くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ブラックボックス 音声分析捜査」「大魔神」(4K修正版)

ブラックボックス 音声分析捜査」

久しぶりにさすペンス映画の一級品に出会いました。面白い。その一言に尽きます。カメラワークで見せる緊張感と、テンポ良いストーリー展開、ヒッチコックを思わせるクライマックス、登場人物の心理ドラマの変化で見せる構成、伏線を埋め込んだ緻密な台詞の数々、傑作と呼べる一本でした。何度も書きますが面白かった。監督はヤン・ゴズラン。

 

大型旅客機のコックピットから映画は幕を開ける。カメラがコックピットを出てどんどん下がって行き、客席を抜けて最後尾のブラックボックスへ辿り着く。途中に、これからおこる物語の伏線映像を組み入れています。この長回しのオープニングが実に美味い。まるで「サイコ」。

 

カットが変わると、ヘリコプターの事故映像を分析する音声分析官のポロックとマチュー。上司ポロックの意見に疑問を投げかけるマチューの発言に、ポロックは厳しく叱責してその場を立つ。マチューが部屋を出ると職員が慌ただしく応対している様子が飛び込んでくる。旅客機が墜落したということで、ポロックブラックボックス回収と分析に派遣することに。しかし、いつもの相棒のマチューは誘われずバルザンが代わりに同行することになる。てっきり、さっきの意見具申が原因だと思うマチュー。

 

回収されたブラックボックスを分析するポロックとバルザンの様子を見つめるマチューだが、翌日、突然所長からポロックが出社してこないのでマチューが後を引き継ぐようにと指示される。とりあえず分析を進めるマチュー。そして、判断できる音声から、おそらくイスラム過激派系の乗客によるテロだろうと発表する。

 

マチューの妻ノエミは旅客機などの認証の仕事をしていて、この日も新しい旅客機の認証を行い、航空機会社の社長らからチヤホヤされている姿をマチューは見ていた。しかし、乗客からの最後の通話記録を聞いたマチューは、ボイスレコーダーに三分の矛盾があることに気がつく。しかし所長は過去の例からもあり得るとマチューの意見を聞かなかった。しかし、同じ航空会社のパイロットと話をした際、機械優先で人の操作を無視する会社のやり方に問題があるという発言を聞き、詳細を求めるが、それ以上に意見は引き出せなかった。

 

旅客機に安全システムなどの開発をするペガサスセキュリティのグザヴィエはノエミと親しく付き合っていることをマチューは偶然知ってしまう。マチューは、軍本部に保管されている自動操縦システムの機械を再調査したく、その証拠もためにノエミがパソコンに保管していた事故調査の極秘資料を手に入れ所長を通じて機械を手に入れることに成功する。

 

しかし、その漏えいが表立ってノエミは聴聞委員会にかかることになり、航空機会社への転職の話も立ち消えてしまう。マチューとノエミの関係はギクシャクし、ノエミはマチューとの連絡を絶ってしまう。しかし、ノエミはグザヴィエと話している時に、公にされていないデータに書かれた事故の中身の部分に触れたことで疑問を抱く。ノエミは、マチューを信じなかった自分を恥じてマチューに連絡をする。

 

一方マチューは、イスラム過激派の仕業ではなく、かつて航空システムをハッキングした男が旅客機に乗っていたことを突き止め、事故の原因は警告を与えるために旅客機内でハッキングしたことが自動操縦の誤作動を招いたためだと確信する。

 

しかし、マチューは更迭されることになり、自分のパソコンを整理していて、かつてのヘリコプターの動画のデータが修正されていることに気がつく。そしてそのデータから、ある座標が埋め込まれていることに気がつく。そして、その座標に場所に行く。なんとそこはポロックの自宅のそばの池に中だった。

 

マチューは池の中から、墜落事故の本当のボイスレコーダーを発見、それを再生してみると、そのデータの最後にポロックの告発動画が埋め込まれていた。ポロックはかねてからグザヴィエに調査資料を事前に知らせていたが、次第にエスカレートし、ついには先日の墜落事故のボイスレコーダーのデータ改竄を依頼されたのだという。しかし、マチューには危険が迫っていた。

 

マチューはデータを転送して、ポロックの家を脱出するが追手が迫ってくる。なんとか蒔いたと思ったのだが次の瞬間、マチューの車がハッキングされ事故を起こさせられ死んでしまう。後日、グザヴィエの講演の場、ノエミはマチューからの動画を公にし映画は終わっていく。

 

オープニングの長回しからクライマックスまでまさにヒッチコックサスペンスで、カメラワークといい、ストーリー展開と言い、画面に釘付けになります。難をいうと、犯人が悪戯半分にしたハッキングが原因というお粗末さ、主人公が最後の最後死んでしまうはもうちょっと練って欲しかった。でもとにかく面白いの一言、サスペンスの傑作を堪能した感じです。

 

大魔神

スクリーンで見るのは二度目ですが、シリーズの中ではやはり一番しっかりできてますね。クライマックスの特撮も素晴らしいし、ストーリーも丁寧にできています。今回も楽しめました。監督は安田公義。

 

ある城下の農民の家、どーんどーんという地響きが伝わってくる。村の山の奥にある魔神が怒っているのだという。早速鎮めるための祭事が行われる。それをじっと見つめるこの地の城主。ところが、老中らの謀反で城主は殺される。なんとか若君と姫を逃したのだが、城主が変わって悪政が蔓延る。そして10年。

 

お家再興を図る若君らは、腹心の部下と再興の機会を探っていたが、部下が捕まり、その部下を助けに行った若君も捕まる。魔神を守る巫女が城主へ嘆願に行くが殺され、しかも魔神を封じ込めている石像を壊す命令が降りる。

 

家臣らが石像を壊そうとすると、天変地異が起こり、さらに姫の命をかけた願いに魔神が目覚める。そして、悪徳城主を殺し大暴れするが、農民も巻き添えになる。そこで、姫が再度涙ながらに許しを乞うと魔神は土の塊となって消えてしまう。こうして映画は終わる。

 

時代劇色がかなり濃厚とは言え、クライマックスの大映特撮の迫力には頭が下がります。面白かった。