くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「子連れ狼子貸し腕貸しつかまつる」「355」「大怪獣のあとしまつ」

子連れ狼子貸し腕貸しつかまつる」

大映倒産後、若山富三郎が勝つプロで作った満身のシリーズ第一作。多重映像を使った様式美を全面に出し、劇画タッチの演出で見せるややスプラッターな殺陣シーンが抜群に面白い作品。これぞ娯楽映画と言わんばかりに力の入った映画でした。監督は三隅研次

 

とある藩の幼い殿が腹を切らされる場面、御公儀介錯人拝一刀が登場する場面から映画は幕を開ける。ところが拝一刀は、介錯人の地位を奪わんとする裏柳生、柳生烈堂の陰謀で妻を殺され、濡れ衣を着せられる。拝一刀は、幼い息子大五郎を連れて刺客として裏柳生を倒すべく旅に出る。そして、とある湯治場でとある藩の陰謀を食い止めるように仕事を依頼された拝一刀が湯治場でごろつきどもをあっという間に倒すクライマックスへと物語は流れていく。

 

とにかく鮮やかすぎる殺陣シーンと、手足がスパッと切られるスプラッターシーンに血が噴き上がる派手な場面の連続が実に爽快。柳生烈堂のいかにもマンガチックなキャラクターも映画を面白くしている。大ヒット作の第一作にふさわしい映画でした。

 

「355」

ダラダラと、実は、実はの連続のドラマ作りがなんともまとまりがなくて、中心のキャラクターと悪人側がごっちゃになってしまって、中途半端なアクションの連続だけの映画でした。監督はサイモン・キンバーグ。

 

ボゴダ国、麻薬取引だろうか、いかにもなボスの前に取引相手の男が現れる。しかし、売人組織のボスは一人の男を連れてきて、その男がパソコンに何やらデバイスを接続して操作すると。空を飛んでいる旅客機が墜落する。なんと、その装置はあらゆるコンピューターシステムを自由にできる画期的な品物だった。ところが顧客の男はいきなり売人のボスを撃ち殺し、部下の傭兵たちが突入し、デバイスを手に入れて、売人たちを皆殺しにする。

 

CIAのマークスは、部下のリックとその恋人のメイスのCIA局員に、パリでデバイスを手に入れてくるようにという任務を与える。ところがパリで金を持って待っていたニックとメイスはドイツ諜報員のマリーらに奪われてしまう。メイスはMI6のハディーシャの助けを得て、デバイスを取り戻す作戦へ移る。そこへ、心理学者でコロンビア諜報員のグラシーが巻き込まれ、さらに中国政府で働くリンも加わっての、訳のわからない争奪戦が繰り広げられるのだが、話が全く整理されておらず、次第に女諜報員が力を合わせていくくだりがめちゃくちゃで、一体何がどうなっているか追いついていかない。

 

そして、死んだと思われたニックが実は生きていて、CIAのマークスが黒幕だとわかるが、実はさらにニックの悪巧みがあってマークスも殺されるという展開になると、もうメチャクチャになる。そして結局、デバイスの破壊に成功し、女諜報員たちは姿をくらますが、全て治ってCIA長官となったニックの前に全員が現れ、ニックに薬を与えて、復讐を果たして、それぞれがそれぞれの国に帰って行って映画は終わる。

 

なんとも言えないその場限りの展開のドラマで、まるで連続ドラマを無理やり繋いだかのようなストーリー構成になっている。と言ってアクションシーンが優れているわけでもなく、キレがいいわけでもなく、謎解きのサスペンスが面白いわけでもない。普通以下のアクション映画という感じでした。

 

「大怪獣のあとしまつ」

やってくれました。超大作の仰々しい三木聡ワールド全開。下ネタと一発ギャグのボケとツッコミの中に、アイロニー溢れるシュールでコミカルなストーリー。そしてラストの、ああそうかというエンディングになぁるほどと唸らせる映画でした。まあここまで大袈裟な作品にしなくてもいいのではないかという一本でした。監督は三木聡

 

閃光と大爆発、そして巨大怪獣が一級河川の真ん中で死んでいる場面から映画は幕を開ける。日本政府は、怪獣による危機を脱したものの死体の後始末に困っていた。しかも、腐敗が進み、ガスが漏れ始め、事態は急を要してくる。

 

怪獣退治のために組織された特務隊の帯刀アラタは、3年前に突然姿を消し、2年後に何食わぬ顔で現れた経緯があった。元カノのユキノは内閣総理大臣付で元特務隊の同僚雨音の妻となっていた。怪獣は次第に膨張を始め、ことが急がれるが、政府内では覇権争いが起こり、さらに韓国の無責任な申し出などもあり大混乱を極める。

 

小さな爆発が起こり、体液らしいものが噴き出し、それを浴びたらキノコが生える菌糸を含んでいることもわかる。川の上流の巨大ダムを破壊して海に押し流そうとするがうまくいかず、八見雲なるいかがわしい男の提案で、焼き肉の排煙方法のようにガス抜きする作戦が立てられる。

 

しかし、まともにミサイルを撃ち込むと大惨事になると判断したアラタは、ユキノの兄で爆破のエキスパートブルースの指示を受けて単身、怪獣の上に登る。ところが、最後の最後にミサイルが打ち込まれ、アラタは地面に落ちてしまう。ユキノが駆け寄るが、アラタは何事もなかったように立ち上がり、何やらスマホのようなものを出して叫ぶとみるみる大きくなり、怪獣を持ち上げて宇宙に飛び去る。なんとアラタは選ばれしものだった。って、ウルトラマンか!こうしてハッピーエンド。

 

とにかく、出てくる人間誰もが魑魅魍魎の如くいかがわしいし、いつもの三木聡節で喋りまくるボケとツッコミシーンの連続、そして下ネタ。そんなこんなを楽しんでいるうちにあれよあれよと物語が進んで、ラストはヒーロー映画でエンディング。まあ楽しい映画でしたが、ここまで大作にしないといけないのかと思うような摩訶不思議な映画だった。