くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「おっぱいとお月さま」「グッド・ナース」

「おっぱいとお月さま」

これといって秀でた作品ではないですが、音楽がなかなか心地よい映画でした。ちょっと変態的な子供と変質的な青年、変態女という奇妙な三角恋愛ドラマがなんとも奇妙なファンタジー作品。監督はビガス・ルナ。

 

村のお祭りでしょうか人間タワーに登る少年テテの姿から映画は幕を開ける。タワーの人間の真っ赤な上着と白いパンツが鮮やかな映像です。なんとか登ろうとするも登りきれないテテに、父の声援が届く。結局今回も登れず父に抱かれるテテ。テテには間も無く弟が生まれる。母のおっぱいが大好きなテテは弟におっぱいを取られて落ち込んでいた。

 

そんな時、フランス人のオナラ芸人モーリスとその妻エストレリータの一行がこの街にやってくる。テテはエストレリータのおっぱいに一目惚れしてしまう。一方村の青年ミゲルもエストレリータに恋してしまう。モーリスは不能エストレリータを満足させることはできなかったが、エストレリータはモーリスを愛していた。

 

テテとミゲルは恋敵となり、エストレリータの下着を盗んだり、モーリスとのベッドでの行為を邪魔したりする。ミゲルにはスタローンというマッチョでバイク好きな親友がいた。ある時、スタローンのバイクに乗せてもらったミゲルは、事故を起こしてしまい、スタローンが死んでしまう。落ち込むミゲルにエストレリータは優しくベッドに誘う。そして、エストレリータはミゲルに満たされる。そんな二人をモーリスは最初は黙認していたが、やがて嫉妬を覚える。

 

モーリスが街に出かける合間を縫ってミゲルはエストレリータと体を合わせるが、ウォーターベッドに穴をあけてしまう。そこへ帰ってきたモーリスは激怒し、ミゲルを殺さんばかりに押さえつけるがテテが助ける。これを機会にテテとミゲルは仲良しになる。

 

やがてモーリスとエストレリータの一座は旅立ってしまう。この日、人間タワーにチャレンジするテテは、エストレリータの幻の姿を見つけてついにてっぺんに登る。エストレリータのおっぱいを含んだ後、母が現れ、母のおっぱいを含む。間も無くエストレリータ一座が戻ってきてミゲルはその一座に参加して、ミゲル、エストレリータ、モーリスでいい関係で舞台を演じ、映画は終わって行く。

 

音楽の素敵な作品で、映画は普通ですが、心地よい映画でした。

 

「グッド・ナース」

実話ということなので、これで良いのかと言われればそれまでですが、実際に起こったことをストーリー仕立てに描いただけという出来栄ばえで、サスペンスとしたいのか社会批判をしたいのか、ホラーにしたいのか、どこに焦点を当てたのかわからない上に、これ見よがしの主人公の心臓病の背景なども放っておきのまま、結局脚本の弱さにつきる映画でした。配信作品の一本なら許せるけれど、単品で映画館で見るほどではなかった。監督はトビアス・リンホルム。

 

1993年、痙攣している患者の足、駆けつける医師、そして亡くなった患者をじっと見つめる一人の看護師の姿で映画は始まろタイトル。時は2003年となる。二人の子供を育てながら看護師をするエイミーは、心筋症を患っていて、仕事をやめるように医師に勧められているが、後四ヶ月勤めないと保険適用ができないらしく無理をしていた。

 

そんなエイミーの病院に一人の男性看護師チャーリーが赴任してくる。真面目に業務をこなすチャーリーに、エイミーは頼るようになる。そんな時、一人の老婦人が容態急変で亡くなる。そして七ヶ月経った頃、病院長のリンダは、老婦人の死に不審なものがあったと警察に届ける。しかし、さまざまな資料を出し渋るリンダの態度に不信感を持つ刑事たち。しばらくしてまた一人急死する患者が出る。たまたま、チャーリーが以前勤めていた病院に友人がいるエイミーは、その友人を呼び出し、チャーリーのことを聞くと、その病院でも容態急変で亡くなる人がチャーリーが勤務していた頃に増えたと話す。

 

不審に思ったエイミーは、保管されている点滴剤を調べ、一部に針の穴を見つけてしまう。チャーリーがインスリンなどの薬品を故意に点滴剤に入れて殺人を繰り返していることを確信したエイミーは刑事にそのことを話し、チャーリーを逮捕すべく協力することにする。しかし、結局はっきりした証拠も集まらず、自白も取れず、刑事たちは強行的にチャーリーを逮捕、48時間の拘束期間に自白させる作戦に出るが、チャーリーはがんとして自白しない。釈放が明日に決まった深夜、エイミーは、取調室に入れてもらい、友人として説得、とうとうチャーリーは殺害を自供する。エイミーはその後手術をしたこと、チャーリーは収監されて終身刑になっていることなどのテロップが出て映画は終わる。

 

病院を解雇されたチャーリーがエイミーの家に行って子供たちと団欒していたり、明らかに常道の場面が挿入されていたり、エイミーが心臓病でそれが何かの緊張感を生み出すのかと思いきやほとんど物語に関わらないし、子供との確執もそれほど表に出てこない。9ヶ所も転々としてきたチャーリーの勤めた病院の何者かもほとんど無視、どこをどう面白く見せたいのかという焦点が何もない映画だった。