くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「ディア・ハンター」(4Kデジタル修復版)「ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー」

ディア・ハンター

午前十時の映画祭、三回目の鑑賞ですが、やはり名作ですね。ビルモス・ジグモンドの美しいカメラも絶品ですが、登場人物それぞれが見事に描き分けられているし、反戦映画ではあるものの、青春映画としての側面もさりげなく画面から漂ってきます。物語の展開の構成も実に上手いし、こういう名作らしい名作は何度でもスクリーンで見直すべき一本だと改めて感じました。良かった。監督はマイケル・チミノ

 

夜明け、トレーラーが疾走し、画面は鉄工所で働くマイケルたちの姿へ移ります。そしてスティーヴンの結婚式から物語は幕を開けます。旧友のマイケル、ニック、スティーヴンは間も無くベトナムへ出征することになっていて、同じく友達のスタン、アクセルらもこの日の結婚式のパーティでは、誰もがハメを外して大騒ぎする。さりげなく一人のグリーンベレーが入ってくるが、その人物をからかうマイケルたち。これからを予感させるこのワンショットが実に上手い。

 

パーティの後、出征前最後にとマイケルたちは鹿狩りに出かける。美しい大自然の中、マイケルは一発で鹿を射止める。そして場面はマイケルが戦場で死体の中で気を失っている場面へ変わる。ヘリコプターの爆撃シーンから、一人のベトコンが、地下に隠れている女子供に手榴弾を投げ入れる。マイケルは目を覚まし、そのベトコンを焼き殺す。そこへヘリから兵士が降りて来るが、そこにニック達がいて、マイケルは戦場で再会する。ところがベトコンが迫っていて、まもなく彼らは捕まってしまい、川に半分体を沈められたまま、順番にロシアンルーレットをさせられていく。スティーヴンは、半分気がおかしくなり喚き始める。極限の中、マイケルとニックが最後に残る。マイケルは一か八か、銃弾を三発にして隙を見て逃げる計画をニックに話す。そして、緊張感の中、一瞬の隙をついてマイケルとニックはベトコンを撃ち殺しスティーヴンを連れて川を泳いで逃げる。

 

しばらく行くと、友軍のヘリが彼らを見つけてくれるが、ニックは助けられたものの、スティーヴンとマイケルは川に落ちてしまい、スティーヴンはその時骨折してしまう。スティーヴンを抱えてマイケルは逃げるが、避難する人々の流れにたどり着いたとところで友軍のジープにスティーヴンを預ける。

 

サイゴンの夜、助かったマイケルは街を彷徨いマイケルを探していた。裏通りで立ち寄った怪しげなところで、ロシアンルーレットで賭博をしている場所に出くわす。その場を離れようとしたニックを一人の男が呼び止める。そして、ニックを車に乗せて去るが、その賭場にマイケルもいて慌ててニックを追いかけるが逃してしまう。

 

やがてマイケルは退役し、故郷へ戻って来る。スタンら友達が歓迎のパーティを準備する中、マイケルは一旦通り過ぎ、パーティを避けて翌朝、ニックの恋人のリンダの元へ行く。スティーヴンが戻っていると知ったマイケルはスティーヴンの妻に連絡先を聞くが一旦は電話をためらう。ニックを待つリンダは孤独を埋めるためにマイケルとベッドを共にするようになる。マイケルらは鹿狩りに出かけるが、マイケルは目の前にした鹿を撃つことができず外してしまう。

 

マイケルは意を決してスティーヴンに連絡をして退役軍人病院会いにいくがスティーヴンは家に戻りたくないという。そして、毎月サイゴンから意味のわからない金が送られて来ると話す。その金がニックからのものだと推測したマイケルは再びサイゴンへ向かう。そして、かつての賭博に行き、ニックを連れ去った男を見つけて、ニックの居場所を聞き出す。そこは、かつてよりさらに危険なロシアンルーレットの賭博場だった。

 

ニックを見つけたマイケルだが、ニックは正気を失っていた。マイケルはもう一度自分を思い出してもらうために、ロシアンルーレットでニックと対峙すると申し出る。ピストルを持つマイケルの姿を見たニックは、ふと正気になるものの、こめかみに銃を当て、銃弾によって死んでしまう。ニックの葬儀が行われていた。マイケルら友人も集い、埋葬の後、店に集まった面々はニックを思って献杯をして映画は終わる。

