くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「悪魔の人形」「古城の妖鬼」

「悪魔の人形」

名作になるようなしっかりしたストーリーなのに、何故かマッドサイエンティストが出てきて生き物を6分の1にする展開が挿入されているという不思議に奇妙な映画でした。監督はトッド・ブラウニング

 

警察が脱獄した二人の男を探している場面から映画が始まる。二人の男マルセルとラヴォンは、なんとか逃げおおせて、マルセルの妻の実家へたどり着く。なんとマルセルは妻と共に生き物を6分の1に縮小する実験をしている。といきなりの展開に唖然とする。一方ラヴォンは無実の罪で刑務所に入っていて、脱獄して復讐を考えていた。ラヴォンはマルセルの研究を利用しようと考えるが、マリセルは心臓麻痺で死んでしまう。

 

マルセルの妻は研究を続けると言い、ラヴォンと共に、ラヴォンを陥れた三人の男がいるパリへ向かう。そこでラヴォンは老婦人に化け、小人にした人間を自在に操って毒を使って男たちに復讐していくのが本編、と言っても、別に小人でなくてもいいやろという展開がなんとも微笑ましい。

 

そして二人までを復讐を果たし、最後の一人に迫る中、とうとう最後の一人が自供をしてラヴォンの無実が晴らされる。しかし、研究を続けるというマルセルの妻は、反対するラヴォンを亡き者にしようとするが反撃されたので研究室を爆破する。この無理矢理感もまた良い。

 

ラヴォンにはロレインという幼い頃に別れた娘がいて、彼女が恋人トトと行く末幸せになることを確かめて、自らは本人だと明かさずに娘の元を去っていって映画は終わる。なんとも感動的な本筋にも関わらず、何故か人間を縮小するというとんでもない話で彩を加えているなんとも珍品な映画である。でも面白かった。

 

「古城の妖鬼」

いかにもホラーという展開でひたすら怖がらせようとするが、どこかおかしい、なんでみんな間抜けなの、なんでオーバーアクトなのと思っていると、ラストで大どんでん返しで大笑いするサスペンス映画だった。いやあこれは面白い。珍傑作でした。監督はトッド・ブラウニング

 

墓場、いかにもな老婆が墓を荒らしているオープニングから映画は始まる。コウモリがわざとらしく飛び回り、ある屋敷に飛び込んでくる男。この屋敷の主人カレル卿が死んだという。しかも血が全て抜き取られていて、首に噛み跡。この地方には古城に住むモラ伯爵という吸血鬼がいるという伝説があった。飛び込んできた男も、農夫が古城のそばで血を抜かれて死んでいる死体を見たという。ノエル刑事がやってくるが、そんな伝説はないという。カレル卿の娘イレーナにはフェードルという婚約者がいる。なぜかイレーナは、何者かに魅入られたように疲れている。さらにフェードルも古城のそばで気を失って倒れてから体がおかしいという。村人が皆吸血鬼を恐れる中、突然、ツエリン教授が現れる。彼は吸血鬼の研究の権威で、これは吸血鬼の仕業だという。そしてこの地方にだけ生える植物を部屋に置くように指導する。

 

一方、この屋敷の処分をカレル卿の友人のオットー男爵が依頼されていたという書類が見つかり、オットー男爵はこの屋敷をうまく処分するべく、吸血鬼の事件を早く解決しようとする。そんな中、モラ伯爵と娘もルナはいかにもな姿で、屋敷に迫ってくる。イレーナも魅入られ、カレル卿の遺体も消えてしまって、彼もまた吸血鬼になったのではとツエリン教授は言う。そして、吸血鬼が眠っている昼に古城に向かい、モラ伯爵らを倒すことが解決の道だと、オットー男爵とノエル刑事と共に古城に向かう。しかし、手違いで蝋燭の炎が消え、ツエリン教授らはピンチになる。教授はオットー男爵に何やら囁き始める。

 

一方屋敷では、カレル卿がピアノを弾いていたがそばにイレーナがいた。そして、こんなお芝居はできないと泣いている。実はカレル卿が死んで一年が経っていたのだ。カレル卿に扮しているのは別人で、オットー男爵が彼を殺害した犯人だと判断したノエル刑事らはツエリン教授と組んで、芝居をしているのだ。古城でオットー男爵に催眠術をかけたツエリン教授は、オットー男爵が一年前に戻り、再度カレル卿を殺害する現場を再現させようとしていた。

 

そしてまんまと催眠術にかかったオットー男爵は、偽物のカレル卿を毒殺し、カレル卿の家宝の宝石を手に入れ、密かに狙うイレーナを手に入れんとしていた。そして現場を抑えられ催眠術を解かれたオットー男爵はノエルらに逮捕される。古城では、吸血鬼のふりをした役者がルナを演じた相棒の女性の役者と片付けをしている。こうして映画はユーモア満点で終わる。吸血鬼俳優のベラ・ルゴシがいかにもな登場を繰り返し、しかも、イレーナの館を閉め出しているのに何故かいるのは奇妙だったにも納得がいくし、使用人らも全員お芝居をしていたというのが、いかにも間抜けな行動の理由もわかった。とにかく掘り出し物の珍傑作でした。面白かった。