くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「パリでかくれんぼ」(4Kリマスター完全版)

「パリでかくれんぼ」

初公開時より10分長い完全版。ミュージカル仕立てなのだが、数曲しかダンスシーンはなく、ダンスホールでのソロでのダンスシーンやステージシーンはたくさんあるが、その辺りが中途半端な組み立てになっている。しかも三人の女性の物語の行末が全て寸切りで終わってしまう。それぞれが絡むようで絡まない。意図した作りなのだろうが、どこか即興演出の如き色合いのある作品でした。監督はジャック・リヴェット

 

一人の男ロベールが洗面所にいるとニノンという女性が入ってきて、分前をよこせと言う、どうやらニノンが男を引っ掛けてそれにイチャモンをつけたロベールが金を巻き上げているらしい。金を奪ったニノンはその場をさって映画は幕を開ける。別のカモに絡んでいたニノンに、ロベールが近づき金を奪おうとするが反撃され、ロベールはその男を刺し殺してしまう。やばいと思ったニノンはその場を去り、部屋を引き払って別のアパートへ行く。

 

5年の昏睡状態から目覚めたルイーズは、アイスクリームを買って、ホテルに部屋を取る。そこへ父親から心配の電話が入る。ルイーズの後ろにいつも謎の男がついてくる。装飾美術博物館の司書をしているイダは、公園の店でサンドイッチを買おうとして、一人の男に、どこかで見かけたと声をかけられ走り去る。彼女には気になる歌があり、住んでいる隣の部屋から聞こえてきたので尋ねると、ラジオからで、古い歌という以外わからない。イダは養子として育てられ、自分が何者かがわからず悩んでいる。

 

ニノンはバイク便の仕事を見つけるが、事務所の金庫がたまたま開けっぱなしだったので金をくすねてしまう。それを隣の舞台美術のアトリエのロランに見られた気がする。ルイーズは、叔母に会いたいと父に聞くがすでに2年前に亡くなっていて、家をルイーズに残してくれたという。ルイーズがその家に行ってみると、ロランがやってくる。彼は生前叔母から古い机を譲り受けたりしたという。ルイーズは時々めまいがおこる後遺症があった。しかし、ホテルのドアに差し込まれたバックステージというクラブの紹介状を手にその店に行くとそこにガルシアという男がいた。ルイーズはロランにガルシアのことを聞き、ガルシアが開催している地下のカードゲームの場に参加、あわや人殺しゲームに参加したと思いきや手渡された拳銃は空砲で、後をつけてきた男を撃ったことからその男と親しくなる。しかも、それがきっかけでルイーズはめまいの後遺症がなくなる。男の名はリュシアンと言って、ルイーズの父に頼まれたボディガードだった。

 

ニノンが宅配便で花をある屋敷に届けに行くとそれはルイーズの叔母の屋敷で、花の送り主はロランだった。ニノンはそこにいたリュシアンとも出会う。こうしてニノとルイーズは知り合う。リュシアンは、いつの間にかルイーズに恋焦がれてきたことをルイーズに告白する。

 

イダはたまたま図書館に来ていたロランから、気になっている歌がサラという女性が歌う古い歌だと知り、サラのナイトクラブに行き彼女がイダの生みの母だと思い込む。

 

ニノンはロランにルイーズのことを問い詰めると、ロランはルイーズの叔母から購入した机の引き出しにルイーズの父の過去の不正の証拠の書類を見つけたことを話す。ニノンはこのことをリュシアンに話し、リュシアンはルイーズに別れようと切り出すがルイーズは彼を愛していると告白する。

 

ニノンはロランのアトリエから証拠の書類を盗み出し、自室の靴の空箱に隠す。ロランがルイーズに書類を見せようとすると中に何もないので、ロランはニノンの部屋に行き書類を返すように言うがニノンはロランに目を瞑っておくように言って書類を持ってバックステージに行き、そこでルイーズと踊りながら彼女に書類を渡す。

 

ルイーズはホテルに戻り、書類を読んでいるところへ父から心配の電話がかかる。ルイーズは書類を破棄してやってきたリュシアンと踊り出す。ニノンは自室で待っているロランのところへ行き、宅配便の事務所から盗んだ金を見ているロランに、どうしようかと尋ね、ロランはニノンに、思うようにしたらいいと答える。

 

イダはサラの家を訪ねる。間借り人を探していたサラはイダを家に入れて案内するが、イダは少し考えさせてほしいと言って家を出て彼方に走り去って映画は終わる。

 

なんとも唐突なエンディングだが、三人の女性の日常の時間の一瞬を切り取った感のある作品で、今回の三本の中では一番わかりやすかった気がします。