 

何度も書きますが、全てのバランスが整った名作中に名作だと思います。本当にいい映画ですね。

 

ブラックパンサー ワカンダ・フォーエバー」

面白かった。いつものマーベルものかと思っていたのですが、前半のカーチェイスシーン、クライマックスのバトルシーンがめちゃくちゃに面白い。しかもストーリー展開がなかなかエキゾチックでしっかりしているし、細かいところもさりげなく伝わって来るし、二時間半以上の長尺作品ながら退屈しませんでした。最近のこの手の作品で一番の出来栄えではないかと思います。監督はライアン・クーグラー

 

ワカンダ王国の王でブラックパンサーだったテイ・チャラが危篤状態で、妹のシュリが必死で治療方法を作ろうとしているところから映画は幕を開けます。まもなくしてテイ・チャラは亡くなり、先代の王の妻ラモンダが王位に着く。王女でもあるシュリは研究に没頭する日々だったが、ワカンダ王国にしか存在しないヴィブラニウム鉱石は、世界各国が手に入れようと躍起になり、ワカンダ支援施設は時に他国に襲われることがあった。しかし、ラモンダは世界の平和のためにも決してヴィブラニウムは与えようとしなかった。ところが、ヴィブラニウム探索機械が何者かに発明され、その発掘のために海洋で探査をしていた国が、突然現れた青い姿の民族に一瞬で殺されてしまう。

 

探索機械の存在を知ったラモンダは、その発明者である人物が海から現れた民族に狙われていることを知り保護するべく、親衛隊長のオコエとシュリを派遣し、テイ・チャラに恩義がある元CIA職員のロスに接触させ、一人の天才少女リリの存在を突き止める。オコエらがリリの元に辿り着いた途端FBIが襲って来る。オコエらはリリを伴って彼女の研究施設に行きデータを持って脱出しようとするが、すんでのところで足に羽のある男ネイモア率いる謎の民族に襲われ、シュリとリリは連れ去られる。この時のカーチェイスからのバトルシーンがとにかく面白い。

 

シュリとリリは海の民族タロカン王国に連れて行かれ、ネイモアはリリを殺そうとするが、シュリはリリを守るべくネイモアを説得、タロカン王国の姿も見せてもらう。ネイモアの母は人間で、幼い頃、人間に襲われ、その時の恨みがあった。そしてワカンダ王国と手を結び地上の人類を倒そうと提案して来る。

 

そんな頃、ラモンダは、娘を奪われた責任をとらせてオコエを解任し、ワカンダ国のスパイ組織の一員で、テイ・チャラの元恋人でもあるナキアに助けを求める。ナキアはタロカン国に潜入するべく海に潜り、ラモンダはネイモアを呼び出して目を外らせようとする。そして、ナキアは無事シュリとリリを救出するが、騙されたと知ったネイモアはワカンダ王国を襲撃して来る。その戦いの中で、ラモンダは亡くなってしまう。

 

ネイモアは一週間後に総攻撃すると言葉を残して去り、シュリたちは迎え撃つべく算段するが国内の多民族は脱出を計画し始める。シュリはブラックパンサーになるために、消失したハート型のハーブを再生する研究をしついに完成、自らブラックパンサーとなる。そして、ネイモアの弱点を見出し、先制攻撃するべく民族をまとめる。こうして、ワカンダ王国とタロカン王国のバトル戦が始まる。このクライマックスも相当に面白い。

 

ネイモアとの一騎打ちに勝ったシュリは、今後の平和のためにネイモアに降伏を迫り、ネイモアも受け入れ、タロカン王国の兵士は引き上げていく。リリは元の大学に戻ることになり、エピローグで、ナキアのところに行ったシュリは、そこでナキアとテイ・チャラの子供トゥールと出会う。こうして映画は終わる。

 

お話がしっかりしているのが一番成功しているのではないかと思います。バトルシーンはそれほど長くないものの、工夫されたカメラワークと編集で他のマーベル作品とは一味違う迫力を生み出しているし、登場人物のドラマ部分も手を抜かずに描いているのが良い。本当に面白い映画でした。