「太平洋戦争 謎の戦艦陸奥」
第二次対戦中、瀬戸内海で謎の爆沈で沈んだ戦艦陸奥の史実を元に描かれたサスペンスフィクションで、驚くほどの出来栄えではないものの、クライマックスのハラハラ感はなかなか見応えのある映画だった。監督は小森白。
時は1942年、ミッドウェイ海戦が、連合軍に暗号を傍受され解読されていたために惨敗となった時から映画は幕を開ける。後方にて、決戦を待っていた戦艦陸奥だが連合艦隊司令長官山本五十六の命令で戦線離脱せざるを得なくなる。伏見少佐らは反対するが艦長は命令通り陸奥を帰還させる。
乗組員達の鬱憤が小さなトラブルになるのを伏見や、松本中尉が宥める中、南方への出撃も見送られ、戦艦陸奥は瀬戸内海柱島沖に停泊することになる。一方連合軍の日本内のスパイは、ミッドウェイ海戦の敗戦でも戦意高揚が衰えない日本国民に打撃を与えるべく、象徴とする戦艦陸奥を沈める計画を進める。
上陸を許可された伏見少佐は叔父の池上中将の紹介で将校クラブのマダム美佐子、ドイツ大使館のルードウィッヒ、秘書のアンナと知り合う。しかし、美佐子、ルードウィッヒ、アンナはスパイだった。彼らは商人の三原を利用し、上陸許可が降りた将校達を巧みに操って陸奥に爆弾を仕掛けようとするがうまくいかない。そんな頃、ついに陸奥に出撃命令が下る。
ルードウィッヒは三原に命じて、砲弾積み込みの際、四本の時限爆弾を忍ばせるように命令する。伏見は美佐子と愛し合うようになっていて、出港前に会う約束をしていたが、伏見は松本に伝言を依頼して船に戻る。松本が美佐子の居宅に行くと、そこにルードウィッヒらが隠れていた。すんでのところで憲兵らが踏み込み、美佐子やルードウィッヒらは銃殺されるが、美佐子は死ぬ間際松本に陸奥名前をつぶやく。
陸奥に戻った、松本は、美佐子がスパイだったことを言いそびれていたが、そこへ、砲弾箱から時限爆弾が発見された報告が来る。美佐子の最後の言葉の意味を悟った伏見らは砲弾箱内の時限爆弾を探し始めるが、最後の一本を残し間に合わず大爆発、千数百名の乗員をのんで戦艦陸奥は沈み映画は終わる。
沈んだ謎はいまだに解明されていないので、物語はフィクションなのですが、単純に楽しめるサスペンス映画として仕上がっていました。