう。何かが狂い始めたのが葬儀の場面の人々の呟きで描かれるのだが、ただの噂話にしか見えない映像展開。そして、不法投棄の金が入り、倉庫で酒盛りをしようとなるが、英太の彼女沙希がやってきたので、普段は倉庫に女を入れることを嫌う和也が、英太の彼女を認めてやる。たまたま、トイレなどでみな席を外し、和也と沙希が二人きりになり、和也はつい襲ってしまう。

 

しかし、沙希が怒って警察に訴えるというのを周りがなぜか必死で押さえ込もうとする。この町で生きていけなくなるからだというが、どんだけ和也は偉いにかという感じが見えてこない。時折、白いテーブルで手紙らしいものを書くシーンが何度も挿入されるが、この意味が何か最後までわからなかった。

 

そして、なぜか時が経ったのか、和也がスーツ姿になっていて、地下通路でかつてカツアゲをした若者を見つけて声をかけると、和也が瓶で殴られたようなシーンが続き、突然、倉庫でトランプをする冒頭のシーンのような場面に戻って映画は終わっていく。

 

いかにもシュールに作っていますと言わんばかりの場面が散りばめられ、そのわざとらしさが最初から鼻につく作品で、これがこの監督の作風なのかもしれないが、どうも好みの映画ではなかった。前作の方が良かった気がします。

 

「ラ・ヴァレ」

えーなんなんだ?という映画である。何やらニューギニアの奥地へ向かう物語らしいが、結局たどり着いてなんのエンディングも見えないままに突然finの文字が出る。原住民との交流も、冒頭のきっかけもなんの関係も無くなっていく。不思議な作品でした。監督はバーベット・シュローダー。

 

ニューギニア、フランス人のビビアーヌは、現地の珍しい羽を仕入れて商売にするべく仲介人の店を訪れている。しかし、希望していた鳥の羽が入荷されていなくて困っていると、一人の男オリヴィエがやって来て、奥地の探検に行く資金のために幾つかの羽根などを売りにくる。オリヴィエに興味を覚えたビビアーヌは、自分の探している羽を手に入れることができるかもしれない宣教師のところまで、同行することになる。

 

オリヴィエ達が向かうのは、まだ地図にも載っていない前人未到ニューギニアの奥地だった。戻ってこれないかもしれない探検に同行したビビアーヌは、いつのまにかオリヴィエと体を合わせる。ところが目指した宣教師のところでは羽が手に入らず、さらに奥地の呪術師のところまで行くことになる。

 

そして、ぞの呪術師に気に入られたビビアーヌは、羽をもらう。そして、飛行機で戻るためにさらに奥地へ向かう。ところがオリヴィエ達との冒険に惹かれていったビビアーヌは、飛行機で戻ることをやめさらに奥地の谷を目指すことになる。

 

ここからは物語があるというよりドキュメンタリーのように、原住民との交流シーンなどが描かれる。そして、さらに奥地に進んだビビアーヌらは、ついに食料も切れる。もうダメかと思われたところで、何やら美しい谷にたどり着いて、いきなりエンディング。え?なんだったのという映画である。