くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「バズ・ライトイヤー」「喜劇 一発大必勝」

バズ・ライトイヤー

トイ・ストーリー」のアンディが大好きだったというバズ・ライトイヤーの映画の物語。過去のSF映画やドラマのシーンや造形をパロディにした作りの面白さは十分あるのですが、ストーリーのテンポがいかにも弱く、キレがないのでダラダラしまくり、すべりまくりのギャグの連続に脚本の弱さを見せつけてきます。もっと面白く作れるだろうにという映画だった。監督はアンガス・マクレーン。

 

とある惑星を探査するためにバズらが乗った宇宙船が着陸するところから映画は始まる。ところがその惑星には謎の植物や虫などがいてピンチになる。しかも、なんとか飛び立ったものの、岩肌に接触して不時着、修理のためとエネルギー補給のためこの惑星の資源を流用することになる。地球へ帰還させることに失敗したバズはその責任を感じる。

 

なんとか完成したエネルギーはまだまだ不安定ながらバズがテスト飛行で宇宙に飛び出す。超高速に達しる寸前で不安定になり、なんとか惑星に戻ったが、ウラシマ効果で時が過ぎて様変わりしていた。バズには癒やし猫ロボットソックスがあてがわれるが、バズは意地になって実験を繰り返し、その度に未来へ時が流れていく。盟友アリーシャも次第に年を取り、最後には亡き人となる。それでもテストを続けようとし、ソックスの手助けもあり、ついに安定したエネルギーで旅立つが、戻ってみたらロボット軍団の巨大宇宙船の脅威にさらされていた。

 

バズはアリーシャの孫のイジーらと、地球へ戻る作戦を実行するためロボット軍団に立ち向かうが、なんとロボット軍団のボスは、パラレルワールドへ飛んだバズの年老いた姿だった。年老いたバズは過去に戻り全てを消滅してしまおうと提案するがそれはイジーらの存在も消えることだと思い、バズはロボット軍団を破壊して、惑星に戻る。そして、新しいスペースレンジャーの隊長として赴任することになりイジーらと宇宙の探索へ飛び出して映画は終わる。

 

スタートレックや、地球最後の日、スターウォーズ、などなどのパロディが散りばめられて楽しい作品なのだが、本来のストーリー展開がなんともキレがない。もっとスピーディにエンタメに徹すればなかなか楽しい映画になりと思うのですが、残念な仕上がりでした。

 

「喜劇 一発大必勝」

支離滅裂でまとまりのないドタバタ喜劇ですが、至る所に脚本森崎東の手腕が見え隠れするので、決して駄作ということにならない。プログラムピクチャーの一本だったかもしれませんが楽しい作品でした。監督は山田洋次

 

バスガイドをするつる代のシーンから映画は幕を開ける。そこへ段ボールを抱えた長屋の男たちが乗り込んでくる。うち一人はつる代の父である。実は段ボールの中身は先日死んだ長屋の男の死体だった。長屋で嫌われ者だった男だが、焼き場まで持っていて焼いてしまう。葬式代は自分らの飲み代にした。葬式をしている最中、この男の友人で暴れ者の寅造がボルネオから戻ってくるという噂が流れる。間も無くして現れた寅造は葬式の場で大暴れし、長屋の男たちを翻弄する。つる代には、左門という心なしか気を寄せる男がいたが、元夫はどうしようもない男で今は服役中で、つる代は離婚を求めているが応じてもらえていなかった。

 

物語は寅造が傍若無人に大暴れするドタバタ劇を、媚びへつらう長屋の頼りない男たちの姿との対比で描いていくが、全く物語の道筋が見えない。飲んで暴れる寅造につる代が啖呵をきったことで寅造はつる代に一目置くがそれが左門との三角関係になる。のかと思えば話はまたそれていく。左門は正式にプロポーズしようとするがそっけなくされ、落ち込んで長屋を出て、ゴミの島で浮浪生活をしていて寅造と再会し喧嘩を始めて映画は終わる。

 

その場その場で物語を付け加えていったのではないかと思えるほどまとまりがない上に、その場限りの展開が続く映画ですが、これもまた映画黄金期の息吹が感じられる一本でした。