くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「何食わぬ顔」(long version)「ツユクサ」

「何食わぬ顔」

東京大学映画研究会によって全編8ミリフィルムにて撮影された作品。画面が荒いのは仕方ないけれど、映画イン映画という形式とセリフのテンポで見せる面白さは、ちょっとしたものでした。監督は濱口竜介

 

競馬場で三人の青年が馬券を買って見ている場面。中の一人が勝ち、夜まで騒いで公園でサッカーをしている。彼らは自主映画を作っていたが、監督をしていた野村が亡くなり、頓挫していた。しかし、野村の弟は亡き兄の意志を継いで映画を完成させようということになって、かつての仲間に連絡を取り撮影を再開する。やがて完成した映画は上映され、主要メンバー五人のその後を淡々と描いて映画は終わっていく。

 

商業映画ではないので、ちょっと人物関係とかストーリー展開がわかりづらいところもあるけれど、後の濱口竜介監督の色合いがよく出ている作品でした。

 

ツユクサ

小ネタのエピソードや台詞を散りばめて展開する作品ですが、まとまりがないので、せっかくの物語が綺麗に締め括れなかった感じです。平山秀幸監督の得意な作品ではなかった感が目立つ仕上がりで、筋の通った中心の話がボヤけた仕上がりの映画でした。

 

間も無く50代という主人公芙美さん、彼女の友達の息子で仲の良い少年航平の一人台詞で映画は幕を開ける。航平は天体望遠鏡で夜空を見るのが好きで、隕石についてのうんちくを語っている。一人車を運転している芙美さん、突然、空が光り、何やら落下してきて、次の瞬間芙美さんの車は横転する。航平の母に助けを呼んだ芙美さんからも物語が始まる。

 

晒し工場でしょうか、芙美さんは同僚の妙子さんらと女子トークをしながらの日々。航平は芙美さんを連れて海岸に行き、先日落下した隕石を探し見つける。大学で調べてもらったら月の石だという。芙美さんは断酒会に参加している。芙美さんが酒に溺れるようになったのは息子を事故で亡くしたかららしく、それを忘れるためにこの街に来たらしい。

 

芙美さんは毎日ジョギングをするが、一人の警備の仕事をしている中年男性と出会う。彼は篠田吾郎と言って、元歯医者だったが、妻を自殺され、忘れるためにこの街に来た。さまざまな小さなエピソードが語られるが、中心の話は芙美さんと篠田吾郎さんの新しい恋に話である。

 

航平の父は母の再婚相手で、まもなくして新潟に転勤する話が出ている。芙美さんの行きつけのバーのマスターはかつて捕鯨船に乗っていたという。芙美さんの断酒会の会長は、実は酒を飲んでしまい芙美さんらに見つかる。そんな色々が次々と語られるので、芙美さんと篠田吾郎さんの話が完全に埋もれる。しかも航平の初恋のエピソードまで登場する。もう、ただのネタ帳的な展開である。篠田吾郎は、草笛が得意というのがあるのだがこの中心のエピソードが完全についで話になる。

 

やがて航平は家族と新潟へ旅立ち、芙美さんと篠田吾郎さんは恋に落ち、お互い未来へ進めるようになる。東京へ帰った篠田吾郎さんを

芙美さんは訪ねていく。そして、元の街に戻ってきた芙美さんを篠田吾郎さんが迎えにきて映画は終わる。

 

なんとも、まとまりのない映画です。ほのぼの癒し映画なのですが、できは非常に悪い一本でした。