くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「死刑にいたる病」「ドクター・ストレンジ マルチバース・オブ・マッドネス」

「死刑にいたる病」

怖い、ひたすらに怖い恐ろしいほどの心理サスペンスの傑作。しかも、カメラワークが圧倒的に素晴らしい。映像で語るというテクニックを可能な限り駆使した画面に翻弄され引き込まれ、片時も目を離せない。それゆえに、物凄くしんどい。くたくたになるまで疲弊させられる鬼気迫る展開に、全く息もつけず、いつのまにか犯人榛村大和のマインドコントロールの中に引き込まれていました。なんとも言えない傑作。これが映画ですね。めちゃくちゃに楽しめました。監督は白石和彌

 

連続殺人鬼榛村大和が桜の花びらのようなものを水路に撒いている。実は被害者から剥がした爪なのだがそれは終盤までわからない。その映像に被って、大学生の筧井雅也は、祖母の葬儀の場にいた。彼は三流大学しか入れずエリート主義の父に疎まれていた。しかも母もそんな父に逆らえず家政婦のような境遇だった。祖母はかつて校長をしていたこともある地元の名士でもあった。

 

この冒頭の、音楽に合わせながら流れるように左右にパンされるカメラが素晴らしい。葬儀が終わった夜、雅也は一通の手紙に目が止まる。それは連続殺人鬼榛村大和から面会にきてほしいという内容の手紙だった。実は大和は、雅也が中学の頃通っていたパン屋の主人だったのだ。

 

意味もわからず雅也が面会に行くが、待合室で髪の長い不気味な青年とすれ違う。終盤、彼は金山という、大和の裁判で証人になった男だった。雅也が大和に面会すると、大和は、自分が殺人を起こした被害者のうち九番目の根津かおるだけは自分以外が犯人なのだと告白、真犯人を捕まえてほしいと頼んでくる。面会の帰り、交差点で髪の長い男と再度出会う。一方、大学では雅也の中学時代の同級生だという一人の女子大生加納灯里が声をかけてくる。

 

雅也は事件に興味を持ち、大和の弁護士である佐村の事務所に行き事件の資料を調べ始める。そして、大和が殺した被害者は全員爪が剥がされていること、年齢が十五歳から十八歳であるという範囲から根津かおるだけ外れていることを見つけ、別の殺人鬼がいると確信する。雅也は次第に事件の核心に近づいていくが、ある時、祖母の遺品を整理していて、ボランティア活動をしていた頃の大和の写真を見つける。しかも側に母玲子も映っていた。しかも玲子は、大和と同じく榛村家に養子にされたが、玲子は突然妊娠をしたことで責められ追い出されたのだという。雅也はその時の玲子が産んだ子供が自分で、玲子と大和は親しかったことから、自分は大和の子供なのではないかと疑い始める。しかも大和もそれらしい態度を取る。

 

さらに事件を追い続ける雅也は、根津かおるの勤め先に仕事で出入りしていた金山の存在を見つけ確信する。そんな雅也に大和は殺人犯だからと警告する。ある時、やや自暴自棄になった雅也はすれ違いざまにぶつかった中年男性を殺そうとしてしまい、思いとどまったものの、この時、自分は大和の子供ではないと確信する。

 

そんな時、金山の同僚だった相馬から金山の写真が見つかったと連絡をもらう。やはり金山は、以前雅也が出会った長髪の男だった。雅也は根津かおるが発見された現場に戻り、その時に、いつも根津かおるの現場におとづれていた長髪の女が金山であると確認する。その直後、金山は雅也に迫っていた。そして金山に捕まった雅也に金山はあることを話す。ここではっきり金山の台詞がないのがまたいい。

 

全ての真相を知った雅也は大和に会いにいく。そして、根津かおるを殺したのは大和であることがはっきりしたと話す。大和が若い頃に手名付けていた二人の少年のうちの一人が金山であり、金山の罪の意識を利用して、根津かおるを殺したかのように思わせ、さらに罪の意識を植え付けたことを話す。大和は玲子が産んだ子供は死産で大和と一緒に焼いたことと、雅也は大和の子供ではないことなど全てを大和に話す。大和の思惑は最後の最後で崩れたかに思われた。雅也は全てを終え、灯里とベッドを共にするが、なんと灯里のカバンから大和の被害者の写真、さらに大和からの手紙がこぼれ落ちる。灯里も大和に操られていたのだ。こうして映画は終わる。

 

まさに圧巻の心理サスペンスで、大和と雅也が対峙するときの透明ガラスに大和と雅也が重なる演出や、金山の姿や、少年を操る大和の姿の映像が映ったり、壁一面に被害者が映し出されたり、映像テクニックも駆使されて画面が物語を語っていく演出になっているのも見応え十分。拷問シーンは相当にエグいものの、ストレートに画面に出していない節度感は良い。欠点もあるものの相当なクオリティの作品に仕上がっていました。

 

ドクター・ストレンジ マルチバース・オブ・マッドネス」

まあ、いつも通りのアベンジャーズ映画で、これと言って真新しいこともなく、CG満載で、次々出てくるキャラクターは全くわからないまま終わりました。でも監督はサム・ライミなので、やはりゾンビが出てきたのは笑った。

 

ドクター・ストレンジが、何やら不気味な空間で一人の少女アメリカと戦っている場面から映画が始まり、その少女を犠牲にして神聖な書を手に入れようとして夢から覚めて映画は始まる。そして、ドクター・ストレンジがクリスティンの結婚式に参列していると、突然外で轟音がし、見てみると巨大な化け物がマルチバースの扉を抜けてきて暴れている。側にアメリカがいるのを発見し、ドクター・ストレンジは、早速救出に飛び出す。そこへ、ウォンも参戦し怪物を倒す。

 

アメリカという少女は無意識にマルチバースの扉を開くことができる能力があり、何者かに狙われているという。ストレンジはワンダの元をおとづれて助けを求めるが彼女はダークホールズの力で邪悪な姿となり、全てのマルチバースで、自分の息子たちと幸せに暮らすためにアメリカの持つ能力を狙っていた。ストレンジらはアメリカをウォンの寺院に匿いワンダを迎え撃とうとするがワンダに負けてしまう。

 

別の空間に逃げたストレンジは、ワンダに倒されたもう一人のストレンジの死体を目にし、煉瓦の中に埋める。一方ワンダは、さらに強大になり、ウォンを脅して聖なる書によってさらに強大になりスカーレット・ウィッチとなっていた。そして最大の宿敵ストレンジに挑んでくる。ストレンジは、死体として埋めたもう一人のストレンジを操りスカーレットと最後の戦いに臨む。死体が蘇り、ゾンビのようになったストレンジはアメリカと協力してスカーレットを元の姿に返して物語は終わる。というような流れだった気がします。正直、よくわかっていません。

 

目新しいのは、ゾンビ演出の部分だけで、あとはいつものように、アベンジャーズの人物相関図や他のシリーズのネタを使った展開をCG満載で楽しむという感じでした。CGがなければなんの変哲もない映画だった気がします。。