くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「聖闘士星矢 The Beginning」「白昼の無頼漢」

聖闘士星矢 The Beginning」

もっとしょぼい出来かと思ったが、思いの外しっかりと作られていたので面白かった。ハリウッドトップクラスのCG技術と東映アニメの真骨頂を見せつけられた。その技術の上にこれだけ本気のアクションができる役者を揃えたにも関わらず、演出と脚本がついていっていないのは実に残念。もう一工夫、ー級品を作ってやろうという意気込みがあれば相当なものになっただろうが、所詮日本のアニメ原作となるとB級アクションという位置付けなのだろうか。出来れば大ヒットしてシリーズ化して欲しい一本です。監督はトメック・バギンスキー。

 

神話の背景が語られた後、地下格闘技場で、星矢はこの日も戦いに明け暮れていた。華麗にダンスを舞うように敵を翻弄して倒す彼の姿は、闘技場のトップ選手カシアスの目にも止まっていた。この日も次々と相手を倒した星矢の前にカシアスが立ちはだかる。劣勢に追い込まれた星矢だが、叩きつけられる一瞬、ブルーの炎が彼を包みカシアスと吹き飛ばす。

 

そのまま星矢は闘技場を脱出するが、彼に異様な姿の追っ手が迫る。星矢の前に突然現れたマイロック、アルマンらによって追っ手から逃れた星矢は、孤島に浮かぶ宮殿に連れて行かれる。星矢には姉がいて、星矢が少年の頃何者かに連れて行かれたままだった。星矢にはペガサスの神が宿ると言われていたがその意味はいまだにわかっていなかった。

 

星矢が連れて行かれた屋敷にはアルマンの娘だというシエナがいた。彼女はコスモを解放することでアテナという女神に覚醒する力を秘めていたが、コスモの力が外に漏れると、彼女を世界の破壊神だと信じるグラードらに狙われるため、秘密裏に隔離されていた。グラードはシエナの母で、シエナが幼い頃、コスモを放出して両腕を破壊され、以来シエナは世界を破壊する悪だと信じ、彼女を拉致しようとしていた。

 

アテナを守る聖闘士の一人が星矢だと知らされ、ペガサスの聖衣を獲得しアテナを守る使命を果たすため、白銀聖闘士マリンの元で修行をすることになる。しかし、覚醒寸前で、アルマンも姉を拉致した犯人の一味だと知った星矢は、アルマンを問い詰めるため屋敷へ戻る。シエラはそんな星矢を外に連れ出し、アルマンがなぜ母の元からシエナを連れ出したのか、グラードは母だが、なぜシエナのことを勘違いしているのかを説明する。しかし、建物の外の出たシエナをグラードが探知し、グラードらが襲ってくる。その中には、レベルアップしてサイボーグになったカシアスもいた。なんでシエナは外に出たん?そのために父親死ぬし、と思ってしまった。

 

星矢らも迎え撃つが、聖衣に嫌われ、真の力を発揮できず、アルマンは自爆によってグラードらを撃退したもののシエナな連れ去られてしまう。星矢は再度邪心を捨て、聖衣の力を身につけて、マイロックと共にグラードの屋敷へ向かう。そこではグラードと腹心でフェニックスの聖闘士のネロがシエナから女神アテナの力を取り除くべく作業が行われていた。しかし、最後の最後、娘の苦しむのを見かねたグラードは作業中止を指示する。しかしネロはそれを受け入れず、グラードを倒す。そこへ星矢が駆けつけネロと対決、ペガサスの聖衣を身につけた星矢はネロを撃退する。しかし、シエナはアテナのコスモを開放しようとしていた。

 

全てを破壊する強大な力が解き放たれ始め、星矢も近づけないが、必死で訴え、シエナは心を取り戻す。そして、シエナはグラードの両腕も再生してやる。女神として覚醒したのだ。星矢とマイロックはシエナを守ることを誓い、シエナを守る他の聖闘士を探すべく決意して映画は終わる。

 

原作を全く知らないのですが、それなりに楽しめました。一級品とは言いませんが、シリーズ化して欲しいと思います。

 

「白昼の無頼漢」

これはちょっとした傑作でした。クライマックス、大胆なカメラワークで見せる銃撃戦が見事で、仲間割れや二転三転するストーリーがまさに娯楽映画の王道、しかも、ジャップ、クロンボ、あいのこ、朝鮮人などなどの差別表現もやりたい放題で、心地よい。キレのいい演出で最後まで飽きさせない面白さは絶品の映画で、リアリティとかそんな面倒なものそっちのけのエンタメ映画でした。監督は深作欣二。、本格的な長編第一作です。

 

黒いサングラスの男のクローズアップは映画は幕を開けます。博打している黒人トムに電話が入る。どうやら断れない依頼らしい。さらに、中国人キムにも連絡が入る。とある豪邸に夜、ジョンというアメリカ人とその妻がやってくる。宮原という男に呼ばれたらしい。家に入ると、キムと宮原、その子分の三郎、宮原の愛人が待っていた。まもなくして黒人のトムがやってくる。

 

宮原は、それぞれにバラされたくない過去のある人間を集め、ある仕事を計画していた。米軍御用達の銀行から50万ドルを強奪する計画だった。一晩考える機会を与え、翌朝、そのままメンバーが集まる。女好きのトムに、宮原は合いの子の黒人女花子を世話してやるが、トムは花子を憐れんで、優しく接する。そんなトムは宮原の知り合いのヤクザ柴山の舎弟を殺した過去があり、柴山もトムを探していたが宮原は教えなかった。

 

やがて、決行日が来るがあいにくの雨で、事故を恐れ、順延する。イライラする仲間たち。ジョンの妻は宮原に接近してくるし、三郎は花子をからかってトムに殴られたりする。キムもまた、トラブルの原因の口出しをしたりする。そんな危うい仲間たちだが、いざ決行となる。宮原の行動を監視していた柴山たちも宮原の後をつけるがまんまと巻かれてしまう。そして50万ドルを手にした宮原たちだが、途中の柴山らとの銃撃戦で仲間を一人二人となくしていく。それは宮原の最初の計画でもあった。女たちに金を奪われるが、最後に、トムと花子に金を横取りされてしまう。

 

花子がかつていた米軍キャンプの跡地に逃げるであろうと推測した宮原は三郎、キムと三人で跡地へ乗り込みトムらと銃撃戦になる。そこへ柴山らもやってくるが、宮原はトムと休戦し、柴山らと先に対決する。車の中にダイナマイトがあり、それで柴山らを次々と殺していく。その中、独り占めしようとしたキムは撃たれて死んでしまう。そして柴山らを倒し、トム、花子、宮原の三人が残る。

 

金の入った車のドアが開かず、宮原はトムに助けを求める。宮原とトムがドアを必死で開け、ようやく開いて金を手にした途端、瀕死だった宮原の妻がダイナマイトに火をつけこときれる。ダイナマイトは大爆発し、宮原もトムも死んでしまう。一人残った花子は、死体を見下ろしピストルを空撃ちし映画は終わる。

 

とにかく、キレが抜群にいい演出で、カメラが縦横無尽にアングルもワーキングもハイスピードで展開するクライマックスが素晴らしい。後の深作欣二のカメラを予感させる見事な作品でした。