くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「少林寺」(4Kリマスター版)「ニワトリ⭐︎フェニックス」

少林寺

40年ぶりの再見。ストーリーは単調だし、拳法シーンが好きではなければ、正直退屈な映画かもしれません。でも、本物の格闘技シーンは圧巻というのは今見直しても絶品でした。監督はチャン・シン・イェン。

 

ワン将軍の圧政のもとで労役をこなす主人公ショウホの父が、ワン将軍に殺される。なんとか逃げたショウホは、少林寺の門前で気を失って倒れてしまう。タン師父に助けられ、少林寺で働く事になったが、僧たちが拳法の修練をしているのを見て自分も拳法を習いたいと申し出る。しかし、拳法を身につけるためには僧にならなければならず、ショウホは、僧となる決心をする。

 

しかし、ショウホの目的はワン将軍への復讐だけだった。修練をする中で、師父の娘パイとの間に恋心も芽生え、また、ワン将軍の圧政の調査に侵入していたリーとも知り合う。物語は、ショウホとワン将軍、リーの三つ巴の話にパイとの恋、師父との師弟関係を絡ませながら、ショウホの成長を描いていくが、頻繁に出てくる格闘シーンは、次第にワンパターンになってくるのがちょっとしんどい。それでも、本物の技を次々と見せられる迫力は十分です。

 

リーを追うワン将軍が、ついに少林寺を追い詰め、軍隊を率いてワン将軍を襲ってくるリーやショウホを交えての最後の決戦となる。その中で師父は亡くなる。そして、ショウホはワン将軍を倒して復讐を果たし、晴れて、僧侶として生涯を送る決心をして映画は終わる。

 

同じような展開を繰り返すストーリーは、次第に飽きてくるのですが、格闘シーンが好きならたまらないほど見せ場の連続です。だからこそ、語り継がれるのでしょうね。面白かった。

 

「ニワトリ⭐︎フェニックス」

「ニワトリ⭐︎スター」の続編。PVのような映像展開なのですが、全体に流れる空気感が次第に見えてくる終盤に向かって、何かを感じさせる感動を呼び起こしてくる作品。一見、悪ノリしていく前半部分に嫌気が刺してくるかと思いきや、正当なロードムービーのような面白さが見えてくる中盤からの、どこか人生のうんちくを漂わせる終盤、そして、あらゆるこだわりで縛られている馬鹿馬鹿しさを振り返らされるラストに胸が熱くなっている自分を見てしまう。そんな不思議な映画だった。監督はかなた狼。

 

楽人に誘われて、適当な旅に出てきた草太、彼はどうやら癌らしく、一方楽人は、いかにもヤバそうなヤクザものからせっつかれる電話に逃げてきた感じである。これから結婚式のような一人の女性が、大事なものを忘れてきたと言って、慌てて家に向かう場面を時折挿入しながら、草太と楽人の車での当てのない物語が展開する。アニメを交えた遊びのような映像が前半続く。

 

途中、農業ラッパーに出会ったり、妖怪のような人たちがいるバーに入ってしまったり、自転車旅行をする青年に出会ったり、落ち着いた僧侶と出会ったり、誰もいない映画館の館主と出会ったりしながら、火の鳥を目指してただただ車を走らせる。そしてたどり着いた神社で、火の鳥のオブジェを発見、旅の終盤が見えてくる。

 

一方、結婚式に大事なぬいぐるみを取りに戻った女性は、実は草太の娘?なのか、子供の頃から大事にしていた人形を抱いて、父に感謝のスピーチをする。母は事故で死んでいるらしく、一人で育ててくれた父への感謝の言葉に涙し、これまでのロードムービーは父の思い出の一品らしい。草太は、フェニックスを見つけた後、後ろで眠る楽人のそばでビデオレターを撮っている。

 

戻ってきた楽人はヤクザに電話をするが、そのヤクザは、もう俺たちに関わるなと電話を切り、自分達も田舎で農業をしようと組を解散すると周りに豪語する。こうして、なにかしら胸に残るエンディングを迎える。

 

たわいのない映画ですが、どこか心に残る映画でした。