「キャッシュトラック」
面白い話なのですが、脚本をこね回しすぎたのか、中盤が間延びした感じになった上に、敵と味方が判別しにくくなり、さらに主人公の動機付けがかえって話をさらに混乱させた感じになって、クライマックスの鮮やかさが全部ふっ突んでしまった。監督はガイ・リッチー。
ロスの現金輸送専門の警備会社、この日も輸送していたが突然前方を塞がれ、現金を強奪される。しかも警備員や近くの民間人も撃ち殺される。このフォルティコ警備会社に一人の男が赴任してくる。彼の名前はパトリック・ヒル。Hという通称名で呼ばれることになった彼だが採用時の試験は70点とギリギリの成績だった。しかしある日の輸送で強盗団に襲われた際鮮やかな手口で強盗団を撃退、さらにその三ヶ月後の勤務で新たに強盗団に襲われるが何故かHの顔を見た強盗団は退散してしまう。
謎を秘めたHの正体に疑念を抱く同僚たちだが、そんな頃、ブラックフライデーに集まる18000万ドル強奪事件が進行していた。物語は五ヶ月前に戻り、パトリックはとある組織のボスだった。帰省の時しか会えない息子とこの日過ごしていたが、急にメンバーが事故を起こし、臨時で、あるキャッシュトラックの動きを報告してほしいと連絡が入る。目的地に車を止めて、キャッシュトラックの行き先をチェックするつもりだったがそのトラックが強盗団に襲われ、さらに車で待たせていたパトリックの息子が撃たれてしまう。しかもパトリックも重傷を負う。
怪我が回復したパトリックは、組織の部下に命じて犯人の目星をつけていく。この流れが、どうもよくわからない。パトリックは何者なのか、しかもFBIも強力に手を貸すという流れも背景が見えない。パトリックは、その強盗事件がフォルティコ警備会社の内部の協力者の仕業だと突き止め、フォルティコ社に潜入する。こうして物語は冒頭へ移る。
ブラックフライデーの大金を強奪するため、フォルティコ社を襲った強盗団は、次々と警備員を撃ち殺す。一方、Hも反撃するが最後の最後で、撃たれてしまう。強盗団は仲間割れを起こし、最後の一人が金を持ち帰るがそこにHがいた。Hは無事だったんや、という流れも実に弱い。そして、パトリック=Hは、息子の敵であるその男を撃ち殺す。出てきたところにはFBIが待っていて、パトリックが仕事が成就したことを確認して、現場へ乗り込んでいく。パトリックは車で去って映画は終わる。なんともスッキリしないが、まあ大体そんな感じの映画だった。
復讐劇なのですが、どうも鬼気迫る迫力が見えてこないし、捏ね回されたプロットの組み立てが、かえって肝心の話を希薄にした感じです。アクション映画なのに中盤眠気が襲ってきました。