くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ハウ」「バイオレンスアクション」

「ハウ」

普通の映画ですが、ラストは泣いてしまいます。原作がしっかりしてるのでしょう、ストーリー展開が実に丁寧に進んでいくのはとっても好感な映画でした。監督は犬童一心ですが、やはりこの監督も全盛期は初期の一瞬だったのかもしれません。最近の作品は、余裕がないというか遊びがありませんね。

 

市役所職員の民夫が彼女から振られるところから映画は始まる。職場の上司の勧めで保護犬を飼うようになるがその犬は声帯手術をされて声が出なかった。その鳴き声から、民生はその犬をハウと名づける。落ち込んでいた民夫の心はハウによって徐々に癒されていくが、ある時、公園でハウと遊んだ後、眠っている間に、公園で野球をしている少年の打ったボールを追ったハウはそのまま行方不明になってしまう。民夫らは必死で探すがとうとう見つからず、しばらくして、事故で死んだ大型犬を処理したという情報が入る。色形からおそらくハウと確信した民夫達はハウは亡くなったものと信じる。

 

ところがハウは生きていた。追っていたボールが引っ越しのトラックに飛び込み、そのトラックに飛び乗ったハウはそのまま青森まで行ってしまったのだ。物語は、ハウが民夫の家に向かう途中で会う人たちの話と、日々の生活の中で次第に立ち直っていく民夫の姿を描いていく。ここがもっと上手く描けていれば佳作になった感じです。

 

ハウは、一人の女子中学生が線路で寝転んでいるところに出くわし、福島に放射能汚染の関係で学校でいじめにあったその少女に寄り添って、立ち直らせる。続いて寂れた商店街に立ち寄ったハウは、夫を亡くして孤独に暮らす老店主の女性を励ます。そして、ある修道院にたどり着くが、何とそこに身を寄せていたのは、DVの夫から逃げてきためぐみだった。しかも、めぐみはハウの本当の飼い主だった。DVの夫のいうことを聞いて声帯手術を受けさせたのはめぐみだった。奇跡の出会いに驚くめぐみの前にめぐみを探し当てた夫がやってきて大暴れし無理矢理めぐみを連れ出す。しかし、途中で事故を起こす。追ってきたハウは、燃える直前の車からDVの夫を助け出し、夫の心を変える。

 

そんな頃、ようやく立ち直り、結婚用に買った家を売って引っ越し、職場の派遣社員足立桃子を食事に誘う約束をしていた民生は約束のレストランに向かっていた。そこへリードをぶら下げたハウが駆け寄ってくる。抱きとめる民夫の前に一人の少年が駆け寄ってくる。少年の父親が事故で亡くなり、引っ越してきた家にやってきたのがハウだったのだ。少年が引っ越してきたのはかつて民夫がローンで買った家だったのだ。民生は父親代わりにハウを可愛がる少年のために、ハウと別れる決心をしてその場をさっていく。レストランで桃子と食事する民夫は、さっきの出来事、そしてハウの辿ってきた道のりを想像しながら前に向かう姿となって映画は終わる。

 

よくあるお話ですが、丁寧に演出された画面とドラマは飽きることなくラストまで見ることができます。ラストは、素直に泣くことができる一本でした。

 

「バイオレンスアクション」

なんとも安直で適当な脚本と演出、アクションシーンも映像技術に頼ったスローモーションと細かい編集で補った陳腐な作品でしたが、大スクリーンで見る大好きな橋本環奈を楽しむだけで十分でした。ただ映画としてはC級レベル以下でした。監督は瑠東東一郎。

 

ラブホテルの前、何やらデルヘルに電話をする男のカット、続いて金髪の小柄な少女がホテルの中に入っていく。その少女がある一室に踏み込むとヤクザ風の男達が出迎えるが一瞬で殺してしまう。彼女の名はケイ、殺し屋である。このオープニングのアクションが実にしょぼいのだが、橋本環奈というだけで見ていられるからいい。

 

ケイは実は日商簿記二級を目指して学校に通っていて、そこで彼女に気がある渡辺という青年がいつも熱い視線を送っている。ある日、ケイはバスに乗りかけて定期を忘れ、背後から来たイケメンの男に立て替えてもらい知り合いになる。そんな頃、伝馬組の三代目組長が刑務所にしばらく入ることになり、不在中のことを幹部らと話し合っている。しかし、後目を狙う幹部の木下はこれを機会に、今まで裏金を貯めていたものを使って組を乗っ取ろうとしていた。そして、ケイの所属する殺し屋組織に木下のライバル国津組組長を襲わせる。

 

そんな頃、伝馬組の会計担当のテラノは木下が貯めていた裏金の証拠を握り、裏金と伝馬組の金を奪って逃げる。テラノは実はケイがバスでお金を立て替えてもらった青年だった。一方伝馬組はテラノから金を奪い返すためにケイの殺し屋組織にテラノ殺害を依頼する。もうお話が支離滅裂である。さらに、ケイの正体を知った渡辺はいつのまにかケイの組織を手伝うようになっていた。ケイはテラノを追い詰めるが、上司から待ったがかかる。そこへ木下らがやってくる。ケイはテラノに別途依頼され、木下を迎え撃つことになる。

 

伝馬組には最強の殺し屋みちたかくんがいて、何かにつけてケイを狙い始める。こうしてごちゃごちゃの殺し合いの末、木下はみちたかくんにやられてしまい、ケイはみちたかくんも倒し、テラノは友人の希望だったニューヨークへ旅立とうとするが、木下らが最後に襲いかかってくる。テラノは爆弾を持って木下を抱かえてダムに飛び込む。こうして一段落、伝馬組組長は、後を木下組の幹部に託して刑務所へ行く。

 

しばらくしてケイに、メールが来る。それはニューヨークに行ったテラノからだった。彼は生きていたのだ。こうして映画は終わる。

 

全く、はちゃめちゃな脚本である。原作はちゃんと筋道も立っているのだろうが、映画として全く形を成していないし、橋本環奈のアクションを見所にしたいのだろうが、それも幼稚な演出で見ていられない。作品としては最低の仕上がりですが、終始画面に映る橋本環奈を見ていれば楽しい私としてはこれで良かった。