くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「かくしごと」

かくしごと

原作はそこそこ良いのかもしれないが、脚本が弱いのか今ひとつ映画全体がまとまっていない。もうちょっとサスペンスフルな展開が根底に走っても良いと思うのですが、ストーリー全体に緊張感がなく、身勝手な女性たちの暴走劇にしか見えないのが少し残念でした。ラストのサプライズもそれほどインパクトを呼ばないので、緩く終わった感が否めない映画でした。監督は関根光才

 

山深い一軒家に一台の車が近づいてくるところから映画は幕を開ける。児童文学の作家として成功した千紗子が、父孝蔵が認知症で徘徊したというのを聞いて実家に七年ぶりで戻ってきた。千紗子は学生時代、教師をしていた父の反対を押し切って結婚、その後出産したが七年前に一人息子を海で事故死させてその後離婚、その際の父の態度の冷たさから疎遠になっていた。

 

実家に戻った千紗子だが、孝蔵は千紗子のことがわからず、ひたすら木の仏像を掘り、粘土細工をして暮らしているだけだった。千紗子は、とりあえず介護認定が降りるまでと思って一緒に生活を始める。そんな千紗子に公務員で幼馴染の久江から連絡が入り、久しぶりに飲みに行く。久江は夫と離婚し一人息子を育てていた。車の代行がなかなか来ないところへ、久江の息子が隣家の窓ガラスを割ったと連絡が入り、アルコールを飲んでいるが久江が運転して帰る事にする。

 

ところが。その帰り道、少年とぶつかる。公務員でありかつ飲酒運転の久江は、警察への連絡を躊躇し、その少年を千紗子の家に連れ帰る。しかし、少年の衣服を脱がせると、明らかに虐待の跡の傷が見つかる。その翌日ニュースで、近くの川で犬養洋一という少年が行方不明になった事件が流れる。連れ帰った少年が犬養洋一だと確信したものの、洋一は記憶が全くなく、しかも元気だったので、千紗子が手元に置く事にする。しかも、洋一の両親は、洋一が捜索中にも関わらず家に帰ったという。いつのまにか千紗子は洋一を自分の息子として接していた。

 

千紗子は洋一に、自分の本の主人公拓未の名前をつけて、自分の子供だと信じ込ませる。そして福祉課に勤める久江に頼んで洋一の両親の住所を教えてもらい、NPO法人を名乗って両親の家を訪ねる。千紗子はそこで、洋一の父の虐待を確信した上で帰ってくる。そして、千紗子、洋一=拓未、孝蔵の三人の生活が始まる。認知症が進む孝蔵だが、拓未との関係が良好で、かかりつけ医の亀田には、千紗子は二人目の自分の子供だと説明して納得させる。

 

そんなある日、千紗子は雑誌に写真が載る。久江とその息子、孝蔵、亀田、千紗子らで釣りに出かけた帰りに久江が千紗子にその雑誌を見せ、和やかな団欒のひとときを過ごすが、孝蔵の認知症は次第に悪化して、木彫りもできなくなり、排泄トラブルなども起こすようになってくる。しかし、拓未の優しさで孝蔵はそれなりに落ち着いて暮らしていた。

 

ところが、洋一の実父犬養安雄が、雑誌の千紗子の写真を見つけて居場所を突き止め訪ねてくる。そして、千紗子に子供を渡す代わりに金を要求し千紗子と揉み合いになる。そこへ背後から拓未が短刀で安雄を刺し殺してしまう。千紗子は咄嗟に短刀を拾い、すでに生き絶えた安雄の胸を刺す。

 

裁判となり、殺人で起訴された千紗子は自分が殺したと言い続ける。ところが拓未が証言台にたち、自分が殺した事、そして自分は最初から記憶が戻っていた事、自分にとっての母親は千紗子であると告白して暗転、海辺で遊ぶ千紗子と拓未の姿を俯瞰で捉えて映画は終わる。

 

ラストのインパクトが弱いので映画全体が平凡な仕上がりになった感じです。杏ちゃん以外の脇役が弱いのが欠点だったかも知れず、演出が甘かったというのもあるかも知れませんが、もっとピリピリした空気感を漂わせて脚本を書き込んで欲しかった。