くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「サマーフィルムにのって」「三匹の悪党」

「サマーフィルムにのって」

適当に書いた脚本で適当に演技しているのを適当に演出して適当に仕上げた作品という空気が満載に映画で、こういう素人集団に近い集まりで作った映画は荒削りでもバイタリティあふれるピュアな映画がたまにあるのですが、これはさすがにいただけない一本でした。細かい演出がなってないし、演技する側も、役者としての気概が全く見えない。その上、ストーリー展開もかなり雑。箸にも棒にもかからないですが、ラストシーンだけは見どころがありました。まあその程度の一本。監督は松本壮史。

 

いかにもベタなラブストーリーから映画は幕を開ける。上映しているのはとある高校の映画部、それを冷たく見つめる主人公のハダシ。彼女は時代劇の大ファンで、所属する映画部が作るベタベタなラブストーリーに辟易としていた。クラブが終わると友達のビート板やブルーハワイと廃車の中で座頭市などを見る日々。彼女には温めている一本の脚本「武士の青春」があったが、撮影したくてもインスピレーションの湧くような役者がいなかった。

 

ある時、一人入った映画館で一人の青年凛太郎と出会う。一眼で彼こそが自分のイメージの人物だと思ったハダシは凛太郎に猛アタックするがなかなか受け入れてくれない。しかし、凛太郎は、絶対映画は撮らないといけないという。いつの間にか主役になってハダシの映画に出演することになったが、実は凛太郎は未来から来た未来人だった。未来では映画は存在せず、ハダシは巨匠で数々の作品を発表したが処女作である「武士の青春」だけ現存しないのでタイムマシンで見に来たのだ。

 

凛太郎が未来人である事をすんなり受け入れ、ハダシたちはどんどん撮影を進めていく。やがてクライマックス、ハダシは悩み始める。いつの間にか凛太郎を恋し始めていたハダシ、そして未来で映画がなくなる事を知った悲しさで悩んでいたのだ。

 

とはいえ、ようやく撮影が終わり、いよいよ文化祭での発表の日、ラストシーンが近づくとハダシは映写室に飛び込み上映を止める。そして、ラストを変更したいと、スクリーンの前で演じることに。しかも凛太郎の相手役はハダシとなって二人が戦う場面で映画は終わっていく。

 

些細な仕草の適当さが目につく上に、演技者への演出がなされていないのか素人演技で終始する。しかも、ストーリー展開のテンポも悪いし、何を中心に描きたいのか全く見えない。ラストシーンだけがちょっと見れる感じなので、ここだけのために適当に撮影してきたという感じの作品。似た作品の「映像研に手を出すな!」の方がはるかに良くできていた。

 

「三匹の悪党」

たわいのない任侠娯楽映画で、シンプルながら大雑把なストーリー展開と、スター映画としての見せ場だけを備えた気楽なエンタメでした。主人公が高橋英樹なのか小林旭なのかよくわからないてんこ盛り感もまた楽しかった。監督は松尾昭典

 

半次郎と三郎の二人が、いかさま賭博から逃げている場面から映画が始まり、とある宿場町でヤクザ者同士の争いに首を突っ込んで行って本編が始まる。祝い賭場の金を盗んだ二人が逃げる途中、一本松という一匹狼と関わり、やがてヤクザ者同士の抗争の真相が見えてくる。一方、三郎の母親との人情ドラマと半次郎を親の仇と追う女の登場など、あちこちにドラマを盛り込んで、最後は一本松を演じた小林旭に花を持たせて映画は終わる。

 

これという中身もないし、秀でた場面も特にない映画黄金期の娯楽スター映画でした。でも、こういう映画は退屈しないからいいです。