くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「娘ざかり」「育ちざかり」「兄貴の恋人」

「娘ざかり」

爽やかすぎる青春ドラマという感じの一本。内藤洋子のアイドル映画色が前面に出てくるけれど。あまりに爽やかすぎて嫌味にも見えない明るさがとってもいい作品でした。監督は松森健。

 

牧師を父に持つ主人公陽子が大学に合格するところから映画は幕を開ける。OBの渡辺に憧れて自動車部に入った陽子らの学園ドラマが展開する。これという物語もなく、結局、平和すぎるドラマで終始流れて、新入生のラリーシーンでドタバタコメディの展開から、OB渡辺の結婚式の場面で大団円を迎える。

 

なんのこともない作品ですが、テンポがいいのと底抜けに明るいので、全く退屈しないし、エンディングの後も気持ちよく映画館を出ることができる。こういう映画が山のように作られていた時代のある意味佳作という感じの映画でした。

 

「育ちざかり」

これまた内藤洋子のアイドル映画ですが、とにかくドライで湿っぽいところが全くない作り方がとっても楽しい作品。思春期の少女の恋の行方という平凡なお話ですが見ていて清々しい。これが青春映画です。監督は森谷司郎

 

高校生の陽子がテニスをしている場面から映画は始まる。彼女は姉浪子の恋人南田のことをひそかに慕っている。物語は思春期を迎え、恋や結婚、男女関係に興味を示して行く様を一番上の姉夫婦の姿や、二番目の姉のカップルを観察して成長して行く姿を描いていきます。

 

何かにつけて陽子のショットが多い映画ですが、内藤洋子のキュートさが映画をとってもピュアに仕上げていって見ていて、本当に気持ちがいい。義兄の浮気現場に遭遇してもサラッと流れてしまうし、妙に暗くならないあっけらかんとした空気感が終始ほのぼのしてしまいます。時代といえばそれまでですが、これもまた高度経済成長期の映画の一本ですね。楽しかった。

 

「兄貴の恋人」

少々お話はバラバラでまとまりがないとはいえ、加山雄三、内藤洋子、酒井和歌子を見せるには十分な無理矢理感で面白い作品でした。監督は森谷司郎

 

北川鉄平が出勤する場面、何かにつけ世話をする妹の節子だが、兄を男として慕っているところがあった。鉄平の会社の同僚で、密かに思いを寄せている野村和子が退職することになる。和子は叔父がやっている居酒屋のようなバーに勤めることになる。鉄平の見合い話が来るたびに、節子は難癖をつけて潰そうとする。

 

そんな鉄平に、重役の知り合いの大企業の娘との縁談話が起こる。鉄平は、理想の結婚だと考えるが、結婚を考え始めると和子のことが頭に浮かぶようになる。そんな和子にはヤクザの兄と病弱な母がいて、結婚には消極的だった。

 

物語は鉄平の結婚話と節子の兄への思いなどが入り組んで展開するが、節子が習いにいっているピアノの先生とのよくわからないエピソードや、鉄平が和子の兄の喧嘩に巻き込まれて大怪我を負い、アメリカ赴任が不意になる話、などなどが入り乱れて全くまとまりなく展開。

 

そして、鉄平は福岡赴任となりその旅立ちの日、節子は和子に迫って、和子の本心を聞き出し、鉄平からのプロポーズを受ける決心をしてハッピーエンドで無理矢理映画は終わって行く。

 

さまざまなエピソードのてんこ盛りで、よくわからない場面もあり、雑多な仕上がりの作品ですが、看板俳優をずらりと並べたスター映画として楽しむ一本だったのかなと思います。