くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「エッフェル塔 創造者の愛」「獲物の分け前」

エッフェル塔 創造者の愛」

何ともあっさりした映画でした。ラブストーリーがしっかり描けているわけでもなく、エッフェル塔完成までのサスペンスがしっかり描けているわけでもなく、それぞれが適当に織り込まれた安直な脚本で、何の面白みもなかった。監督はマルタン・ブルブロン。

 

1899年3月31日、エッフェル塔の落成式、設計者のエッフェルが感慨に耽って最上階から見下ろす場面から、時間は3年前、自由の女神の完成にあたりその骨組みを設計したエッフェルが賞賛されている場面へ移る。3年後のパリ博のモニュメントとしてのコンペに参加を依頼されていたエッフェルだが、地下鉄に興味があり、あまりモニュメントには興味はなかった。しかし、部下が描いた鉄塔のデザインを見るにつけ、自らの創造欲が頭を持ち上げる。

 

友人で新聞記者のアントワーヌから、コンペに勝つために大臣のパーティに来るようにと誘われたエッフェルは、そのパーティでアントワーヌの妻が、20年前に愛したアドリエンヌだとわかる。お互いを認め合い、かつての思いを回想する。

 

ボルドーで橋梁建設に携わっていたエッフェルは、足場の資材不足から事故を起こしかけ、その対処のため、スポンサーである男を訪ねる。そこで、そこの娘アドリエンヌと出会う。お互いにみるみる愛を育むが、一介の技術者にすぎないエッフェルにとっては名家の娘アドリエンヌは高嶺の花だった。しかしお互いの愛はみるみる大きくなり、結婚を考えるようになる。しかしアドリエンヌの両親が大反対、アドリエンヌは、逃げ出してエッフェルの元へ行こうとして大怪我を負ってしまう。それを知らないエッフェルは、橋の落成式に来ないアドリエンヌを心配して家に行くが、引っ越した後だった。

 

そのわだかまりのまま再開したエッフェルとアドリエンヌだが、疑念が晴れ二人は再び愛し合うようになる。それを知ったアントワーヌは、新聞記事にエッフェル塔の悪評の記事を書き、エッフェル塔建設は暗礁に乗り上げる。しかも、労働者のストライキも起こるが、エッフェルは、私財を投げ打ち、全てをかけて建設を進める。エッフェルのスキャンダルも工事に支障が出るからとアントワーヌはアドリエンヌに二者択一を選択させ、アドリエンヌはエッフェルの元を去ることにする。

 

やがてエッフェル塔は完成、その落成式にアドリエンヌの姿はあったが、エッフェルに近づくことはなかった。冒頭の場面に移り映画は終わる。

 

本当にあっさりした物語で、困難に直面したエッフェル塔建設がいとも簡単に前に進むし、アドリエンヌの苦悩もあっさり流れる。しかも、人妻と知りながら燃え上がるエッフェルという人物がなんとも好きになれない。何とも普通の映画だった。

 

「獲物の分け前」

なんか奇妙なラブストーリーです。結局主人公のルネはあの後どうなる?彼女を貶めた父と息子は一体何者?官能的なラブストーリーという前半と、チグハグな後半が混濁した映画でした。監督はロジェ・バディム

 

犬の調教をしているアレクサンドル、そこへ16ミリカメラを持ったマキシムがやってきて、犬をけしかけられて自宅に逃げるところから映画は幕を開ける。アレクサンドルはマキシムの父で、ルネという後妻と暮らしていた。夫と20歳近く離れたルネは何かにつけマキシムと仲良く、またアレクサンドルとは疎遠な毎日だった。マキシムは恋人くらい歳の近いルネと親しくしている。

 

マキシムにはアンヌというガールフレンドもいた。物語はマキシムとルネが次第に愛し合うようになり、ルネはどんどんマキシムに夢中になるとともに、アンヌに嫉妬を覚えるようになる。そしてとうとうルネはアレクサンドルに離婚を申し出るが、ルネの財産はアレクサンドルの事業に全て注ぎ込まれていた。財産放棄を条件に離婚を認めさせたルネはマキシムの元に走る。しかし、父が不幸になったように思ったマキシムはルネを素直に受け入れられなかった。ルネはマキシムと海外へ行くべく美容院で髪を切るが、そこで、マキシムが父の勧めもありアンヌと婚約した事を知る。

 

婚約発表パーティにやってきたルネは、全てを無くしたことを知り、敷地内の池に飛び込むも死にきれず、びしょ濡れのままパーティ会場に入る。アレクサンドルに咎められ、二階に連れて行かれて、ひとりぼっちになったルネの場面で映画は終わる。

 

結局、マキシムは父を慕っていたのだろうか、ルネとのことはあくまで遊び半分だったのだろうか、そのあたりはほとんど描写できずに映画が終わっていく唐突感のある作品で、まだ売り出し前のジェーン・フォンダが惜しげもなく脱ぐのはなかなかの見どころでした。。