くらのすけの映画日記

「シネマラムール」の管理人くらのすけの映画鑑賞日記です。 なるべく、見た直後の印象を書き込んでいるのでネタバレがある場合があります。その点ご了解ください。

映画感想「木枯し紋次郎」(中島貞夫監督版)「鉄砲玉の美学」「温泉こんにゃく芸者」

木枯し紋次郎

かなり荒っぽい脚本ですが、二本立ての一本という立ち位置と当時の人気テレビ番組の映画版という作品なので、これくらい一気に本編に傾れ込んでもいいのでしょう。これという中身はない単純な勧善懲悪のチャンバラ渡世映画でした。監督は中島貞夫

 

一軒の親分のところで仁義を切る紋次郎の姿から映画は幕を開ける。そこにもう一人世話になっている男左文治がいて、たまたま仁義を果たすために助っ人で戦った縁で兄弟分同様になる。そして、左文治が思いを寄せるお夕が仙松に手籠にされそうになりそれを左文治が斬り殺したが、左文治には年老い母がいて、その母の死に際に会いたいというので、左文治が犯した殺しの身代わりに紋次郎が三宅島に流されてタイトル、本編が始まる。

 

三宅島で、左文治が母の死に水をとったら自首するという言葉を待って暮らすが、一向に連絡がなく、たまたま本土から来た男から、すでに左文治の母は死んでいると聞いて騙されたことを知る。たまたま島抜けの仲間に入っていた上、三宅島が突然噴火、そのどさくさで紋次郎は本土へ戻る。島抜けした紋次郎の命を狙って左文治の手下やら、紋次郎に旅支度をさせた網代の親分の手下が紋次郎を追う。

 

紋次郎が左文治のところへくると、そこに子供を抱いたお夕がいた。左文治とお夕の間には子供ができていた。さらに、殺した仙松から十手を奪い取って親分になっていた左文治を紋次郎は斬り殺し、泣き崩れるお夕に、捨て台詞を残して去って行って映画は終わる。

 

特に優れた何者かもない、可もなく不可もない娯楽時代劇だった。

 

「鉄砲玉の美学」

目的が見えず、がむしゃらに何かに向かって走り抜けていくものの、その先にあるはずの自分も見えていないような若者の青春の生き様を描き切ったバイタリティが非常に面白い作品だった。少々、荒っぽい演技が鼻についてくるものの、食べること、廃棄されることにこだわった映像の挿入がかえって小品としての充実感を生み出した感じでした。監督は中島貞夫

 

食べ物にむしゃぶりついている口のアップが何度も繰り返され、そこにゴミ処理車にゴミが投げ入れられる場面も交錯してタイトルの後、露天でウサギを売っている主人公小池清の姿から映画は幕を開ける。天佑会のチンピラの彼は、日々、ウサギ売りをしながら、八百屋で餌を漁り、トルコで働く情婦と暮らしながら、友達とかけ麻雀をする程度の日々だった。その映像に被って、背後に天佑会幹部の声が流れる。

 

九州進出を企む天佑会は、宮崎へ鉄砲玉を送り込んで暴れさせ、その鉄砲玉が殺されたらそれに乗じて九州へ攻め入る計画だった。その鉄砲玉に小池清が選ばれる。100万円とピストルをあてがわれ宮崎に行った小池は、一張羅のスーツを着て、一人前のヤクザ風になった気で高級ホテルに泊まり、鏡の前で格好をつけ、バーで金をばら撒き、地元のヤクザ幹部杉町に近づく。小池のそばにはいつもチンピラが後をつけてくるので、小池はそのチンピラを痛い目に合わせたが、後日チンピラが小池を襲ってきたので、返り討ちにした挙句杉町に落とし前をつけさせようとする。

 

杉町に、好きにしろと言われるも、結局何もできなかった。そんな小池に杉町は、自分の情婦潤子を送り込んでくる。潤子と都城へ行った小池はすっかり潤子に惚れ、日夜抱き合い、自分の誕生日に霧島へドライブに行く計画を立てて、自ら料理を作る。ところがホテルの部屋に戻ると、潤子は宮崎へ帰ってしまっていた。そこへ小池の情婦が追いかけてくる。宮崎のヤクザは杉町の力で連合会と手を組んだことで天佑会は連合会と手打ちになったというのだ。

 

小池はすでに用がなくなり、大阪に電話しても帰ってこいと言われるだけだった。あちこち声をかけた女たちもやって来ず、小池は大阪で輪姦されているのを助けた女のアパートへ行くが、そこで刑事と遭遇、撃ち合いになってしまう。腹を撃たれた小池はスクラップ置き場に逃げるが彼方に霧島が見える。

 

霧島へ向かう観光バスの中、小池は血を流してやがて生き絶えてしまう。それをバスガイドが発見して悲鳴と共に映画は終わる。エンドクレジットに、ウサギたちがニンジンなどを食べる場面が交錯する。

 

とにかく全編目まぐるしく走り抜ける作品で、少々アンバランスながら、手持ちカメラを多用した映像、ウサギの映像をなん度も繰り返して、破滅していくチンピラの姿を絵にしていく作りはとっても面白い作品だった。

 

「温泉こんにゃく芸者」

やりたい放題のはちゃめちゃな温泉エロコメディという感じの映画で、やけくそかと思う展開が気持ちがいいほどに面白いのも事実。今時絶対作れない色合いの作品に拍手してしまいました。監督は中島貞夫

 

終戦、一人の男徳助が涙ぐんでいる場面から10年後、徳助は一人の身寄りのない少女珠枝を幼女にもらう。そして、絶対にひもじい思いをさせないからと引き受けた徳助は、性玩具を作りながら、夢はこんにゃく風呂を作る事だった。すでに男として不能の徳助は珠枝を立派に育て上げるが、珠枝は勤めていたコンドームの会社が倒産し退職金代わりにもらったコンドームを売りに回っていてヌードスタジオ店主の荒川と関係ができてしまう。

 

たまたま人手不足で困っていた置屋の女将満子は、珠枝をインスタント芸者にして座敷に出す。ところが客の了賢和尚が珠枝の体を絶賛、噂が広まって、製薬会社の社長田中が珠枝を是非世話したいと申し出る。珠枝は徳助のために、家屋敷とこんにゃく風呂を作らせることを条件に田中の世話になる。ところが初夜の夜、田中はこんにゃく風呂で転倒して亡くなってしまう。その頃、徳助は男が蘇り、隣室のツタ子と懇ろになってしまう。

 

珠枝の噂が広がり、全国から芸者スカウトが集まり、大阪の西川は500万の金を提示する。その金があれば徳助が計画しているこんにゃく会社も手に入れ、ツタ子のヒモ池永への慰謝料の払える。そこで、珠枝は西川とSEXの一騎打ちを提案する。三本勝負で、先に昇天してしまうと負けという勝負だった。そして接戦の末、最後に西川は気を失ってしまい、珠枝が勝つ。徳助の夢も叶うものの、その日以来珠枝の姿は消えてしまって映画は終わる。

 

とにかくあれよあれよとなんでもありの物語が展開していく様は呆気にとられてしまう。日本映画終末期の一本というある意味切なくなってしまう映画だった。