くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ」「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」

サウンド・オブ・メタル 聞こえるということ」

なるほど、これは配信ではなく劇場で見ないと真価は見えない作品です。音というものを追求し尽くした物語というか音響効果を徹底して人間ドラマの中に盛り込んだ作品。淀みのない音を聞くこと、濁った音を聞くことの本当を知らしめる、どこか哲学的な空気も感じさせる映画でした。監督はダリウス・マーダー。

 

ステージで激しくドラムを叩く主人公ルーベンの姿から映画は幕を開ける。見ている私たちも思わず耳を押さえたくなるほどの大音響。観客の反応も、それよりボーカルの声さえも聞こえない。そのドラムの嵐の中、ステージを終えたルーベンと恋人のルー。二人はキャンピングカーで移動し暮らしながらツアーをこなしていた。ある時、ルーベンは、突然耳鳴りを経験する。しばらくして収まったが、その違和感の中、再びステージに立つ。しばらくして、言葉が聞き取りにくくなってきたことから病院へ一人行き、そこで聴覚が急激に無くなっていると診断される。それでもステージに立つが途中で全く聞こえなくなりステージを後にする。追ってきたルーに耳のことを告白。

 

ツアーを中止するかどうか悩むルーベンだが、ルーはプロデューサーに連絡し、中止せざるを得ないと話を進める。一方支援団体を紹介してもらいルーベンを連れていく。最初は入り込めなかったルーベンだが、ルーに諭され、そこで暮らすことになる。世話をしてくれたのは、ここの運営者ジョーだった。ジョーは毎朝、ある部屋を空けておくのでそこでおもいつくままにノートに書くようにと提案する。

 

錯乱していたルーベンは次第に落ち着き始め、耳の聞こえない子供たちと一緒に遊んだり、手話を身につけていく。平静になってきたもののルーの活躍が気になって焦りも生まれていた。人工内耳をつけるには多額のお金が必要だったが、キャンピングカーや、音響機材を全て売り、金を工面し、ジョーに内緒で手術を受ける。

 

病院から戻ってきたルーベンはジョーに手術を受けたことを話すが、ジョーは、聴力を戻すことを望むものではないと冷たく対応して、施設から追い出してしまう。ルーベンは次の通院までの四週間、何とか過ごし、再度病院へ行き、音を感じさせる処置をしてもらうが、元のように戻ると考えていたルーベンにとって全く予期しないほどの殺伐とした音だった。

 

それでも、聞こえるようになったルーベンは、ルーの実家を訪ねる。暖かく迎えるルーだったが、もう一度旅に出て元の生活を目指したいというと、ルーは以前からクセにしていた手を引っ掻く仕草をする。ルーベンは、ルーの気持ちを察し、一人ルーの実家を後にする。公園で、雑音のような音の洪水を聞いていたルーベンは、頭の人工内耳を外す。ルーベンが全く音が消え静かになった景色を見て映画は終わる。

 

音が与えてくれていたものの意味を音を失って初めて知るという成長の物語ですが、それ以上の何かを感じさせてくれます。聴力を通じて描こうとした何かがそれとなく伝わる感じがする作品で、それをどう表現するかが人によって違うというのなのかもしれません。ただ、音響効果の演出は素晴らしかった。

 

「007 ノー・タイム・トゥ・ダイ」

ダニエル・クレイグの007を一旦終わらせるのはこの方法しかない感じのエンディングですが、何をおいても007シリーズ、そのスケールの大きさと、面白さは普通の娯楽作品として十分満足いくものでした。ただ、悪役がどうも弱くて、決してラミ・マリックが下手くそというわけではないけど、曲者感がなさすぎたのは寂しい。しかも、流行りの細菌兵器の工場もどう見ても巨大さに欠けたので、ジェームズ・ボンドのピンチ、ハラハラが物足りなかった。でもオープニングのカーチェイスは抜群に面白いし、少々浪花節的な色付けも個性があって良かったかなという感じです。監督はキャリー・ジョージ・フクナガ。

 

