くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「勾留」

「勾留」

面白かった。取調室で淡々と進むストーリーが時に外に出るかと思うと元の部屋に戻り、過去をフラッシュバックさせるかと思うと、現実に戻る。次第に現実か幻覚かわからなくなっていきながら、真相に迫って物語は終わるかと思えば、実はどんでん返しがあり、さらに悲劇が締めくくる。サスペンス映画の常道かもしれないが、フィルムノワールを思わせるような絵作りも面白い映画でした。監督はクロード・ミレール

 

晦日の夜、雨が屋根を打っている映像からカメラはゆっくりと警察署内の取調室へと入っていく。ガリマン刑事が一人の容疑者を取り調べている。海辺で幼い少女が絞殺暴行されていたのだ。さらに、近くの森の林の溝の中にもう一人の少女が同じく殺されていた。確たる証拠はないのだが、容疑者マルティンをじわじわと追い詰めていくガリマン刑事。傍でベルモン刑事が供述書をタイプしている。ガリマン刑事が席を立ったすきにベルモン刑事はたまりかねて容疑者に暴行を働いたりするが容疑者は自白しない。

 

一騒動をおさめたガリマン刑事のところに容疑者の妻がやってくる。彼女と二人きりで話すガリマンは、十年前のクリスマスの日、マルティンは、幼い姪を女として口説いていたのを目撃したことを告げる。それ以来夫婦の関係は途絶えているのだという。取調室に戻ったガリマン刑事にマルティンは、妻がおそらく話したであろうクリスマスの出来事を告白して、二人の少女を殺したことを自白し始める。

 

ガリマン刑事は帰りかけるマルティンの妻と会い、マルティンが自白を始めたことを告げる。ガリマンが外に出ると、盗難に遭って事故を起こされた車を搬送する現場に出くわす。この車のエピソードが物語の前半で出てきていた。さりげなくその車を見た一人の警官がトランクから血が流れているのを発見、中を開くと二体の少女の死体があった。真犯人はこの車の持ち主だったのだ。ガリマンは飛んで戻り、マリティンと車の盗難届に来ている男の姿をブラインド越しに見る。釈放されたマルティンは妻が待つ車に乗るが妻はピストル自殺していた。マリティンは思わずガリマンに叫ぶ。こうして映画は終わる。

 

若干無理のある展開もないわけではないのですが、そのあたりを吹っ飛ばして一気にラストのどんでん返しに持ち込む手腕はなかなか面白い。大晦日の夜に始まり元旦の朝に終わる時間設定や、雨がシトシトとふり続ける暗い場面が、フィルムノワールの空気感を感じさせます。ロミー・シュナイダー演じる容疑者の妻の存在感が妙に引き立ちすぎるので全体のバランスがやや崩れるのですが、面白い作品でした。