くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「いつも2人で」「ホリック×××HOLiC」

「いつも2人で」

決してずば抜けた傑作ではないけれど、洒落たラブストーリーを堪能できる映画でした。オードリー・ヘップバーンがいてこその映画という感じですね。40年ぶりくらいの再見です。監督はスタンリー・ドーネン

 

倦怠期を迎えているジョアンナとマーク夫婦が、仕事で呼ばれた先へ飛行機で向かうところから映画は始まる。今や建築家として成功し、娘のキャロラインも生まれて裕福に暮らしている2人だがどこかギクシャクしていた。映画は、彼らの現代を描きながら、2人の出会いの頃の貧しかった頃の恋物語から、やがて新婚のラブラブの時代、お互いに浮気をしてギクシャクしていきながらも、愛を確認し合う熟年期から現代へ至る物語を空間と時間を交錯させ、車を乗り換えていくことで時間軸を表現しながら描いていきます。

 

そして、目的地に着いた2人はそれぞれの過去の浮気相手と再会するが、浮気相手同士婚約が決まったことを目の当たりにし、マークとジョアンナはパーティの席を離れて車でドライブに行く。そして離婚の言葉をちらつかせながらも、お互いに離れられず、再度愛を確かめ合ってキスをしてこれまでの物語がフラッシュバックして映画は終わる。

 

シンプルですが、巧みに組み合わせたストーリーでリズムよく展開する物語はとっても洒落ていて軽妙で楽しい。オードリー・ヘップバーンの存在感で持つような作品ですが、名作として位置付けてもいい映画だなと思います。

 

「ホリック×××HOLiC

なんとも言えない平凡な映画で、デジタル映像というのが発達していなかったら見ていられない出来栄えの映画でした。役者任せの演技演出と映画センスが全くない監督の蜷川実花の絵作りの陳腐さ、しかもストーリーが全然流れてこない前半部分からいきなりのクライマックスも悪役の吉岡里帆の適当演技に映画自体がどんどんスケールダウンしていくのには参りました。原作がそれなりにしっかりしているので、なんとか踏みとどまったものの、もういい加減、蜷川実花も映画作るにやめたらいいと思う。

 

アヤカシなる人に取り憑いたような悪が見えてしまう四月一日=ワタヌキが必死で逃げている場面から映画が始まる。そして、絶望した彼は屋上から飛び降りようとするが、そこに一匹の美しい蝶が現れ、それに惹かれるようについていくと、不思議なミセにたどり着く。そこの主人ユウコは、どんな願いも叶えてくれるという。但しそれには見返りが必要だというが、ワタヌキにはなんの希望もなく与えるものもないという。そこでミセを手伝うことになるワタヌキ。ここまでの展開の適当さにまいってしまう。しかもユウコのカリスマ感が今ひとつ見えてこないので、その後の謎のエピソードのいくつかもなんの面白みもない。

 

ワタヌキは学校でひまわりという少女と関わりを持ち始める。彼女は生まれながらにアヤカシを身にまとい、周りの人間を不幸にしてしまうことに悩んでいたが、百目という同級生といると楽だからと、ワタヌキを含めて三人で行動するようになる。ワタヌキはひまわりのアヤカシをなんとかしようと考えて、自分の身を犠牲にしてアヤカシを取り込もうとして、階段の上から落ちて重傷を負ってしまう。目が覚めると女郎蜘蛛が傍にいて片目を食べさせて貰えば助けてやると、ワタヌキの片目を食べる。さらに、ワタヌキは女郎蜘蛛に今のままの平穏な日々をかなえてくれるように望んでしまう。

 

目が覚めたワタヌキの目は普通だった。何かがおかしいと考えるが、この日は四月一日、ワタヌキの誕生日だった。神社の祭りに行き、ユウコに頼まれた焼きそばを買って帰り、夕食を作り、ユウコらと食事をするが、再び目が覚めると四月一日だった。そして、ワタヌキは四月一日を繰り返すようになる。

 

ワタヌキは、片目を女郎蜘蛛に取られたが、百目が自らの目をワタヌキに与え、さらにワタヌキの命を助けるためにひまわりと百目は見返りをユウコに与えていた。それを知ったワタヌキはなんとか女郎蜘蛛のループから抜け出すため、ユウコの助けを得て、女郎蜘蛛と対決に向かう。一方ひまわりは、この街から出ていく。

 

百目がいる神社に向かい、そこで女郎蜘蛛とアカグモらと戦いを始める。しかし、女郎蜘蛛は境内に安置してある魔物を呼び出してしまう。そこへ、ユウコが助っ人にやってくる。女郎蜘蛛やアカグモは魔物に取り込まれてしまうが、表に出てこようとする魔物をユウコが防ぎ、その間にワタヌキと百目が神の矢を放ってことなきを得て終える。しかしユウコは、ワタヌキらの前から消えていく。

 

ワタヌキは、ユウコにミセに止まってほしいと懇願するも、ユウコは蝶の化身となって消えてしまう。ワタヌキはミセを継ぐことを決意し、百目と共に客を迎えるようになって映画は終わる。

 

とにかく、センスのない色彩と造形美術で作り出されるCG映像が派手なだけであまりに品がない上に、ストーリーテリングがなってないために、物語が全く流れていかない。しかも展開それぞれに動機づけがない上に、役者へに演技演出ができていないために、役者が勝手にお芝居をしていて映画全体がまとまってこない。そんなままで、なんでを繰り返しながらにクライマックスとエンディングとなる。まあいいかという仕上がりになった感じの適当作品でした。