一人の少女がアル中らしい母親から呼びつけられる場面から映画は幕を開ける。この家は雪深い湖のほとりに立っている。突然、外に能面をつけた男が立ち、家に侵入してくる。少女は避難部屋に逃げようとするがドアが開かず、隠れていると、母親は撃ち殺されてしまう。この犯人は、少女の父に家族全員殺されたので復讐に来たのだという。あわや少女も撃たれるかと思ったが突然銃で応戦して犯人は倒れる。

 

死体を外に引き摺り出したが突然生き返り、少女は氷の張った湖に逃げる。ところが氷が割れて落ちてしまう。浮き上がれない少女を犯人は氷の周囲を機関銃で撃って少女を助ける。ジャンプカットして一人の女性が水面に現れる。ジェームズ・ボンドの恋人マドレーヌである。冒頭の少女の成長した姿だと推測される。二人は仲睦まじく愛し合い、ボンドは亡くなった過去の女性の墓地に行くが、そこにあったカードを取った途端墓地が爆発、身の危険とマドレーヌが危ないと思ったボンドは追っ手から逃れながらホテルに向かうが、悪者から、マドレーヌの父はスペクターだと知らされる。ホテルに戻り、愛車に乗りマドレーヌが指示してボンドを襲ったのかと疑う。しかしマドレーヌはそうではなかった。ここからのカーチェイスシーンが実に面白い。難を逃れたボンドとマドレーヌだが、二人には別れが待っていた。駅でマドレーヌを送り出すボンドだが、マドレーヌはさりげなくお腹を触る。妊娠しているのである。そして5年が経つ。

 

現役を退きジャマイカでのんびり過ごすボンドに旧友のフェリックスが現れる。彼はCIAで、誘拐されたオブルチェフという博士を救出してほしいという。オブルチェフはヘラクレスという細菌兵器を開発していて、その兵器は、DNAをプログラムすると目標のターゲットを殺すことができるものだった。

 

ボンドは博士を救出すべく向かい、そこでパルマという諜報員と博士のいる場所へ向かうが、何と、敵はボンドを殺すためにプログラムした細菌を放出する。ところが博士はその場にいるスペクターだけを殺すようにプログラムしていた。しかも博士は何者かに拉致されてしまう。

 

実はこの細菌はMI6のMが開発させたもので、兵器ではなく平和のためのものだった。博士を拉致したのはサフィンという男で、サフィンはマドレーヌに近づいてくる。冒頭で能面をかぶって少女を助けた男こそサフィンだった。サフィンはマドレーヌに、獄中でスペクターのボスブロフェルドを殺すように指令する。それは彼女にブロフェルドのみを殺せる細菌兵器を体につけて接触させるというものだった。

 

一方ボンドはブロフェルドと接触するため、精神科医でもあるマドレーヌと再会、彼女と同行することになる。マドレーヌには一人娘もいたが、ボンドが自分の娘かと聞くが違うと答える。ボンドとマドレーヌはブロフェルドのところへやってきたが、すんでのところでマドレーヌは思いとどまる。しかし、マドレーヌがボンドに接触していたため、ボンドがブロフェルドに触れたことでブロフェルドは死んでしまう。

 

ボンドは正式にMI6に復帰し、サフィンが計画していることを阻止するために動き始める。そしてとある島でオブルチェフ博士と兵器開発を進めているのを知り、乗り込んでいく。一方サフィンはマドレーヌと娘のマチルダを拉致して島の基地に連れてきた。そして、ボンドとサフィンの最後の戦いが始まる。

 

激闘の末、マドレーヌとマチルダは無事島から脱出させたボンドだが、サフィンを仕留める際、ヘラクレスに感染したことがわかる。一方、ボンドの持参してきた爆薬では基地を破壊できないため、基地を爆破してしまうために英国軍にミサイル攻撃をしてもらうようにMに依頼する。ボンドはサフィンを仕留めたものの、自らの体にヘラクレスを浴び蝕まれ、脱出できないまま、ミサイルは到達してしまう。ボンドの死を悼むMI6のメンバーと、マドレーヌがマチルダを連れて車で走るシーンで映画は終わる。マチルダはボンドとマドレーヌの娘だったという流れである。

 

なるほどそうして終わるかという感じですが、007は007、二時間を優に超えるけど楽しめました。最後に、ジェームズ・ボンドは戻ってくるという文字が出るので一安心でした。